13・手術当日のお話
あまり寝られず6時過ぎに起床。
そら緊張するわな。しゃーない。
先生の回診で、今日切るところをマーキング。
えええええ、マジックぅぅぅぅぅぅ。
朝の10時までにOS 1とアルジネードウォーターを飲み終えた。今日は絶食だもんな。つら。
そして待っている時間の長い事!不安しかないわ。コロナで面会禁止だから1人だし。
同室の方が今日退院でご挨拶に来てくれた。これから手術なんですと言うと、大丈夫元気になりますよって。ほんと、退院していく人はみんな元気。昨日手術だった同室の方も特に問題なさそうで、朝からご飯食べていたし。なんか元気もらえるな。私も明日にはモリモリご飯食べられているといいな。
手術の予定は13時だったが、12時20分に早まりましたと看護師さんに言われビビる。なんで?私になんか問題?なんでもないことでもナーバスになってしまう自分が憎い。。。
今日は妹が来てくれる予定。
手術着に着替え、パンツも紙のショーツに替えて看護師さんとエレベーターホールへ。妹と合流。
今日入院の人がいたけど可愛いワンピにキャリーバッグでどこの避暑地に行くんだよって感じだったって妹が話してたけど、あなたのお姉さん(私)もこんな服で入院してきたんですわ。
看護師さんにそれとなく、なんで手術時間が早まったのか聞いてみる。
「ああ〇〇先生でしょ?先生ね、仕事早いの、天才だから。今日もまこさんで3番目だけど前の2件が早く終わったんだと思うよ?先生、いつものことだから」
なんと!!
天才先生、よろしくお願いします!!(不安吹っ切れ)
手術室前でしばらく待機。
不安を和らげてくれる看護師さんのトークに感謝しつつ、名前を呼ばれ妹と別れて中へ。手術担当の若い2人に引き渡され、名前などの確認。
さらに奥へ進むと手術室がめっちゃ並んでる。す、すごい。。。
中に通され、台に両手を広げて寝てくださいと言われる。キリスト状態。寝てるけど。もうここまでくると恥じらいとかなくて。手術着を脱いた時サッとタオルを前に当ててくれる優しさに感動。堂々とさらけ出してなんかスンマセン。
ちょっと年配の(いやわかんないけどイメージがひとみばあさん→失礼だから!)方が優しく説明してくれる。
ふと見ると天才先生。髪を入れる帽子?被ってたからわからなかった。いま部屋にいるのは天才先生と若い男女の助手(看護師さん?)とひとみばあさん(失礼だってば)。手術室ってこんななんだ、と思いつつ、天才先生が「緊張してる?」と話しかけてきた。なぜなら心拍などを取り付けていた機械がずっとキンコンキンコン鳴りっぱなしだったから(笑)
先生が手を握ってくれた。ああ、なんて人の手って安心するんだろ。鳴り響いていたキンコンキンコンもおさまるというわかりやすい体よ。
ひとみばあさんが「眠くなるお薬入れますね」と言ったので、頭の中で嵐の曲を歌い始める。(ファイトソング)「いつも通りの君でいい」とワンフレーズ歌ったところで私の意識は途切れた。
ふと目を開けると天井が眩しかった。
「3時10分です!」という声。これで起きたのかどうかは不明。
多分手術したところ。めっちゃ痛い!
