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「10年後、あの角のたばこ屋さんになりたい。」

どうも10YCです。

今回は6/28に配信した10YC Podcast#7の書き起こしを公開。
第7回も引き続き、左ききの道具店の加藤さんをゲストに呼んでの開催です。

10YC Podcast #7 「10年後、あの角のたばこ屋さんになりたい。」
話し手:加藤信吾(左ききの道具店)、岡山史興(70seeds)、下田将太(10YC

聴きながら読んでもいいし、聴けない人は書き起こしだけ読んでもいいね。
それではどうぞ!

過去の回はこちら >
#1「10年選手になる洋服とは?
#2「わかりやすいだけがデザインなのか?
#3「束縛しない。自由でいい。人見知り10YCのユーザーとの付き合い方。
#4 「作っているのは「服」じゃなくて「生活」。10YCが考える洋服の価値。
#5「キラープロダクトはなぜ生まれたか?
#6「“お金”と“暮らし”のはなし


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下田「10YC Podcastの収録をしていきたいなと思います。この企画、最終の第3回目になります。前回までは生活に対するコスパとかいろいろ話してきました。岡山さん、最後は『値下げ』の話をビッグにしていきたいなと思いますけれども。」

岡山「そうですね。値下げの話、もともとしようと思ってたのが、今年の初めぐらいとか去年の年末ぐらいですかね。下田さんと値下げをしないブランド、セールを普段やらないブランドを集めて、『セールしないセールやりたいね』みたいな話をちょうどしていたんですよ。」

加藤「面白い。」

岡山「もともとこれは10YCだけじゃなくって、最近似たような考え方のブランド多いなとは思っているんですけど。
服が作られて売られていくときって、最初から何%かは廃棄を想定されている、何%は7割引き、何%は半額、何%は2割引きみたいな感じで。どの商品をいくらで売るか、そもそも捨てるか売らないかみたいなことが想定されて服が作られているっていう状態って何かおかしいよねっていう考え方を持っているアパレルブランドさんがいて、10YCもそのひとつであると。そういったときに、自分たちがそもそもセールをやらないとか、値引きをしないでやっていくっていうのはすごく分かりやすい意思表示だなと思ってて。
 でも、一方で値引きをしないことで、離れるお客さんももしかしているんじゃないかとか、値引きをしたほうが買いやすいから喜ぶお客さんもいるんじゃないかとか。セールって分かりやすく普段買えなかったものを買うタイミングだから、マーケティング上は必要なんじゃないかとか、そんな色々な疑問もあるわけですよ。そういうところについて、そもそも何で値引きしないんだっけ?みたいな、値引きしないことは本当に正義なんだっけ?みたいなことを、話したい。左ききの道具店もセールをしないということで話を伺っているので、ちょっと聞いてみたいなと。」

加藤「はい。うちはセールをしないんですけども、最初の頃は、単純にしちゃうと利益が残らないんですよね。もともと仕入れて出しているので、利益率がすごくいいわけでもないし、セールなんかしちゃったら……っていうのがひとつの理由でした。
 ただ、今考えると、セールはもっと深いところでうちには向いてなくて。セールをするってことは、早く売りたいわけですよね。早く売りたいっていうことは、それが時間とともに価値が減っていくものだと思うんですよ。価値が減っていくから価値が減る前に出したいんですよね。そういう意味では、うちが扱っているものって流行のものがないんですよ。例えば、左ききブームとかあり得ないんですよ。」

下田「いきなり全人口の30%に左ききが増えたとかもないもんね(笑)」

加藤「そうそう(笑)ないんです。ないので、多分10年後も10人に1人しか左利きはいなくて。『今年は木べらの左きき用が熱い』ってことも全くなくて。僕らが扱う日用品って面白グッズではなく、すごくスタンダードなものばかりを扱っているから流行がない。例えば3年とか売れ残っても別に構わないところがあるんですね。長くやっていきたいし、いつ来てもお客さんの手元に届くほうが大事だと思っていて。商品サイクルをうちはすごく長く考えているところがあります。なので、早くこれを出して次に出したいっていうことがないので、値引きをする必要というか、商品サイクルを早くする必要がないっていうね。それがこの値引きをしないっていうところと結構密接に関係してるんじゃないかなとは思います。」

