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【2023年度中国政府奨学金】Ⅱ書類選考

 前回の記事では中国政府奨学金の概要をまとめました。今回は2023年度の情報をもとに書類選考の際に提出する書類について種類や注意点などを説明します。ただし毎年内容が同じとは限らないので、各自JASSOのサイトに秋から冬にアップロードされる「和文出願書類の申請の手引き」をご確認ください。

提出が必要な書類

1.和文出願書

JASSOのサイトにアップロードされている所定用紙(Wordファイル)をダウンロードし、氏名や住所などの個人情報と希望する専攻や大学などをパソコンで入力します。また研究論文等がある場合はA4両面1枚を別紙で添付することが可能です。この書類をJASSOへ郵送した後に希望する専攻や大学を変更することはTwitterなどの情報によると100%不可能というわけではないようですが(一応サイトには変更不可と表記されている)、問い合わせが大変であったり変更が認められない可能性があったりするので、基本的には和文出願書に書いた内容は変更できないと思っておいたほうがいいと思います。そのため、専攻や大学は慎重に決めましょう

2.学習計画書

 こちらも「和文出願書」と同様に、JASSOのサイトにアップロードされている所定用紙(Wordファイル)をダウンロードしてパソコンで入力します。学習計画書には「志望理由」「留学中の学習・研究計画」「帰国後の計画」を日本語で詳しく記入する必要があります。JASSOに郵送する学習計画書は字数の指定がありませんが、面接選考に合格した後にCSC電子申請システムで提出する学習計画書は、JASSOに提出したものと同じ内容で中国語か英語で作成したものである必要がありこれは字数の指定があります。(本科生は200 字以上、普通進修生と高級進修生は500 字以上、碩士研究生と博士研究生は800 字以上)
 したがって、学習計画書は日本語を中国語もしくは英語に翻訳したときに指定された文字数をクリアするように書くのがいいと思います。私は本科生の申請だったのですが、日本語で1477字、中国語で1184字でした。

 この学習計画書は書類選考の中でも特に重要で(もしかしたらHSKの成績以上に)、面接選考でも学習計画書に書いた内容をもとに深堀された質問が飛んできます。以下に注意点をまとめます。
※合格基準が公開されているわけではないため、個人的な意見です。

・中国政府奨学金の募集目的を軸にする

日本人学生が中国に所在する大学において修学することを通じ、日本と中国との相互理解と交流を強化・推進し、両国ひいては世界の発展に貢献するような人材を育成することを目的とし、以下のとおり募集する。

JASSOサイトより

 JASSOのサイトには上記のように募集要項が書かれています。中国政府奨学金は日本と中国の懸け橋になるような学生を求めているので、「私は将来○○の活動を通して日中の懸け橋になる」といった内容を明記することが大事です。

・すべての内容に対して「なぜ?」を問いかける
 「なぜ中国じゃないといけないのか?」「なぜ日本じゃその知識を得られないのか?」「なぜその大学なのか?」「なぜその専攻なのか?」のように、自分で書いた内容すべてに疑問を投げかけましょう。面接選考のときはこの学習計画書の内容から質問されるので面接の対策にもなると思います。自分一人だけでは難しいものもあると思いますので、添削も兼ねて知り合いに読んでもらい、たくさん質問してもらうのがいいと思います。

・見やすい文章を心がける
学習計画書はJASSOの職員の方ほかに、面接のときには同席している大学の教授も読むことになります。いろいろ伝えたいことはあると思いますが、その中でも特に伝えことは何なのかを絞り込むことが大切です。私は「志望理由」「留学中の学習・研究内容」「帰国後の計画」のそれぞれを2、3個の箇条書きとその中身を文章で書きました。

3.最終卒業校の学業成績証明書

 申請時に高等学校3年生に在籍している場合は提出不要です。最終卒業校が高等学校、専修学校、短期大学、大学である場合はその学校の学業成績証明書を提出します。大学院が最終卒業校である場合は大学と大学院の学業成績証明書を提出します。申請時に大学の学部生の最終学年に在籍していて碩士研究生に申請する場合は高等学校の学業成績証明書を提出する必要はありません。
 またこの卒業校の学業成績証明書は英語で作成されたものを提出する必要があります。自分が在籍している、もしくは在籍していた学校に依頼して発行してもらうことになるのですが、学校によっては英語での発行が厳しいことがあるかもしれないです。その場合は日本語の学業成績証明書と英語で提出できなかった理由を日本語で添えて提出することになります。(後述の4.在籍校の学業成績証明書、5.最終卒業校の卒業/修了証明書、6.在籍校の卒業/修了見込証明書または在学証明書も同様

4.在籍校の学業成績証明書

 申請時に高等学校、専修学校、短期大学、大学、大学院等に在籍している場合はその学校の学業成績証明書を提出します。社会人や語学学校に在籍している場合は提出する必要はありません。

5.最終卒業校の卒業/修了証明書

 申請時に高等学校3年生に在籍している場合は提出不要です。最終卒業校が高等学校、専修学校、短期大学、大学である場合はその学校の卒業/修了証明書を提出します。大学院が最終卒業校である場合は大学と大学院の卒業/修了証明書を提出します。申請時に大学の学部生の最終学年に在籍していて碩士研究生に申請する場合は高等学校の卒業/修了証明書を提出する必要はありません。

