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20240926 知の体力 永田和宏
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大学の存在
なにしろ大学より上の教育機関はないのだから。
君たちは日本という国において、まちがいなく最高の教育を受けている人間である。その君たちが社会に起こっている様々な問題に対して、自分自身の考えを持てないとしたら、自分で考えてみようとしないとしたら、この国においていったい誰がそれを考えられるというのか?
大学にあってまで、先生はいつも正しいという信念に、なんの疑いも抱くことなく卒業してもらっては困る
大学で経験してほしいことは、自らの可能性に気づくという事
「知の体系」を個々の場合に応じて、個々の状況に対応して、いかに組み替えて、その場に固有の「知」として再構成できるか、それをみずから手で行えるように訓練する期間だと考えている
ネガティブ・ケイパビリティ:もやもや保持力
それまでに経験したことのない宙づり状態に耐える知性
私の考えていることは、あなたの理解していないはずだという前提からすべては始まると言ってよい
「わかっている」と思っていたことのすぐ横に、こんなことさえもまだわかっていないのかと知ることは、それなら自分でも何とかその問題、課題の解決に参加できるかもしれないと思わせる契機になるだろう
知の豊かさ
ひょっとしたら一生にいちどしか使わないかもしれないかもしれないけど、それを覚悟でひとつの語彙を自分の中に溜め込んでおくことが、生活の豊かさでもあるはずなのだ。
「みずから情熱を研究にささげるということ」が学生に伝わること、「学生にわからせるというよりも、ご自身の興味に溺れること」
自分の世界と他人の世界とコミュニケーション
日々の労働仲間は、せいぜい10人
すぐ横には別の世界があって、別の涼しい風が吹いている
質問は発表者自身に示唆を与えるだけでなく、それは発表された新知見を、自分のなかに組み込んで、知識の展開を図り、新しい知の体系を獲得する作業でもある。
言語化することは、既にデジタル化している
デジタル情報の隙間から漏れてしまったはずの相手の思いや感情を、自分の内部に再現する努力をして初めてコミュニケーションが成立する
歌にできないのは、「自分が何も考えていないから歌にならないんだ」
期待
税金から成っている研究費だから、研究者はそれに見合った社会的貢献をしなければならない
自分の地位にふさわしい対応を無意識に求める