【2023年度中国政府奨学金】Ⅰ概要
今年度、日本学生支援機構(JASSO)経由で中国政府奨学金(本科生)を申し込んで、合格することができました。
応募するにあたってネットで情報をかき集めたのですが、その時に役に立った内容や欲しかった情報などを思い出せる範囲で残しますので、2024年度以降に応募される方のお役に立てれば幸いです!
※2023年7月現在での情報です
中国政府奨学金とは
中国政府奨学金は中国国内の大学において世界の発展に貢献する人材の育成を目的として設立された、中国教育部による給付型の奨学金制度です。日本からの応募には「日本学生支援機構(JASSO)」と「日中友好協会」の2つの窓口があります。(日中友好協会経由では普通進修生と高級進修生のみの募集)
私はJASSO経由で中国政府奨学金を申し込んだため、以降の情報はJASSO経由による応募の経験をもとにしています。
中国以外の国でも政府奨学金の制度がありますが、中国政府奨学金ほど募集人数が多く、また奨学金のサポートが手厚いところはないように感じました。
募集要項
募集人数
110人
2023年度は、総応募数146人(公表されているわけではないため書類選考の合否結果からの推定)⇒ 書類選考合格者138人 ⇒ 面接選考合格者109人+補欠合格者14人 ⇒ 最終選考合格者91人(内補欠合格からの繰り上がり13人)という結果でした。
したがって、倍率は1.60倍程度であると考えられます。
行きたい大学は第3希望まで記入できるのですが、2022年度の応募から希望する大学がすべて不採用となった場合は不合格となりましたので、大学のレベルなどいろいろ考慮する必要があるようです。最終選考合格者が91人と募集人数よりもかなり少ないことに驚きました。
留学生の種類および給費期間
本科生は学士、碩士研究生は修士、博士研究生は博士の学位を習得できますが、普通進修生と高級進修生は学位の習得はできません。
奨学金の支給内容
中国の大学の学費は地域や学部によってバラツキがありますが、およそ16000~25000元/年となっています。
応募資格
おそらく多くの人は語学能力に関する条件が一番気にする項目だと思いますが、本科生・普通進修生・高級進修生はHSK3級180点以上、碩士研究生・博士研究生はHSK4級180点以上の成績証明書の提出が求められます。(HSKのみが有効で中国語検定などは無効)
ただし、普通進修生の中でも中国語を専攻する場合と英語で行われる専攻に申請する場合はHSKの成績証明書は不必要です。
HSKの成績は書類選考と面接選考への影響はあまりないように感じましたが(それ以上に学習計画書など他の項目の方が重要視されていた印象)、当然大学へは世界中から申請が殺到するため、枠を超えた場合は語学能力も一つの判断材料になると聞いたことがあります。そのため、勉強してできるだけ高い級を取得しておいたほうが良さそうです。
ただ大学のサイトを見ると理系はHSK4級以上、文系はHSK5級以上が必要と書かれているところもあるので、理系は4級以上、文系は5級以上は持っていたほうが安心だと思います。私自身は5級を取得して理系に申請しましたが、最低でも4級を取得している方々が多かったです。
HSKを受験したことがある方はご存知だと思いますが、HSKは試験を受けてから結果が出るまで1か月、成績証明書が郵送されるまでさらに1か月もかかります。そのためJASSOに申請書類を送るのに間に合うように余裕をもって受験されることをお勧めします。(受験したのが申請の2か月以内で証明書がまだ手元にない場合はスクリーンショットを提出する)
2023年度は昨年度より選考日程が1か月程前倒しされたため、HSK受験の予定が狂ってしまい、焦ったのを覚えています。今年度は救済措置として語学能力証明書のみ遅れて提出することも可能になりましたが、来年度以降はどうなるかわからないので早めに受験しておきましょう。
申請の流れ
最終合格通知を受け取るまでの流れを以下にまとめます。手順や日程は毎年変わるため、JASSOサイトと合わせてご確認ください。
①下準備(HSK受験、リサーチ等)
中国政府奨学金の制度を初めて知ったのが2022年の4月くらいで、そこで申請にはHSKの成績証明書が必要なことを知りました。中国語は以前から興味があり勉強はしていましたが、HSKは受験したことがなかったのでまずはHSKの受験を決意しました。5月に2級、7月に3級、9月に4級、10月に5級を受験してすべて合格することができました。