6.在籍校の卒業/修了見込証明書または在学証明書

 申請時に高等学校、専修学校、短期大学、大学、大学院等の最終学年に在籍している場合はその学校の卒業/修了見込証明書を提出します。また申請時に高等学校、専修学校、短期大学、大学、大学院等の最終学年以外に在籍している場合はその学校の在学証明書を提出します。社会人や語学学校に在籍している場合は提出する必要はありません。

7.語学能力証明書

 授業が中国語で行われる専攻では本科生、普通進修生(中国語専攻を除く)または高級進修生の場合はHSK3級180点以上、碩士研究生または博士研究生の場合はHSK4級180点以上の成績証明書のコピーを提出します。HSKのみが有効で中国検定などは無効です。申請がHSKを受験してから2か月以内でまだ証明書が手元にない場合は、受験から1か月後にオンライン上で表示される成績照会のスクリーンショットを提出することも可能です。
 授業が英語で行われる専攻に申請する場合は、TOEFLやIELTSなどの英語能力証明書を提出する必要があります。

8.推薦状

 本科生と普通進修生に申請する場合は提出が不要ですが(ただし北京大学など一部の大学は普通進修生へ提出を求めることがあるため用意することが望ましい)、それ以外の学類に申請する場合は提出が必要です。推薦状は原則として在籍している、もしくは在籍していた大学の教授または准教授2名に、「語学能力」「専攻分野に関する知識」「人物」などに触れたうえで日本語か英語で作成してもらうことになります。ただし面接選考合格後にCSC電子申請システムにアップロードする際は英語のものを提出する必要があるので、できればこの時点で英語で作成してもらったほうが楽だと思います。また在籍はしていないものの入学予定大学の教員や共同研究先大学の教員など(教授または准教授であること)からの推薦状を提出することも可能です。推薦状の書式は自由ですが、直筆の署名と所属、職名の明記が必要です。

9.パスポートのコピーまたは戸籍抄本

 有効期限内のパスポートの氏名や国籍が書かれているページのコピーまたは戸籍抄本を提出します。戸籍謄本は無効です。

10.芸術作品

 芸術分野の専攻に申請する場合のみ提出が求められます。提出する場合はデータをCD-ROMに収めて提出します。美術専攻で申請する場合は「素描画2枚以上、色彩画2枚以上、その他の作品2枚以上」、音楽専攻や書道専攻で申請する場合は「演奏、制作作品、出演作品など」、芸術学や芸術史など実技ではない分野を申請する場合は「レポートや論文の要約などのコピー」のデータをCD-ROMに収めて提出します。

書類のコピー・郵送

 提出書類はコピーする部数やクリップでのまとめ方などが細かく指定されています。書類が不足していたり記入漏れがあったりした場合は不合格となるので、書類の準備をするときは本当に神経を使いました。2023年度は次のように指定がありました。

1.和文出願書:原本×1+コピー×6
2.学習計画書:原本×1+コピー×3
3.最終卒業校の学業成績証明書:原本×1+コピー×3
4.在籍校の学業成績証明書:原本×1+コピー×3
5.最終卒業校の卒業/修了証明書:原本×1+コピー×3
6.在籍校の卒業/修了見込証明書または在学証明書:原本×1+コピー×3
7.語学能力証明書:各コピー×4
8.推薦状:各原本×1+各コピー×3
9.パスポートのコピーまたは戸籍抄本:コピー×1
10.芸術作品:CD-ROM×1

・申請者が作成する書類は、申請者本人が作成すること
・書類はすべてA4判の大きさに折りたたむか台紙に貼付しA4判で統一すること
・開封無効の学業成績証明書等もすべて開封して提出すること
・No.1~No.8はそれぞれの書類の右上にNo.を記入したうえで、番号順に1部ずつ重ね、左上をダブルクリップで留めたものを4セット(正本1セット、コピー3セット)を準備すること
・書類が複数枚になる場合にはすべてのページに通し番号を記入すること
・「No.1和文出願書」のコピー3部、「No.9パスポートのコピーまたは戸籍抄本」のコピー1部、「No.10芸術作品」はダブルクリップで留めずに提出すること

 コピーの分などがあるのでかなりの量になります。時間がかかるので覚悟して作業に臨みましょう。コピーはカラーとモノクロのどっちでも良かったのですが、私はカラーのほうが情報が伝わりやすいと思いカラーで提出しました。
 これらの提出した書類は一切返却されません。面接選考合格後のCSC電子申請システムに登録する際は同じ書類を使うため、必ずすべての書類のコピーとPDFスキャンデータを残しておきましょう

 書類の準備ができたらすべての書類をJASSOに郵送します。持参による提出は不可です。郵送する際は封筒の表に「20〇〇年度中国政府奨学金和文出願書類在中」と朱書きをして、特定記録郵便などの記録が残る形で郵送します。私は書類の準備に時間がかかって、書類がそろったのが締切日の2日前だったので速達で送りました。受験番号を見ると私よりも後の番号があったので、ギリギリで提出する方が多いのかなと思いましたが、当然余裕をもって提出したほうが安心です。

 書類提出の締切日から約1か月後に書類選考の結果が発表され、さらにその2週間後に面接選考があります。書類を提出した後は合格を祈って面接の練習をしましょう!


 ここまで書類選考についてまとめました。次は面接選考についても書きますので、ご参考にしてください!

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