次に意識があったのは、なんとなく廊下。
そして次にはもう病室にいた。
看護師さんが色々お世話をしてくれてた。痛みは10段階でどのくらい?と聞くので8と答える。その後痛み止めを入れられたかどうかはわかんないけど、ほとんど痛みは無くなった。
痛くはないけど寝苦しい。背中痛い。腰も痛い。暑い。
看護師さんに時間を聞くと夕方の6時でビックリ。まだ4時くらいだと思ってた。結構寝てたんだな。
先生が見にきてくれた。
「あれ?出血してる」
リンパ液を外に流すドレーン(管)が刺さっているのだが、どうやら出血してるらしい。
急にあわただしくなる。もう1人の先生を呼び、2人で血をドレーンに送っている模様。
下から先生を見上げてるのもなんなので暇だし目をつぶっていたら
「まこさん!?まこさん!?大丈夫?!辛い?!」
「いや、特に、大丈夫です、痛みもないし」
「あああ良かった!何かあったらすぐに言ってね、我慢すると後で余計大変だから」
これ、言われて良かったと思う。基本的に痛みに強くなんでも我慢しちゃうタイプなので、ちょっとのことで辛いとか言い慣れてないから(笑)
一度気分がなんとなく悪い気がして初めてのナースコール。
「たいしたことないんですけど、ちょっとだけ」そう言う私に
「いいの、いいの、それで合ってる。我慢だけはしちゃダメ」と言われた。
その後も先生たちは時間と血液の量を何度も計っていた。
「もしこのまま出血が止まらなければもう一度開いて確認する」と言われた時は絶望したが、夜の9時には出血もおさまり事なきを得た。
良かったー!!
明日また来るからね、と先生。
遅くなっちゃってすみません。ありがとうございます。
看護師さんに携帯を取ってもらい、みんなに連絡。妹からは3時24分にラインが入っていた。
「無事終わって良かった!転移もないって!〇〇(元夫)と〇〇(息子)にも連絡しといたよー」
そっか、転移なかったんだ、良かった、、、本当に良かった!!!
そういえば妹とは手術後会ったんだろうか?手術室出たら妹さんに会えますよって聞いてたけど1ミリも記憶がない。
後で妹に聞いたら
「覚えてないの!?話したじゃん!頑張ったねって言ったら頑張ったって半泣きで言ってたよ。この人、半泣きで手術室入って、半泣きで出てきたって思った」
マジすか(笑)
全く覚えてないけど超絶恥ずかしい(笑)
しかし、この夜が一番苦しかったと思う。夜になって水分は取ってもいい事になったが、体は動かせない。背中痛い腰痛い、酸素チューブは取れているが点滴もあるしドレーンもあるしおしっこの管もついてるし足はむくみ防止でシュコシュコいうやつついてるし。
ほんの数時間寝てるだけでこの辛さったら!
寝たきりの人はどれだけ大変だろう。。。
看護師さんは3時間ごとに見回っているようだが、手術当日の人だけは頻繁に見に来てくれてるらしい。
夜中、ちょっと気持ち悪くなり、ナースコール。普段の私ならこれくらいでナースコールしないけど、今はした方がいい、はず。
たいしたことなかったが近くにビニール袋と水の入ったコップを置いてもらう。
こんな状態だからか、急に不安感に襲われる。
あああ、やだな。どうしよう。
「すみません、ちょっとだけ手を握ってもらってもいいですか?」
恥を忍んで頼んでみる。
看護師さんは優しく手を握ってくれた。多分娘くらいの年齢だろう。なんか、ごめん。おばさんの手なんか握ってもらって。
でもこれだけですごく安心できた。
人の温もりって(本日2回目)
「大丈夫です、ありがとうございました」
「もう少しそばにいましょうか?」
「いえ、忙しいのに申し訳ないから」
「大丈夫ですよ、寝ちゃってもいいので、もうしばらくいますね」
多分、この看護師さんは天使だったと思う。うん、絶対天使だ。
月明かりの逆光で全く顔は見えなかったが、多分天使だ。
退院してから息子にこの話をしたら
「ああもうだせえ!究極にだせえ!」と笑われた。
しょーがないじゃんか。
結局この日は朝までうつらうつらするだけでほとんど寝られなかった。
でも、終わった。
手術は終わったんだ。
生きるための、次に歩き出すための第一歩。
私はこの病院でたくさんの優しさにあった。「ありがとう」を何度言っても足りないぐらいだ。
本当に、本当に、心からありがとう。