Bリーグチェアマン就任から1年。コロナ禍でのリーグ運営とマニフェストを振り返る
本日2021年6月30日、Bリーグ臨時会員総会の決議をもってチェアマンに再任いたしました。さらに2年間、改めてバスケで日本を元気にするために邁進してまいります。
チェアマン就任からちょうど1年が経ちました。大河前チェアマンの辞任を受けての就任だったため任期は1年(正確には9月末までですので1年3か月)でしたが、今回は2年の任期となります。この2年でBリーグをどうしていきたいのか、日本バスケのために何をしていきたいのかを2回のnoteに分けてお伝えしたく思います。
まず今回は、この1年のリーグ運営についてと、宣言したマニフェストについての振り返りです。次回はこれからのリーグ運営と新たなマニフェストについてお伝えします。
(マニフェストについてはこちら)
コロナ禍での2020-21シーズンについて
この1年間、実際に始まってみなければわからないことがたくさんありました。チェアマンという仕事の重責を理解していなかったわけではないですが、改めて身が引き締まる思いでおります。
新型コロナウイルス感染拡大によって、シーズンを開幕できるかわからない時期に就任。「開幕できるかどうか」という議論をしていましたが、「やる」と決断し、動き始めました。
とはいえ、本当に次の試合が開催できるのかわからない、先が見えない、準備が無駄になる懸念もある中で、観客収容制限なども含め、常に感染拡大状況に翻弄されながらの1年間は本当に大変でありました。
そんな中、まずはリーグスタッフが頑張ってくれたことに本当に感謝したいです。オールスターゲームの開催中止が決まってからすぐにオンラインイベントを発案・企画し、開催してくれたことなど素晴らしい仕事をしてくれました。
もちろん、クラブ関係者にも心から感謝しています。リーグの場合、スポンサードが複数年契約になっている部分もあります。先の見通しが立てやすい、ということでもあります。
しかし、クラブのスポンサードは単年契約が基本。運営はリーグよりも大変だったのではないでしょうか。それぞれの営業現場においても、試合会場においても直接お客様とコミュニケーションを取れるのはこの仕事の醍醐味でありますが、非接触、ソーシャルディスタンスを要求される今シーズンは、精神的にも経済的にもダメージは大きかったはずです。
リーグスタッフ・クラブ関係者のみなさん。1年間本当にお疲れさまでした。厳しい状況は続きますが、Bリーグは今後もみなさんとともに努力と成長を続けていけるはずです。
クラブ支援がパワーの源泉に
私が提示しているクラブへの経営支援メニューの中に「クラブ・スポンサー・自治体等へのチェアマン訪問」があります。
"クラブの成長なくしてリーグの発展なし、リーグの発展なくしてバスケ界の繁栄なし"が私の持論です。リーグのトップである私が直接表敬訪問をしたり、勉強会や説明会、講演等という形でクラブをサポートします。
それぞれのクラブからの要請を受け、スケジュールを調整して訪問を続けてきました。クラブ経営のためにスタッフに講習をしてもらいたい、アリーナ建設の機運醸成のため自治体を表敬訪問してほしい、スポンサーへの挨拶に同行して欲しい……私が行くことが少しでも助けになるならばと、全国を走り回りました。
もちろん大変ではありましたが、それ以上に、頑張っているクラブの方々に触れることでむしろ私のほうが元気をもらいました。
リーグの仕事の中でリモートミーティングがあったり、数字の上では各クラブの状況はわかっています。それでも、その土地のお客様やスポンサー様と直接のコミュニケーションを取ること、現場の臨場感を体感することで全てのステークホルダーのみなさんへの感謝はより深まりました。本当にありがたかったです。
数えてみると、この1年でB1・B2・B3全47クラブ中36クラブを訪問したことになります。もちろん今後もクラブからの要請があれば訪問しますので、どんどん私を使ってもらいたいと思います。
2020-21シーズン チェアマンマニフェストの振り返り
こちらは今回のチェアマン再任にあたり提出した資料の一部です。(もちろんパッと再任したわけではなく、こういった資料を全クラブに共有し、全会一致で再任されています)
マニフェストの項目と振り返り、評価について1つずつ見ていきましょう。
01 ALL BASKETBALL指針の策定・具体化・推進 C評価
