遅い後悔
「なによ!こんなもの!!」
ガシャーン!!!!
怒りのあまり加奈子の投げたものが音を立てて壊れた。
しまった・・・
そうすぐに思ったが時はすでに遅かった。
妹の優子は自分が作った陶芸のお皿を割られて
一瞬目をパチクリさせたがすぐに大きな声で
泣き
「うわーん、お母さ~ん!!」
とキッチンにいる母を呼びにいった。
加奈子が割ったのは夏休みの自由工作で作った
陶芸のお皿だった。
妹の優子と一緒に別々に一個ずつ作ったのに
優子だけ市のコンクールに出品され、それもなかなかの賞を受賞したのだった。
そのことが優子はすごく自慢だったらしく
「私ってすごいでしょ?」
と、ことあるごとに言うのだった。
最初はハイハイと流していた加奈子だったが
今日はコンクールから戻ってきたお皿をリビングに
飾ろうとしていた優子が
「ねぇ、お姉ちゃんのお皿どけていいよね?
こんなぼろっちいのと飾ってたら私のお皿もボロく見えるもん」
と冗談っぽく言ったのが許せなかったのだ。
コンクールには選ばれなかったがなかなか苦労して作ったものをバカにされたのと妹に負けた悔しさで
日頃のこともありつい怒りがこみ上げて優子の
作品を床に叩きつけてしまったのだ。
リビングで呆然としていると優子が泣きながら母を連れてきた。
「お姉ちゃんが!お姉ちゃんが~!!」
床に散らばるお皿の破片を見てお母さんは一瞬驚いた顔をして
「これはどういうこと!?加奈子、説明してちょうだい」
「あ、あの・・・優子が私のお皿をバカにして・・・それでカッとなって・・・つい・・・」
その言葉を聞くとお母さんは大方事情は察したのか
大きなためいきをつき
「・・・加奈子、お部屋に行きなさい」
と静かに命じた。
とぼとぼと階段を登り自室へ向かう加奈子
お母さんは割れた破片の後片付けをしているようだった。
自室ではベッドに腰掛け、いろいろなことを考えていた。
割ってしまったのはやりすぎだったなぁ・・・
かわいそうなことをしてしまった・・・
自分がされたらどんなにショックだろうか・・・
いくら後悔しても時間は戻ってこない
しばらくするとお母さんが部屋に入ってくる。
手には電気コードを二つ折りにしてビニールテープでぐるぐる巻きにされたものを持っている。
ムチだ・・・!!
ムチをされる・・・!!
瞬時に加奈子は自分の運命をさとった
多少は覚悟はしていたものの現実を目のあたりにして
頭がくらくらしている加奈子を知ってか知らずか
お母さんはムチを一度勉強机の上に置きベッドに座っている加奈子の横に座る
「・・・大体のことは優子に聞いた。
ねぇ、何であんなことをしちゃったの?」
「・・・私も頑張って作ったのに・・・優子がバカにして・・・ついカッとなって・・」
必死に声を絞り出す加奈子
「たしかに、優子にも悪い点はあったわ。でもカッとなったからって人の物を壊すのはどうなのかしら?」
「悪いことしたって思う・・・カッとなったことを後悔してる・・・」
「そうね、でも後悔をいくらしてもお皿はもう元通りにはならない。今日は間違った行いをしたあとどれだけ後で後悔しても遅いってことをしっかり教えます。」
一瞬、間があき
「・・・パンツ、脱ぎなさい」
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