見出し画像

作詞〜子犬のまま〜

ボクはここに生まれた
この星に生まれた
生まれたのか現れたのか
借り出されているのかだって分からない
わけも分からないまま中に入った

ちゃぽちゃぽした水の音の中
かすかに聴こえてくる
誰かの楽しそうな声

ここにポッと現れたときから
ずっと感じてるリズミカルな波の音
聴こえてくる息づかいだって
どんな声だって
全部ぜんぶボクに転写した

あぁそれなのに
古いからって長いからって先に行かないでよ
転写されたそのカルマの食べかす
まだここにあるよ
残りをボクに分け与えて先に行くなんて
その背中見て追いかけてきたボクは
誰かが箱にそっと入れて去った子犬のまま

ボクはここに生まれた
この地に生まれた
選んだのか選ばれたのか
頼まれたのかだって分からない
理由なんてこれっぽっちも分からないけど
とにかくここに入った

何かで照らしたくなる黒の中
かすかに触られてる
誰かの手形が見える

突然外に出されたときから
ずっと見てきたどちら様かの背中
透けて見えるその内だって
どんな我慢だって
全部ぜんぶ全部ボクに転写した

あぁそれなのに
殻を破ったわってもういいのよって
勝手に進まないでよ
煙たがられてたらい回しにしたもの押しつけて
用がなくなったらそれごとボクまで置いてゆく
殻の破り方だって聞いても答えてくれないのに
大人なんだからの気持ちで
ポイっと片付けられて

甘噛みもやめて
あとをついて行くのもやめて
泣いてあやしてもらうのやめて
自分でご飯食べて

ボクはまだ
誰かが箱にそっと入れて去った子犬のまま
子犬のまま...
子犬のまま...

箱から一歩出なさいと言われている

ボクはまだ子犬のまま...

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?