JBS(ジャパン・バスケットボール・スタンダード)・Bリーグ中期経営計画の策定を推進。計画は概ね完了しているが、推進・連携の在り方はこれからということで厳しく評価しております。
02 バスケットLIVE視聴者数拡大 A評価
前年に比べ視聴者数は大幅に拡大し目標達成。更なる拡大に向けて、打ち手の選択と集中を強化してまいります。
03 協賛金のプラス成長 C評価
目標の売上高未達。
04 全試合日程の催行 A評価
ガイドラインのタイムリーな提示などを実施、会場などでのクラスター化は生じず。また、行政・政府との関係を構築し、要望提示や早期の情報取得が可能となりました。
05 破綻クラブ“0” S評価
クラブの状況把握、行政支援情報の展開などを実施。結果として破綻クラブはゼロ。
06 配分金以外の支援最低7.6億円 S評価
クラブ支援金8.68億円支援+補償金約1億円を拠出し、クラブの経営を財務面からフォローすることが出来ました。
07 クラブトップセールス支援 B評価
クラブステークホルダーへの訪問やクラブ内研修を実施。(B1:16/20 B2:13/16 B3:7/11 全体36/47クラブ)来期は、よりクラブの具体的成果につながる活動へと進化させてまいります。
08 リーグ事務局各部署のKGI / KPIの達成 A評価
PDCAを実施し、追加施策・予算などをフレキシブルに実施。結果、概ね目標は達成。
09 経費削減 B評価
会議のオンライン化、投資の取捨選択、予実管理の強化で経費削減(守り)と追加投資(攻め)を両立を実現できました。
10 風土改革・強化(ベンチャーイズム、チャレンジ) D評価
現場のチャレンジの推進は行ってきたが、根本的な風土改革・疲弊感・閉塞感の打破については実行に至らなかったと評価しています。
ということで、
S評価=2、A評価=3、B評価=2、C評価=2、D評価=1
という結果となりました。
目標未達となるC評価以下が10項目中3つでしたので、私の報酬の30%を返上することとしました。できなかったからお金を返してごめんなさい、ということではなく、しっかり覚悟を示して結果にこだわるという姿勢を鮮明にするためのことであるとご理解ください。
就任から1年間の振り返り
まずは破綻クラブを出さなかったこと、そして全試合催行とはいきませんでしたが、B1リーグ戦は600試合中574試合、B2リーグ戦は480試合中463試合を行い、みなさんに多くの試合をお届けできたことはよかったです。
他の項目に関しても、コロナ禍において、運営はどうしても攻めよりも守りに力を注ぐことにはなってしまう傾向でした。反省点は数あれど、ある程度安定して運営ができたことは関係各所の努力の結果であり、誇らしいと思います。
そして唯一のD評価が、風土改革・強化(ベンチャーイズム、チャレンジ)です。私はいわゆる守破離の考え方を大事にしていて、就任1年目は"守"の年ではありますが、それでもリーグ運営でもう少し"島田色"を出したかったと思っています。
良い悪いの話ではなく、当然のことながら組織としてリーグとしての過去からのある一定のルールがありました。就任してすぐ改革!壊す!というやり方ではなく、1年間しっかり確認し、ここからは良いものは伸ばし、そうでないものは変えていきます。
新たな任期は9月末からとなりますが、明日から決意を新たに有言実行・責任をもって自ら動く・ファン、スポンサー、支えてくれる人たちにとって何がいいのかを常に考え、リーグ運営を行ってまいります。
リーグの直接的なお客さんというのは、実はクラブです。ですがクラブの向こう側には、エンドユーザーであるファンのみなさんがいる。リーグにとって、クラブファーストこそがファンファーストに繋がると考えています。クラブにとって経営上よい環境を整えてあげることが、ファンの満足度向上に繋がる。リーグ運営においてはこの意識を強く根づかせていきます。
私がたびたび経営面の話、売上の話をするのは、選手もスタッフもよい環境でモチベーション高く安心して働ける状態にしたいからです。それが結果、ファンのみなさんの観戦体験向上や、安心して応援できることに繋がる。その最初のアプローチが経営、ということです。
バスケ界を盛り上げ、バスケで日本を元気にする。山の登り方が違う人はいるかもしれませんが、たどり着きたい未来は一緒です。これからのBリーグ、日本バスケを一緒に盛り上げていきましょう。よろしくお願いします。
さて、次回のnoteでは「では、次の任期2年間でBリーグをどう成長させていくのか?」ということをお伝えします。続けての長文となりますが、ぜひお読みください!