岡山「なるほど。食品とかも扱ってないですもんね。」

加藤「扱ってないです。」

岡山「賞味期限もないし、スタンダードなものだし。なるほどね、確かに。」

加藤「そうなんです。値引きをする理由があんまりないですね。」

岡山「逆に、お客さんから『セールやらないんですか』とか聞かれたりしませんか?」

加藤「うちは定価販売なので、もっと安いやつがいいとか、高いですっていう声はたまーにはあります。ただ、ちゃんと仕入れ先にもきちんと支払いをしないと左きき用の道具がなくなっちゃう可能性もあると思うんですよ。出る量が10分の1なので、やっぱり作っている量も10分の1なんですよ。ちゃんと発注したいし、そう考えていくと、値引きをしてパッと出すことがあんまりいいこととは思えないというか。そういう意味では、そういうお客さんがいらっしゃったとしても、逆にそうじゃないもの、そんなに高くないものというか、そういったものを買っていただければいいし。必需品ってわけではないので、それを買うタイミングに合わせてお選びいただけたらいいなとは思います。」

岡山「なるほどね。お客さんが本当に必要なタイミングで手に取ってくれればいいし、逆にそれがむしろ当たり前というか、いいことだと思っているから、わざわざ買うタイミングをこっちで値下げして作らなくてもいいんじゃないかっていう。」

加藤「そうですね。やっぱり値下げをするというのはひとつの煽りなので。『今下げてる!どうぞ買ってくれ』とか『比較するといつもより安いから今だよ』とか。それをうちはしないっていうスタンスですね。」

岡山「なるほど。煽らない。10YCは何で値下げしないんでしたっけ?」

下田「そもそもアンチテーゼみたいなところもあるんですよね。僕はもともといた会社からの流れで。この業界ってセールしてなんぼみたいな、セールの時期も毎年冬と夏にバーゲンがあると決まっている状態の中で、なぜするんだっけ?っていう理由がなかなか見い出せなかったっていうのがあるかもしれないですね。
 10YCって、やりたくないこと、やらないことがたくさんあるんですけど、大体理由が見い出せないとやらないんですよ。セールに関してもやる理由がすごくあればやればいいと思うんだけど、自分たちがなぜセールをするのかっていう理由が全く思い付かないっていう。例えば、自分たちの利益も下げることになるし、自分たちが作っているものの価値を下げることにもなるわけじゃないですか。それって、作り手が作ったものの価値に対しても、ある種傷付けることにもなるわけで。セールという方法を必要とすることがあんまりなかったっていう感じですかね。
 もちろん、さっき信吾さんがお話ししていた寿命の話もあって。10YCは絶対セールをしたくないから、『トレンドに流されない商品とか、常に10YCのユーザーが欲しいと思えるものを作ることを徹底していけばセールしなくても済むよね』っていう考え方でプロダクトを作っているので、それはもちろんあると思います。変なモビルスーツみたいのが作られて、Tシャツいりませんみたいな感じになるかもしれない。だけど、基本的には多分Tシャツって存在すると思うんですよ、来年か再来年ぐらいまでは(笑)だから、そしたら今年売らなくてもいいじゃんっていう考え方で、もしかしたら在庫になっちゃうかもしれないけど、それを無理矢理売ることはしないで、来年本当にその時期また欲しい人が来たら、その人たちに売ろうみたいな考え方。だから、信吾さんが言っていたことがすごく分かるというか。セールをしない理由でいうとそういう感じですね。」

