ショートショート(新社会人)
いつもなら、心を無にして目を瞑り、時折、天井から吊るされているTVの声に耳を傾けるくらいなのだけど、今日はどうしても、とある思いに心が縛られ、全く他の事が手につかなくなってしまった。
まあ手につかないといっても、そもそも床屋というところは、手は散髪ケープの下でモジモジするくらいの事しか出来ないわけなのだけど、僕は今、そのケープの下で誰にも悟られないのをいいことに、右手の人差し指を1本立てて、指揮者の様に降りわましていた。
指揮者だなんて、君は音楽家のつもりかい?
いや、