ぼくは以前、ふたごやさんの処女作「いぬじにはゆるさない」について感想文をnoteに書きました。 そのとき思ったのが、「この人が恋愛小説以外のものを書いたらどんな作品ができあるのだろう?」という期待でした。 そして今回、衝撃的なタイトルとともに、ふたごやさんの最新作が届きました。これ以降の文章はネタバレも含みますので、できればふたごやさんの「親愛なる子殺しへ」のリンクを張りましたので、全文お読みになってから、ぼくの感想文を読んでいただければ幸いです。 あ、ぼくの感想文は
喪中の葉書の印刷をネットで注文した。5月に父親が死んだからだ。 一年前の秋、父は脳出血で倒れて、入院してリハビリをしていた。ところが、入院中に大腸ガンが見つかり、80過ぎの脳梗塞を患ってる患者に手術は不可能といわれた。 脳出血も手術できない箇所だし、大腸の腫瘍からも出血が続き、手の施しようがありません。輸血してもいずれ追いつかなくなります。持っても半年でしょう。と医者。 倒れる前日まで父は元気だった。俺も、父が倒れる3日ほど前に電話で話したが、変わった様子はなかった
感想文「クチュクチュバーン」吉村萬壱 この作品は、著者の吉村萬壱さんが2001年に文學界の新人賞を受賞された作品です。 この単行本には、「クチュクチュバーン」「国営巨大浴場の午後」「人間離れ」の短編三作が収録されていて、どの作品もはっきり言って気持ち悪くなる覚悟がないと読むことができません。 「クチュクチュバーン」では人間が異常な進化を始めて、腕がメキメキと体から何本も生えてきたり、他の生物と合体したり、生物以外の家具や日常の道具とも合体したり、または、退化して性器
感想文書きます(^^) 「いぬじにはゆるさない」 ふたごやこうめさんの処女作で、すでに発表から数年たっている作品です。 多少のネタばれも含みますので、この感想文をお読みになる方は、必ず全15話をお読みになってからにしてください。 さてさて、この作品。 主人公の女性が二人の男性から好意を寄せられる、そして主人公もどちらにも魅力を感じているという、恋愛未満の状態を巧みに、そしてさらっと描いた素敵な作品です。 主人公を軸にして、イイジマくんとヘビちゃんという二人の男性
読書好きの方はたくさんいらっしゃると思うし、みなさんそれぞれお好きなジャンルがあり、読み方もそれぞれだと思います。 僕の場合は、あまり多読ではありません。たくさんの本を読むよりも、同じ小説を何度も読んだりすることが比較的多いと思います。 一番好きな小説は多分20回以上は読んでいると思います。それ以外の小説でも気に入ったものであれば2~3回は読んでいます。 小説以外のドキュメンタリや実学書のようなものもの、数回は読みます。その一方で、読んでも全く頭に入ってこないもの、一回