加藤「結構セールが多かったりすると、『じゃあ、セールしたときに買おう』っていうのも、なんかちょっと違う気もしてて。」

下田「そうなんですよね。セールっていう言葉ってなくないですか?”sale”って”販売”じゃないですか、英語で。そもそも概念が分からないんですけど。値引きありきじゃないですか。だから、結局お客さんもそれありきの考え方になるわけで。『セールしたときに買おう』になっている時点でもう終わりなわけですよ、商売としては
 10YCがもしセールをするとしたらどういうときかなって考えるわけですよ、こういう話になったときに。やっぱりどうしようもない発注ミスを起こしたとか、世の中が来年変わるかもしれないとか、工場さんにどうしてもお金を払わなきゃいけないからとか、理由は分からないですけど、そのためにどうしても売らなくちゃいけないってときだと思うんですよ。そうじゃないセールがすごく増えちゃってるから嫌だなって思う。値引きって、食品だったら明日腐っちゃうから、もう捨てるよりは食べてもらったほうがいいみたいな状況が多分値下げをするタイミングであるにも関わらず、こういう感じで値引きしていきましょうみたいなラインが引かれてる商品、原価率の考え方を見ると、腐ってるなって思っちゃいますけどね。」

岡山「Tシャツは腐らないのにね(笑)」

下田「そうそう(笑)」

岡山「売る側の精神性が腐っているってことですよね。」

下田「それがビジネスというか、例えば在庫みたいに考えて、溜まっていると悪いよねみたいな考え方もちろんあるから、経営としての考え方として、資産これぐらいにしなきゃいけないよねみたいのに関わってくるとは思うんですけど、根本がちょっと違うかなと思いますけどね、考え方的に。
 あとは、なぜ値引きをするのかですよね。買いやすくするための値引きとか、今買ってもらうための値引きだったら、僕は違う方法があるんじゃないのかなって常々思うんですよ。うちは白いTシャツのMサイズで6170円、それを500円値下げしたら、買ってくれる人が10人増えるかもしれない。でもそうじゃなくて、6170円で買ってもらえるような伝え方をブランドはしなくちゃいけないのかなって思うんですよ。だから、そのへんは左ききさんはどうかな?と思って。」

加藤「そうですよね。多分、前回の応援経済ではないですけど、買っているコスパ、素材の価値とか、相場観とかだけじゃなくて、思想とか考え方とか、思いとかを併せて丸ごと買っているじゃないですか。丸ごと買っているからこそ、『安くしたら買うだろう』っていうのが駄目な気もするんですよ。売り手側としては、安くするってことは『安くすれば買う人が増えるだろう』って言っているのと結構同じところがあって。」

下田「同じだよね。」

加藤「そういうスタンスを見せてしまうのは、10YCさんは似合わないなって気はするし。」

岡山「絶対駄目ですよね。」

加藤「そこはあんまりぶれちゃいけないとこだなって、僕らも思います。値下げしたら買いやすい、どこでも売っている同じようなもの、コンビニで買うよりドラッグストアのほうが安いものとかは、ドラッグストアで買おうかなっていうのはもちろんあります。でも、せっかくここでしか買えないものだったりとか、あえてここで売っているものみたいなところは、ちゃんとお互いが気持ちのいい取り引きをするのが自分たちを棄損しないやり方になっていく気がちょっとしています。」

岡山「お互いが気持ちいいっていうのは結構ポイントかなと思って。値下げしないぞっていうのは、あくまでもブランドのこだわりであって、作り手側の論理かなと思いつつ、それがお客さんにとっても気持ちいいというか、お客さんも満足するのってどういうことなんだろうなっていうのが結構面白いポイントなんじゃないかなって。値下げをしないことがなぜお客さんの満足につながるんですかね?

