萌えない灰色の袖

生まれた時、よちよち歩きができるようになったとき、あるいは物心がつく前おそらく裸体を晒す事に微かな抵抗もなかったであろう

物心がついたら、裸体を晒すことはものすごい恥で、でも足と手は見せて良くて、身に纏う物は綺麗に見えるように洒落てなければいけないと知る。裸体は公で見せられないもので、私達は裸体の隠し布をファッションとして文学として美しむ

感情

20歳にもなった男性がやだーっと泣き喚いてるわけにはいかない
かといって感情をひた隠しにしては人間味も面白味もないつまらない人間で魅力はないから、みんな感情の足や手をにょきっとしてみる

精神性における裸

私は足も手も隠しすぎた
足も手も隠しすぎて自分には裸体があるのかすら忘れてしまった
自分の手は足はどうやってにょきっとしたらいいか忘れた

灰色の春、灰色の夏、灰色の秋、灰色の冬

手の出し方は忘れたから握手を求められたら萌え袖で出してしまった

萌えない灰色の袖

いつか自分の萌え袖に気づいて捲ってくれないだろうか 小心者の私に不可能なコト




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