次に大学を調べて第3希望までを決める必要があったのですが、専攻が決まっていたことと幸いにも中国人の先生に助けていただけたおかげで割とスムーズに決まりました。中国政府奨学金を利用して留学できる大学は中国国家留学基金管理委員会(CSC)のサイト「Study in China/留学中国」の「院校&专业」から調べることができます。まずは学びたい専攻から大学を絞り込み、その後は大学のレベルや地域などを考慮して第3希望まで決めるといいと思います。
また2023年度の募集から修士、博士、普通進修生、高級進修生は、原則として、本奨学金の出願前に留学希望大学の入学試験を受け、受入れ内諾書(予録取通知書)または指導教官の招聘状などの証明資料を取得し、CSC電子申請システムでアップロードすることが必須となりました。私自身は本科生の申請だったため関係なかったのですが、本科生以外に申請する場合は奨学金を申し込む前に希望する大学に連絡を取って試験を受ける必要があるようです。
②書類選考(~12月9日)
必要な書類をまとめて東京都江東区にあるJASSOに郵送します。中国政府奨学金は提出する書類が非常に多く、中には発行までに時間がかかるものがあるため前もって準備することをお勧めします。
③書類選考合否発表(1月20日)
1月16日にメールで自身の受験番号と合格発表日時の案内がありました。結果はJASSOのサイトにPDFで掲示されていました。受験番号はA~Gのアルファベットと数字で構成されていて、申請した専攻分野によって分けられているようです。
④面接選考(2月3日)
1月24日にメールで面接に関する内容のお知らせが来ました。以前は東京でオフラインでの面接でしたが、コロナウイルス感染対策のためここ数年はZOOMを利用したオンラインでの面接となっています。面接選考前日の2月2日の午後にZOOMの接続テストがありました。面接選考は面接官が5人に対して受験者は3~5人の集団面接で10分間ほどでした。また面接は日本語と中国語で行われました。
⑤面接選考合否発表(2月10日)
2月8日にメールで合格発表日時の案内がありました。結果は書類選考の時と同様にPDFで掲示されていました。この日は学校のテストがあったのですが、早めに終わらせて途中退室して結果を見たのを覚えています。緊張からなかなかPDFを開けませんでしたが、思い切って開いたところ自分の受験番号があってとても安心しました。
⑥CSC電子申請システムへの登録(~2月15日)
面接選考に合格した人は直ちにCSC電子申請システム(中国政府奖学金
来华留学管理信息系统)に申請内容を登録する必要がありました。登録する内容がかなり多く時間がかかりました。またこの際に外国人体格検査表と無犯罪経歴確約書を同システムにアップロードする必要があるのですが、外国人体格検査表は国公立病院か日中友好病院での診断が必要になるため、面接選考の結果を待たずに取得が必要になりました。(費用は¥25000ほどで1~3週間で取得できる)
締切日までにどれか一つでも未提出のものがあった場合は不合格となるので注意が必要です。
⑦最終合格発表(7月3日)
CSC電子申請システムに登録した内容をもとに中国国内の大学で選考され、その最終結果が発表されました。システムに登録してから約5か月も動きがなかったので心配になりましたが、ちゃんと郵送による書面とJASSOのサイトに掲示されていました。書面には受け入れが決まった大学と学類が書かれていました。
最後に
ここまで自分自身の経験をもとに、中国政府奨学金の概要をまとめました。中国政府奨学金は毎年、申請の流れや日程が変更されます。そのためJASSOのサイトを常にチェックし、時間に余裕をもって準備しましょう。私は書類の締切日を知ったのが締切日の2週間ほど前で、かなり急ピッチで書類の準備をすることになってしまいました。
中国政府奨学金は越えなければいけない壁がいくつかあり、準備にはとてつもない時間がかかります。しかし、その先にはその苦労の分明るい未来が待っています。
皆さんが中国政府奨学金の奨学生になるのにこの投稿が有益なものであれば幸いです!心より挑戦を応援しています!