見出し画像

一連の日本バスケ界の事象について

今回の事象について、時系列、食い違いの争点などは既にメディアや当事者から発信されていますので、三屋会長からのステイトメント、雄太の会見内容を踏まえ、私なりにコメントをこのタイミングでさせていただきます。

一連の日本バスケ界の決してポジティブではない事象の中で、雄太が以下のようなコメントをしてくれました。私も現場にいて直接聞いています。まずは、澱みなく16分近く事実と気持ちを誰も傷つけることなく語り尽くす凄さと、このような場に立たせてしまったことに申し訳ない気持ちででいっぱいでした。

どんな組織でも起こり得ることですが、理想はこんな事態にしない、なってもここまで大きくなる前、つまり八村選手や雄太、エブリン選手などが矢面に立つ、トムHCは耐え忍ぶような事態になる前に収束出来なかったからです。

Bリーグのチェアマンでありますが、JBAの副会長でもあります。このような状況になっていることに対する責任ある立場です。渡邊事務総長が、状況についてJBAのCOO的な立場としてしっかりとした内容でコメントしていますが、なかなか収束しない中でこの日を迎えました。

雄太が発したように誰1人悪者はいないということは事実ですが、我慢の限界のような状況に陥ったり、個が傷ついたり、傷つけてしまったことは事実です。エブリン選手が、SNSで発言しなけれならない状況になったこともそうだと思います。

間違いない事実は、JBAとして生き物である、感情もある現場の常に発生する課題や変化に対して、ひとつひとつ丁寧に寄り添いながら、良き方向に導けなかったことがあったということです。このようなマネジメントは、クラブの現場でも大なり小なり発生することで、決して珍しいことではありません。

経営と現場のマネジメントする役割のもの、コーチ、影響力のある選手というのは、常に良き時もうまくいかない時も、コミュニケーションを取りながら修復を繰り返していかなければなりません。このあたりの繊細かつ強い意志が必要な仕事は決して簡単ではありませんし、溝が広がれば広がるほど難しくなります。

JBAの副会長という立場で申し訳なく思っていることは、このあたりのマネジメントに関わる繊細なフォローが出来なかったこと。JBAが組織として、現場が円滑に向かう状況を整えきれなかったことで、男女ともに問題が露呈する結果を招いたことです。

個人的に勇樹や雄太や雄大や勇輝をはじめ、選手たちとはダイレクトにコミュニケーションとるようにしています。食事に行ったり、本音で話す機会を作るようにもしています。クラブ経営をしていた時から信頼関係なくして現場の変化に関与することが難しいことを知っているからです。

しかしながら、強化現場との橋渡しや東野技術委員長のフォロー、JBAの幹部との向き合いの中で対峙してきましたが、役割を担えなかった責任を強く感じています。ワールドカップやオリンピックは簡単に辿り着ける世界の扉ではありません。死に物狂いで努力して、短いキャリアで貴重な瞬間にトライできるサポート、手にした時にパフォーマンスに集中出来る環境を整えていくことがJBAという組織の責務です。

だからこそ、悔しいし、申し訳ない。

最後に雄太が言うように登場人物全ての個は、悪くありませんが、JBAという組織と責任ある立場のものは猛省し、2度とこのようなことが起こらぬようにしていかなければなりません。NBA選手、Bリーグ、Wリーグの選手のみならず、三屋会長、渡邊事務総長、高橋専務理事、トムHC、選手たち、強化現場と共にポジティブに変えていけるよう尽力していく決意です。

↓バスケットボールキング様に許可をいただき、全文掲載しています。

11月28日、渡邊雄太(B1千葉ジェッツ)が都内でのイベント出演後に自らメディアの前に立ち、バスケットボール男子日本代表(FIBAランキング21位)のトム・ホーバスヘッドコーチと、八村塁(NBAロサンゼルス・レイカーズ)の間に起きている問題について、その背景と自身の見解を述べた。

 日本人史上2人目のNBAプレーヤーとして、世界最高峰の舞台で6年間プレーした実績を持つ渡邊は、日本バスケ界をとりまく最近の報道について、約16分間にわたり自らの思いを述べた。

 センシティブな問題かつ、渡邉が質疑応答という形ではなく自らの考えを発表する形式を選んだこともあり、今回はその言葉をノーカットで全文掲載する。

 以下全文

■渡邊雄太のコメント全文

ここにいる人は全員知っているかと思いますけど、(八村)塁が前回の試合後に発言して、それ自体はいいとして、変な方向にいってしまっているなと。憶測が憶測を呼んで事実と異なることが報道されてしまっていたり、ちょっと個が攻撃されるようなことがあったりしているなと感じたので。僕はNBAでやってた身として、いまこうしてBリーグに帰ってきた身として、日本代表としてやってきた身として、客観的な事実を最初に多少述べさせてもらって、その後に自分が思っていること、感情を述べさせてもらえたらと思います。今日は僕が話をさせてもらって、皆さんからの質問には答えないという形なので、そこは了承していただければなと思います。

