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GPT-3のAPIを使ったプロダクトを1週間で爆速開発した話

この記事の要約 (By Notion AI)

  • GPT-3を利用したプロダクトを1週間で開発

  • PM DAOのコミュニティメンバー3人で分担しリリース

  • 初期のプロダクトマネジメントにおけるプロダクトディスカバリーについて解説

はじめに

昨今何かと話題の Generative AI、毎日のように新サービスやプロダクトがTwitterを賑わしています。私は米国の企業でAI製品に関連するプロダクトマネジメントをしており、そこで得た考え方をもとに、1週間でプロダクトをデザイン、開発、リリースした話をお話しします。

想定の読者

  • 新機能を作りたいプロダクトマネージャー

  • 新サービスを立ち上げたい新規事業開発担当者

  • これから起業を目指したり、初めてプロダクトをリリースしようとしているアントレプレナー

初期のプロダクトマネジメントについて

プロダクトマネジメントと言ってもその内容はさまざまです。特に、初期のプロダクトとグロース製品では全く異なる課題に直面します。
初期のプロダクトは市場のニーズを把握し、製品を開発してリリースすることが主な目的です。一方、グロース製品は製品の改善や機能の追加など、市場の反応を見ながら製品を継続的に改善していくことが主な目的です。
しかしながら、どちらのプロダクトマネジメントにとっても「終わりなきプロダクトの旅」がとても重要です

(原文: Continuous Product Discovery. Source: Productboard. 訳:著者)

この図では、プロダクトというのは「PMを中心としたプロダクトディスカバリーチームが、アイデアをもとにユーザーに対してUXチームと協力しながら、何を作るべきか?を決め、それを開発チームとともに製品リリースを通して価値を届ける」このサイクルを続ける、ということを表しています。
今回私がこのサイクルを短期間で行う方法を、経験や実践してきたことを踏まえて書きたいと思います。

今回やったこと

Value Discoveryという Open AIの ChatGPTの APIを作って、アイデアから仮説を生成するプロダクトを1週間弱で開発しクローズドベータでリリースしました

このサービスは現在670人以上が事前登録を行い、300以上のアイデアがすでに登録され、日々仮説が生成されています。

プロダクト全体像

今回、1週間で行った全てを1つにまとめてみました。
もちろん一人だけでやったわけではなく、プロダクト開発を通してプロダクトマネジメントを実践的に学ぶことができるPM DAOというコミュニティを通して、私含め3人でリリースまで頑張りました。

  • Product Management, Development, and Design: kaz (私)

  • UX and Prompt Design: しょーてぃー

  • Associate Product Management: hasegawa

0. プロダクトのはじまり

プロダクトの始まり方はさまざまです。例えば

  • 自身の経験やアイデアから作る

  • 創業者やCEOの強い想いで作る

  • 先端技術に基づいて作る

どれも重要ですが、最も大事なのは「顧客のフィードバックをもとに、新しいプロダクトを開発すること」です。

私の例

プロダクトマネジメントを米国企業で学ぶ中で、そのナレッジや原体験を今まで多くの場所で発信してきました。そして、TwitterのDMやイベントでの登壇に声をかけていただくようになりました。一方で、イベントや本、有料セミナーなどコンテンツを溢れているものの、多くの人がその体系的なプロダクトマネジメントを実践に落とす方法で苦労していることを知りました。

1.アイデアの検証

そこで、3年前から徐々にそれを体系化し、ナレッジとして独立するようにnoteの発信、テンプレートの配布、コミュニティの作成、ノーコードツールの作成…という形でMVPから始めて徐々にユーザーの声を聞きながら、その解像度を高めていました。
その中で出たのが、「**新しいアイデアを開発する前に、それの正しさを検証して、自信を持ちたい」**というジョブでした。 (参考: ジョブ理論)
そして、今回GPT-3を中心したGenerative AIの民主化によって、「誰もがアイデアからプロダクトを作ることを支援する」というのを「言語」の面でサポートできることに気づき、プロダクトの開発を始めました。

