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ヤマトタケル・週刊少年ジャンプと侵略戦争と社会

先日、スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」を鑑賞する機会があったのですが、気づきが色々あったのでメモ。(歌舞伎の感想書くと長くなるので割愛します)

ヤマトタケルは古事記、日本書紀に登場する日本神話の中に登場する人物の一人。

古事記、日本書紀はアニメ、漫画、映画、書籍などあらゆるエンタメコンテンツの元ネタになっていたりする。単純に元ネタ知っていると作品の楽しさが増すのと、2,000年くらい前の人がどういう世界観で生きていたかを知ると、抽象化を通じて、現代に転用できたりしそうだなと、最近になって密かにハマっております。

ヤマトタケルのあらすじ

ヤマトタケルは、大和の国の皇子。

ある日、ヤマトタケルは、ヒョンな事から兄を誤って殺してしまいます。

そのせいで、父である帝の怒りを買い、ほぼ死刑宣告に近い形で、次々と勝てないと思われる敵国征服の命令をうけることに。

ヤマトタケルは、帝に許してもらいたい、愛してもらいたい一心で戦いに明け暮れます。

元々は、心の優しく謙虚な人間だったヤマトタケルが、神剣「草薙剣」を片手に敵国に勝つにつれて自信をつけていきます。自信だけでなく、次第に傲慢さも増してしまい、最後はそれが仇となって、命を落としてしまう。。

成長とともに微妙に変化していくヤマトタケルの心理変化を描く、週刊少年ジャンプみたいな物語です。

日本神話からひも解く「日本」のルーツ

古事記、日本書紀を読んでいると、日本人の中に暗黙知として根付く文化や精神性の原点を感じることがあります。また、名前としてその一部が知らず知らずのうちに現代に継承されていたりします。

例えば、「日本」。

「日本」という語源の由来はいくつかあり、「日出ずる国」と海外に自己紹介したことが起因とするという説が有力です。「日出ずる国」と表現した背景として、単純に太陽が早く昇るという物理現象を起因としてそう表現したというという見方が大半だと思いますが、

古事記、日本書紀の視点から考察すると、日本の天皇家のルーツを遡ると、太陽神「天照大御神」に行きつくため、太陽神の子孫として、「太陽」と日本人は深い関係があることがわかります。この視点からすると「日出ずる国」とは、「天照大御神の国」とも受け取れます。

話は飛びますが、鬼滅の刃で「ヒノカミ神楽」というワードが主人公の技になっているのも、
神楽によって最高大陽神「天照大御神」を憑霊させて強くなるようなイメージでしょう。(鬼は大陽が苦手という設定にもリンクしますね。)

また、ワンピースの物語終盤において、「太陽神」というワードが突如、重要キーワードになってくるのも、同じく日本最古のエンタメである古事記、日本書紀を元ネタしているのではないかと思っております。
日本において、「太陽」は最重要キーワードですからね。
(妄想です笑)

ここら辺は、古事記、日本書紀を読んでいなくともあらゆるエンタメに入り込んでいたり、日本の文化として根付いているところがあるので、サブリミナル的に無意識に心に響くものがあるのでしょう。

こちらも全く脈絡がないですが、プレーリーカードを導入してくださっている
プルデンシャル生命保険さんの営業テーマが「日出ずる国の営業」になっているのも😆
https://www.prudential.co.jp/socialmedia/

ヤマトタケル・侵略戦争と社会

さて、話は戻しましてヤマトタケルですが、今、改めてこの作品を掘り起こす必要がある理由は、この作品が「侵略者」の物語でもあるためです。

ヤマトタケルは父である帝に命じられて、異民族へ侵略戦争を仕掛けます。

「大和の国の文化と、自分たちは合わないと思ったから、大和とは別に自分たちの思い描く国をつくって暮らしたかった。」という熊襲、

自分たちが大切にしてものをどんどん壊していく大和に対して、「米と鉄の武器だけが大事なのか。」と問いかける蝦夷。

悪者である異民族を征服するというシンプルな二元論の物語ではなく、きちんと征服される側の心情にも触れている点がよかったです。

現在のロシア、ウクライナ、イスラエル、台湾問題を彷彿とさせ、2,000年経っても人類は歴史を繰り返してしまうのかと悲しくなってしまいます。

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ヤマトタケルを観ていてふと気づいたのが、
昔の人が異民族と最初に関係を持つとき、

①ギブ(貢物を持ってご挨拶にいく)
②テイク(侵略戦争)

の2択しかなかったということです。

ギブアンドテイク(等価交換)なんてものは、社会が成熟し、一定の社会ルールに皆従う前提ができてから。

全く知らん人と仲良くなるには最初は、とにかくギブして、自分がテイカーではないことを証明せねばならんかったということだ。

人から与えられてばかりで、テイカーになってしまってないか、改めて意識して生きていこうと思った次第でございます。


境勇人

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