まず、ここまできたら隠しようもないというか、八村塁選手とトム・ホーバスヘッドコーチの関係性が良くなかった。これは事実としてずっとあったことです。キッカケがどこだったかというと、知っている人も多いかと思いますけど、ワールドカップ終わった後の記者会見で、トムが発した発言について変な切り取り方をされた記事が出てしまって、それを目にした塁か怒ったというところが、そもそもの始まり。そのあと僕もすぐに塁に連絡をしましたし、あのときのトムの発言の内容だったり、塁を敵にするような発言ではなかったというようなことを話したんですけど、塁からすれば仮にそうだとしても世間にそう思われるような発言をしたことがまずかったんじゃないかということでした。

あのときのトムの発言なんですけど、ワールドカップ終わった直後、塁がオリンピックに必要かどうかということを聞かれて、トムは「彼が代表に参加したいなら彼から連絡をしてきてほしい。もちろん八村選手にはいてほしいけど、もしいないなら今のチームで勝つ自信があります」というようなことだった。そこについて、もう少し詳しく僕から説明させてもらうと、まず僕も塁も同じワッサーマンというエージェンシーを使わせてもらっているんですけど、ワッサーマンがまず、トムと塁の関係が悪くなる全然前からの話ですけど、基本的にワッサーマンは塁に対してNBAのシーズンに集中してほしいということで、トム含めてウィザーズ時代に選手とコーチの関係性だったコーリー・ゲインズアシスタントコーチを含めて、ワッサーマンがまず塁との連絡を完全に遮断していました。

なので、トムは塁に対して連絡を取る手段がなかった状態で、それはアシスタントコーチも同じような状態だったので、まずトムの「彼から連絡してきてほしい」というのは、トムからしたら自分から連絡する手段はないので、連絡しようと思ったらまず協会、そしてワッサーマン、ワッサーマンからチームなのか、ワッサーマンから塁なのか、常に2人以上間に人が入っている状態。とてもじゃないけど、そんな状態でいいコミュニケーションなんかとれるわけない。トムからすれば、塁から連絡してきてもらいたい、という趣旨の発言でした。

「塁がいなくても勝つ自信があります」という発言は、これはもう皆さんわかってくれると思うんですけど、まず沖縄(FIBAワールドカップ2023)で戦ったメンバーたちに対するリスペクト。もしあの状態で「オリンピックは塁がいないと勝てないです」ていう発言をしたら、さすがに僕たちもその発言はおかしいでしょ、となった可能性は全然あるので。あの場には僕たちもいましたし、トムはまず僕たちへのリスペクトを表してくれたうえで、仮に塁がいない状態でもこのチームでしっかり勝つチームをつくりますという発言をしてくれたのが実態です。

今の話を聞いてもらえばわかると思いますけど、誰が悪いという話ではなくて、ワッサーマンはワッサーマンで、もちろん塁は大事なクライアントなので、NBAのシーズンに集中してほしいということでトムとの連絡と遮断していたというのは十分理解できます。僕の担当(代理人)は違うんですけど、シーズン中とかに連絡があったら「俺が間に入ろうか」と僕の代理人も言ってくれていた。僕は昔からトムとの関係があったり、コーリーともアジアカップ(FIBAアジアカップ2022)で一緒にやっていたので、僕は個人的に連絡を取るから大丈夫としていた。まずそういう事実があって、ああいう発言をして、トムの発言が変な記事になってしまった。それ以降も当然、2人は連絡を取る手段がなかったわけですから、そこから関係性が修復できずに、という状態が続いていたのは事実なので、そこは僕も含めて、協会もそうですし、彼ら2人がより良い関係を築いていけるように、コミュニケーションももっと活発にとっていけるような状態に持っていきたいなと思っています。

そこまでが事実で、あと、中では色々な事があったりするんですけど、ここで僕が全部話す必要はないので。まずきっかけはそこでした。悪者は1人もいませんよ、ということをまず皆さんにお伝えしたかったということです。

今回の件は塁にも連絡をとっていまして、塁に対して僕なりの意見をメディアの前で話させてもらうと話していますし、塁と対立するつもりはないというのを彼に伝えて、彼からも「大丈夫です」という連絡をいただいているので、まず今から僕が言うことについて、“渡邊vs八村”という構図を作るのだけは絶対にやめてもらいたいなと思います。

そのうえで話させてもらうと、僕はトムが大好きです。僕はトムが日本代表のヘッドコーチとして誰よりも相応しいヘッドコーチだと思っていますし、これは僕だけじゃなくて、いま代表に関わっている選手とスタッフのほとんどはそう思っているんじゃないかなと思います。

さっきも言ったように、塁とトムの関係は、あの件がきっかけでそこからうまくいかなかったので、100歩譲って塁がトムのことをよく思わないというのはわかる。それを公で話すべきだったかというのは別として、そこは僕たち選手もトムも理解しているのではないかなと思うんですけど、あの塁の発言をきっかけにトムがよく思われていない記事が出たりとか、全部が嘘みたいな記事が出てしまって、それを見る人はどうしても信じてしまうので、そこは僕も不本意です。