ポイント

AIのような最先端の技術的な側面にとらわれず、これまでの経験や、過去のMVPを通して明らかになっている課題にどうやって今の技術を使えるのか考えることが大切です。

2.チームづくり

多くのユーザーが共通で抱えている課題を見つけたら次に何をすべきでしょうか?それはプロダクトディスカバリーチームづくりです。
初期のチームやスタートアップではなかなか人がいないですが、このディスカバリーチームをどのように作るかはとても重要です。
今回は幸いにも、1年前から発足したプロダクト開発コミュニティ PM DAOに興味を持ってくれるメンバーがいて、チームを作ることができました。

  • しょーてぃー - 横断型UXデザイナー | Prompt Designer| 事業会社で戦略やマーケティングとたわむれながら体験設計/ AIで生活を楽に創造的にするための問いをデザイン

  • hasegawa - 化学系製造業でDX推進兼データサイエンティストをやっています。最近のキーワード:Web3、STEPN、MZDAO、PMDAO、新規事業創出、データマネジメント、プロダクトマネジャー

PM DAO内で声をかけたところ、この二人のメンバーが興味を持ってくれて、プロダクトチームが発足しました!

3. プロダクトディスカバリー

「誰のためにどういう価値を提供すべきなのか」というユーザーニーズは「1.アイデアの検証」として過去に大枠では済んでいました。しかし今回はGPT-3を使った「ソリューションアイデア」の検証を行う必要があります。(下図の真ん中)

再掲

この図にあるように、初めはアイデアバックログにさまざまなアイデアやプランニングをNotionに入れていきました。
そして、私が簡単なデザインとモックアップをFigmaで行いそれをメンバーに伝えたのがプロダクトディスカバリーの始まりです。
これが2月18日のことでした。

2:18 11:18 PM

このタイミングで、ユーザーのおおまかな体験と、GPT-3を使った技術的なフィージビリティをスプレッドシートを使って検証をしていました。

当時のモックアップ (Figma)

早速メンバーからは最初にこういうフィードバックが

2:18 11:25 PM
2/18 11:33 PM

チーム内の熱量が上がったことを今でも覚えています。
このあと、いくつかのフィードバックのやり取りを行い、作るべきものの解像度をDiscordで会話をして進めました

4.プロダクト開発

作るべきものが決まったらあとは実装です。
本来であればプロダクトマネージャーは開発をすべきではなく、優秀なエンジニアをチームに入れるべきです。ちょっと今回は勢いでMVPを作ってしまいました。
ただ、最近は最低限のプロダクト開発であれば、今回採用したNext.js + Supabase + Vercel のような組み合わせで無料で作れますし、 Open AIのAPIも無料枠もありかなり使いやすいので、一人で作れてしまうケースもあると思います。
Discordの投稿にあるように、2/19 5時に初期プロダクトの形を作りました。

2/19 5:11 AM

そして、メンバーから素晴らしいフィードバックが!

2/19 10:17 AM

4-2. プロンプトデザイン

今回のプロダクトは、GPT-3を使ったものなので、一般的なプロダクト開発に加えて、Generative AIにおいては、プロンプトデザインは非常に重要な役割を果たします。GPT-3のような大規模な言語モデルを使用する場合、プロンプトはAIが何を生成するかを決定するために必要な入力を示す方法となります。
そのため、プロンプトの内容が最終的な応答の品質に大きな影響を与えることができます。
今回は、 UX Designerの しょーてぃーがプロンプトのデザインしてくれました。

2/23 とある日のプロンプトデザインのやり取り

詳細は話せませんが、私が持っているプロダクトマネジメントと、 しょーてぃーが持っているUXの知見がふんだんに盛り込まれた、非常に価値の高いプロンプトを作ることができました。
もちろんこれもユーザーのフィードバックをもらいながら日々改善しており、プロダクトの本質的な価値の一つを決める非常に重要な因子です。

