薬局の本棚🔹認知症(2)
はい、認知症その2です。
この小説は、認知症っていう括りで紹介するのが適切かと言われると、ちょっと違うとは思うんだけど…
なんの説明もなく、大きめの病院で診察の順番を待っているらしき女性のひとり語りで、いきなり始まる。
付き添いのヘルパーさんを「みっちゃん」と呼んでいるが、その人がみっちゃんなのかと思って読み進めていくとどうも違うらしい。
よくわからないまま、でも「カケイさん」と呼ばれている主人公のとめどないおしゃべりにつられて、どんどんこの世界に連れて行かれる。
あまり普通でない精神の主人公がひたすらしゃべる、みたいな小説ってたぶんいろいろあったと思うけど、認知症の当人が、っていうのはもしかして初めて?
「認知症当事者の語り」と綺麗にまとめきれないものがはみ出しすぎてて、惑乱させられる。けど、泣く。
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薬局では、(処方薬などから)認知症とわかる患者さんとももちろんお会いする。そうでなくても、おそらくMCI(認知症の前段階)だろうな…と思われる方も多い。
たとえば、こんな方。
・少ない金額でも一万円札を出す(小銭、端数が出せない)
・薬の飲み忘れや飲み間違いが多い
・何度も同じことを話したり、尋ねたりする
・頻繁に、薬が足りない等と訴える
薬局がわにも一応、対応のノウハウはある程度ありますので、薬の管理など困ったらいつでもご相談を!
薬を飲むのは、あくまでも手段であって、目的ではないので、あんまりガチガチに考えなくてもいいとは思いますけど(私見)。
それに、われわれ仕事だから、薬はちゃんと理解して真面目に飲んでよ〜と思うけど、生活の中でそんなにずっと薬のことばかり考えていられないですしね。
さて、薬の管理はさておき(さておいていいのか?笑)、
認知症かどうか微妙なラインの高齢女性たちが、結構な頻度で、延々、家族の自慢話をし続けることが最近気になっていて。
何なんだろう、と自分なりに考えた内容。
彼女ら自身は、高齢になり体力・気力の低下を実感し、認知も少し怪しい。なので、周囲に軽んじられがちな雰囲気を感じている。
私には価値がある、一人前と認めて大切に扱ってほしい、という訴えとしての、家族(おもに息子)自慢なのではないか。
その世代の男性であれば、自分はこんな役職だった、こんな仕事を成し遂げた、いま活躍してるコイツを育てたのはオレだ、みたいな自慢になりがち。
反面、育児などのために〈なにものにもなれなかった〉人は、息子がエラくなったことを以て、その息子を育てた私を認めてほしい、という思いがあるのではないか。
まあ、そうはいっても、人の見た夢の話と子どもの自慢話ほど他人にとってつまらん話はないわけで(私見)。
楽しそうにお話されてるのを適度な時間で切り上げるのは申しわけないけど仕方ない。 他の患者さんも待ってるからね…。
でも、こんどは「そうですか〜(笑顔)」だけじゃなく、
「そんな息子さんを育てた〇〇さんも素晴らしいですね」って言ってみようかな。余計、話が長引いたら困るけど…。
試しにやってみて、良かったら報告します!