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#絵本未満・・・、「れおくんのともだち」①

#チャレンジ・・・ 、「れおくんのともだち」①

れおくんは春陽(はるひ)小学校に通う2年生。
でも、先生やみんなのもっているこころの時計とは、針のうごく速さがちょっぴりちがっていてとまどうこともたくさん。
(もちろん、みんなもひとり・ひとりこころの時計の針のうごく速さはちがうけれどね。)


「授業中にできなかったプリントは、休み時間にやっておいてくださいね。」
きょうも、先生の声がした。

そういうわけで、れおくんの机のなかは、プリントだらけ。

「れおくん、れおくん。ぼくだよ。」
おとといやった生活のプリントから、声がした。

「春をみつけよう。」の授業で、れおくんが見つけたテントウムシの声だった。

色ぬりをしなくちゃいけないなとおもって、色鉛筆を取り出そうとしたところだった。

テントウムシは、プリントから飛び出して、れおくんの人差し指に止まった。

「ぼくの背中の黒い水玉。ステキだろ。春になって、おひさまがポカポカしてくると、背中の水玉もポカポカして、空が飛べるようになるんだ。」
テントウムシは、教えてくれた。

「れおくん。君もぼくの背中に乗って、空を飛んでみないかい?!」

「うわぁ。うれしいなぁ。」

れおくんは、テントウムシの背中に乗って、教室を飛び出した。


「キンコーン、カンコーン。」
休み時間終わりのチャイムが鳴っている。

れおくんを乗せたテントウムシは、あわてて教室に戻った。

「きょうは、むこうの麦畑までいけなかったけれど、またね。」

れおくんは、色鉛筆を握りしめたまま、テントウムシにお別れをして、プリントを机の中にしまった。


「あーあ。また、色ぬりができなかった。それにしても、春の空はポカポカして、すごく気持ちがよかった。学校の校舎が豆粒みたいに見えたよ。」
                            (つづく)

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