一方で、関係者だけで「いいね!」と言い合っても意味はありません。実際に外部の人間、特にそのプロダクトの想定のペルソナやジョブパフォーマーに使ってもらう必要があります。

5.プロダクトリリース

では、どのように初期のユーザーにアプローチすべきでしょうか?
一般的には以下のような進め方があります。

  1. ドッグフーディング (社内テスト )

  2. アルファテスト

  3. クローズドベータ/オープンベータ

  4. GA (正式提供)

今回は、PM DAOにいる他のコントリビューターの方に、早期にプロダクトを使ってもらうために初期のリリースを行いました。 2/21 (初期開発から3日後)

2/21 1:39 AM

2日ほどプロダクトの改善を行い、並行してすぐにアルファテストに向かいます。
昨今のサービスでは、Early Access いわゆる早期利用ユーザーを限定して展開しているプロダクトが多くあるのを見かける人が多いと思います。

  • Clubhouse: 招待コード前提のユーザーオンボーディング

  • STEPN : ユーザー拡大に合わせて、招待コードを導入

  • Bento: 初期からEarly Access, 招待コードを用いてリリース

他にもベータ版を謳っているものは基本的には、Google FormやTypeformのようなフォームサービスを使って、ユーザーを事前登録させるケースが多いです。
今回もそれに倣い、並行して事前登録をTwitterで展開しました。

その後、反響をいただき、その2日後にクローズドベータの形でリリースしました。

初期の構想からおよそ5日後に早期登録者に対して、プロダクトをリリースすることができました。

5.2 Early Access

アーリーアクセスという形で初期のプロダクトリリース時に、いきなり全てのユーザーに解放するのではなく、限定的に、段階的にユーザーをオンボーディングし、利用してもらうプロダクトローンチの方法には以下のようなメリットがあります。

  1. バグの発見と修正

  2. ユーザーにフィードバックを提供する

  3. オンボーディングを改善する

アーリーアクセスを利用して、段階的にユーザーのフィードバックを得て、プロダクトディスカバリーの改善プロセスを回すことで、より多くのユーザーに価値を届けるプロダクトを作ることができます。
これは、いわゆる MVP や Lean Startupのような考え方と同じです。最小限で価値を提供できるプロダクトを作り、そのプロセスを何度も繰り返すことが重要です。
詳しくはこちら
アーリーアクセスを用いた初期のプロダクトリリースについて

6. マーケティング

プロダクトの最低限のバグを直したら、あとはより多くのユーザーの目に触れるようにマーケティングを行います。
プロダクトマーケティングにはさまざまな方法があります。

  • アーリーアクセスを使用する

  • ユーザーにフィードバックを求める

  • SNSを活用する

  • SEOを最適化する

  • ブログやメールニュースレターを使用する

Value Discoveryでもこのような告知ツイートを行い、ユーザーの認知度を得られるように、今も頑張っています。

また、プロダクトマネジメントでは、リリースマーケティングが重要です。
新機能をリリースした際に、それを技術的な説明だけでなく、使うユーザーにとってどのような価値を提供できるのかを発信します。
それをプロダクトマーケティングやマーケティングチームに渡して、ユーザーに価値を伝えていきます。

おわりに

いかがでしたでしょうか?今回の記事では、Open AIのGPT-3を使ったプロダクトの開発プロセスについて紹介しました。
プロダクトのアイデアから形にする流れ、GPTのプロンプトデザイン、そしてEarly Accessを用いた段階的なリリースまで、初期のプロダクトディスカバリーの流れを説明しました。

GPT-3に限らず、技術進化の速いプロダクト開発において、どのようにアプローチすべきかについて参考になれば幸いです。
また、今回の取り組みは全て PM DAOで行いました。このような実践的なプロダクト開発に関わってみたい!という人はぜひPM DAO公式TwitterからDiscordに入って様子をのぞいてみてください

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