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17・放射線治療が始まるまで

8月12日。

8月に入り急激に傷が良くなってきたように思う。

先生にも「これなら放射線治療の準備に入れますね」と言われる。


この日は傷を見せてから、初めて放射線科へ。

放射線科は地下にある。

センチネルリンパ節の印をつけるために手術前日に行ったところの近くだった。

手術からもう2ヶ月が経つのか、早いなあ。


放射線科の先生は若い女性だった。

治療に入る前にCTを撮ること、撮影には狭い場所で動けないことを聞かされ背筋が凍る。

パニック障害の薬は2年前から飲まなくなっているとはいえ、狭い場所や人ごみが未だに苦手だ。

気をそらせていれば大丈夫だけれど、数分間動けないと聞いただけで怖くなる。

多分そういうのが苦手な人が多いのか、事前に諸々を聞かれたので現状をお伝えした。

先生はなんとなく「面倒な患者が来たな」という雰囲気。

そりゃそうだ、サクサク進めなければ後がつかえてしまう。


次のCTの予約をし、事前に落ち着くための薬を処方される。

診察室を出て、今度は看護師さんから話を聞く。

どうやら知らない間に体がガチガチになっていたようで

「リラックスよリラックス!大丈夫!」

そう言って手を握ってくれた。


帰宅途中の電車の中で元夫に連絡。

放射線治療が始まること、怖くなったこと。

元夫は「今だけを見つめるんだよ。1分先でもなく、今。今に焦点を当ててみて。こうなったらどうしようとか考えないで、今だけを見て」

この人はよく私のことを分かっている。14年も一緒に住んでいたのだから当たり前か。

私はどうしてこの人の手を離したのだろう。


夜、親友にも泣き言を言った。

毎日通わなきゃいけないのに怖い。なんでもないことが出来ない自分が情けない。

親友は「このアプリオススメだよ!」とウォーキングアプリを教えてくれた。

「毎日通うなら歩数も稼げるし、私もやってるから一緒にやろう!」


そして数日後に彼女から宅配便が届いた。

開けてみると水出しのフレバリーアイスティー。

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「これを飲み終わる頃には治療も終わるね、毎日飲んでみて!」

嬉しくて、嬉しくて、涙が止まらなかった。


数日後ママ友からLINE。

お守りもらってきたから渡したいという。

近所のテラス席のあるカフェでランチすることに。

彼女がくれたのは、ガン封じというお守りだった。

来週から放射線治療が始まるんだと伝えると

「ならちょうど良かったね」と笑った。

本当、ものすごいタイミング。

その心遣いが、本当に嬉しい。


会社の同僚からLINE。

「ミサンガ預かってるよ、お守り付きの!」

私が乳がん治療中で休職していることを知った同フロアの方がくれたらしい。

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またしても、このタイミング。

私、どれだけ守られているんだ?



普通の人ならなんてことない「電車に長時間乗る」や「しばらく動けない状態」が私には恐怖でしかない。

自分はなんてダメな人間だろうと自分を責めていたが、みんなの優しさを感じたら、なんだか頑張れそうな気がしてきた。

ていうか、やるしかない。

私がこれから、何十年か生きていくために必要なこと。やらないという選択肢は、ない。



8月18日、放射線治療のためのCT撮影。

体にマークをつける。

1ミリ単位でもズレがないようにするとのことで、私は腕を万歳の格好で台に寝転んでいるだけ、先生たちが撮影とマーク書きを繰り返す。

この日は念のためと渡されていた安定剤を服用したが、なんてことはなかった。

薬が効いていたのかもしれないけど、落ち着いていられた。

撮影には上半身裸になるので事前にガウンに着替える。

その更衣室は一畳くらい。

看護師さんが「ここは大丈夫ですか?」と声をかけてくれる。

うん、ここは大丈夫。

狭いのが苦手だけど、こういうのは平気。

人によって色々だと思うけど、私の中の定義も曖昧だ。


撮影が終わり、「来週から照射に入りますが、マークが消えないように注意してください」とのこと。

着替えの時に見たら、マークだらけで笑った。人造人間みたいじゃん。

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胸辺りは当然ながら、かなり細かく書いてある。見せられないけど笑

治療が始まれば書き足してもらえるけど、来週の第1日目までは自己管理。

消えそうになってきたらマジックでいいから書き足してね、と。

またマジック!!


さあ、来週から毎日照射に病院へ通うんだ。




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まこ
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