#絵本未満・・・、「れおくんのともだち」②
#チャレンジ・・・ 、「れおくんのともだち」②
きょうは、木曜日。
竹田先生は、毎週木曜日だけ、れおくんの教室にやってくる。
れおくんのおかあさんよりもちょっぴり若くて、おねえちゃんよりも年上。
「れおくん。おはよう。」
きょうも竹田先生は、ニコニコして、れおくんに言った。
「きょうは、跳び箱の練習だね。」
れおくんは、跳び箱が苦手だった。
1年生のときから練習しているのだけれど、足を開くのが、どうしてもこわい。
教室のみんなは、もう2段の跳び箱が全員、跳べるようになっていて、3段と5段の跳び箱の練習をしていた。
「トン・トン・パ。」
「トン・トン・パ。」
「跳んで・ついて・開いて。」
竹田先生とれおくんは、何回も、何十回も唱えながら、練習した。
2人とも、汗びっしょりになっていた。
「じゃぁ、最後にもう1回だけ跳んでみようか。」
竹田先生は、跳び箱の向こうに走っていって、ニコニコして、そう言った。
れおくんの顔は、練習でポカポカほてって、心臓はドキドキ。
そのとき、竹田先生のニコニコ笑った顔の後ろで、テントウムシのステキな黒い水玉の羽が、ピカリと光って見えた。
駆け出したれおくんの体は、フワリと宙に浮かんで、足をおもいっきり開いていた。
「跳べた、跳べた。いま、ぼく、2段の跳び箱が跳べたよ。」
(給食時間が始まるチャイムが鳴ったのも、みんなが教室に帰ったもの忘れて、れおくんと竹田先生はとびばこの練習をしていた。)
「やったね、れおくん。」
竹田先生は、やっぱりいつものように、ニコニコして言った。
そのとき、2人のおなかがグゥーっと鳴った。
「あっ、給食の時間。」
「れおくん、やったね。」
竹田先生は、れおくんの体をギューっと抱きしめてくれた。
先生の体もポカポカ暖かかった。
(つづく)