トムとも今回の件では色々と話させてもらっているんですけど、トムは今かなり正直しんどいと。オリンピック(パリ2024オリンピック)終わった後も日本代表の仕事を受けるか悩んだ上で今回仕事をやると言ってくれたのに、こう言った形でトムの今までの功績だったり、僕たちに尽くしてくれてきたことが否定されていっているような状態なので、トムは正直しんどいというようなことを言っています。

だからといって、トムがしんどいと言っているから守っているわけではなくて、単純に僕はトムをリスペクトしていたり、トムのもとでバスケットをやれて良かったなとずっと思っている人間だったので、なので今回のトムの続投もうれしかったですし。

さっき言い忘れたんですけど、トム続投の話で塁が「僕に電話がなかった」と話していたんですけど、トムからしたら塁に連絡する手段がなかったので。そこの間がどうなっていたのか、僕はわからないですけど、僕はトムから連絡をもらいましたし、トムに否はないというか、トムから連絡を取れない状態なので、これもしょうがないことだったのかなと思っています。

話の続きですけど、今回の件で、トムは相当気持ち的にも、よくあの状態でモンゴル戦とグアム戦(FIBAアジアカップ2025予選)で日本代表を勝利に導いてくれたなと感じているんですけど。僕だったらもう投げ出してもおかしくない状態なんじゃないかな思う。精神的にも相当しんどいと思いますし、今まで応援してくれていると思っていた人たちが手のひらを返してトムを悪者に…もちろん全員が全員ではないですけど、そういう状態になってしまっているので。

もし…これはあれですけど、もし今回の件でトムが辞めさせられるだったり、自分から精神的にしんどくて辞めてしまうような状態に、ないとは思いますけど、万が一そんなことがあった時には僕も許せないというか。それは塁に対して許せないということではなくて、こういう雰囲気を作った状態、ああいう記事だったり世間の声が許せないかなという状態になってくるのかなと思っているので。さっきも言ったように今の代表メンバーはトムを慕って代表でやりたいと思っているメンバーがほとんどだと思うので。この件で、もしトムが退くようなことがあれば、おそらく今の日本代表は崩壊していくと僕は感じています。

というのが、トムと塁のきっかけ、あと僕の個人的な意見。

僕も今まで協会に対してこうしてほしいとか、色々と意見させてもらうことはあったんですけど、それはあくまで水面下でやることで公にするようなことではないと思っていますし。今回の件に関しても、僕は最初、表に出てくるつもりはなくて、水面下でやっていればいい話だと思っていた。でも、あまりにも事が大きくなって、これ以上事が大きくなってトムに負担がかかるのは嫌だったので、こういう形で皆さんの前に出させてもらうという形をとらせていただいたんですけど。

塁は塁で今はNBAのシーズンに集中してほしいなと思っていますし、僕も引き続きJBA含めてトムだったり塁だったりとコミュニケーションをとりながら、これからの日本代表を良くしていくためにやっていこうと思っているので。

僕からのお願いとしては、この件は自分たちでしっかりと、中でやっていればいい問題だと思っているので。わざわざ公にして、こういう事がありました、こういう解決をしました、みたいなことはしなくていいと個人的には思っている状態なので。もちろん気になる話題だとは思うんですけど、可能ならこの話はとりあえずここで決着、決着とはいかないかもしれないですけど、あとは僕ら中の人間が責任を持って問題解決に向き合って、それは今までもやっていることなので。事をこれ以上大きくするだとか、その結果トムにすごく負担がかかっていますし、塁自身もあの発言をしたことで変な見られ方をしている部分もあったり、もちろんよく言ってくれたというような声もあったり、色々な声があると思うんですけど、僕はNBAでやっていく大変さを知っているからこそ、塁にNBAに集中してもらいたいなと思っています。彼はもっともっと長く、僕がやった6年なんかよりずっと長い年数NBAでやっていってくれると思うので、なのでしっかりとその辺は僕ら中の人間が問題と向き合って、さらに強い日本代表を、良い日本代表を皆さんにコート上で見せていけたらなと思っているので。

これ以上他の選手に質問をしてコメントを求めるということだったり…。塁に対しても、これは僕の予想ですけど、塁が自らこんな発言するとはあんまり思えないので。おそらく聞かれたから言ったんじゃないかというのが僕の推測なので。塁に対してもNBAで頑張ってくれているので、そこもリスペクトしてもらって、NBAでの話はもちろんしてもらうんですけど、日本代表の話は塁は極力したくないはずなので、シーズン中は。それは僕もそうでした。同じだったので。それは僕からの一つ、皆さんへのお願いかなと思います。

今後、僕も代表の一員として、責任を持ってこの問題にはこれからもしっかりと向き合っていくので、それをコート上で、良い日本代表になったなと見せていければなと思っているので、今後とも引き続き応援のほどよろしくお願いします。ありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!

島田慎二
お読みいただきありがとうございます。記事を良いと感じていただけたら、ツイッターなどで記事を紹介していただけると嬉しいです!