加藤「ちょっと違う例かもしれないんですけど。僕、去年から岐阜に移住したんですよ。近くにいい公園があったからっていう理由なんですけれど(笑)移住して思うのは、いい公園があって、素敵なカフェがあったり、おいしいお店があったり。そういう場所やお店がこの地域を作っているんだな、っていう感覚です。だから、地元のお店を小さいですけど応援しているんですよ。
で、そういうお店が、今のコロナの状況で値下げとかされていると心が痛むんですよね。『値下げしないでよ、買うよ』っていう気持ちがあったりするんです。下げてもらわなくていいというか、本当はそのままを受け取りたい。その人たちが適正価格でいいと思ったもの、いいと思ったかたちで、僕は丸ごと受け取りたいなって思う気持ちがどこかにあって。10YCさんとかうちのことをいいって思ってくれる人も、もしかしたらそういう気持ちがちょっとでもあるのかもって思いました。」

下田「なるほどな。」

岡山「下田さんはどうですか。」

下田「満足、信頼感とか、そういうのかな。どうですかね、お客さんが満足する理由。」

岡山「信頼感っていうのは、どのポイントなんですかね。作り手さんに対する姿勢なのか、それとも初志貫徹してるブランドの姿勢なのかとか。」

下田「値下げしないのって、ブランドそのものが出している姿勢だと僕は思うので、1個1個セールしないとか、これはやらないって決めているわけじゃなくて、10YCってこういう信念を持ってやっているブランドですよって、それを突き詰めていくと、たまたま値下げはしないっていう方法に至ったと僕は思っています。だから今の話でいうと、ブランドに対する信頼感に近いんだなと思いますけどね。」

岡山「なるほど。」

加藤「ブランドに対する信頼感って、下田さんはどうしたら積み上がっていくと思います?」

下田「本当だったら、もっと聞くべき人がいるがいるかもしれないんですけど、僕なりに考えるとどうなんですかね。いろんな積み上げ方があると思うんですよ。それはブランドによって全く違っていくと思っていて。もしかしたらアメ横だったら、値下げすることとか、いいものを安く売ることがすごく信頼感につながることもあると思うんですけど。僕らでいうと、正直とか素直さとかってところをすごく大事にしてるので、『10YCが言うんだったらそうだよね』みたいな。そういうものを日々、僕らはこういうところで、そういうふうな値段で作ってますって正直に言っていくっていうことなのかなとは思いますけどね。
 あとは、信頼感って僕らが作ることでもないなと思ってる。僕らが『いいブランドです、正直です』って言い続けても、それって全然意味ないなっていうか。何か言っているよ、ペテン師が、みたいな話なので(笑)誰かに語ってもらうみたいのがすごくいいのかなっていいか、そういうことが起きると素晴らしいなと思います。第三者がブランドを語る、その言葉が、もし信頼感につながる言葉であれば、どんどん積み上がっていくのかなっていう気はします。ブランドの信頼感が崩れるときも、多分ユーザーさんの声だと思うので。あいつらちょろまかしてるぞ、実は、みたいなことを言われるともう終わりなんで。基本的にはそういうことだと思うんですよね。自分たちが、買ってもらって嬉しいお客さんに、買って良かったって思ってもらうことなのかなって気はします
 例えば、10YCっていうと、1000円のTシャツに比べて、6000円のTシャツのほうが6倍耐久性があるとか、そういう考え方でこられる方ももちろんいらっしゃるんですよ。半分合っているようで、ミスリーディングなんですけど。そうなってくると、もしかしたら違うかもなって思ったりするんですよ。そういうことじゃないんだよなって。だから、その人たちに、全然6倍の価値ないじゃんって言われても、別に僕らはどうでもいいっていうか、それはしょうがないよな、多分。僕らが目指している6170円のTシャツの価値と、お客さんが持っている6170円の価値が違ったんだなって思うんですけど。でも、応援しようって思ってくれた10YCのユーザーさんが、全然応援する気にならないよっていうのはヤバいなと。だからどういうユーザーさんが声を上げるのかでちょっと違うと思うんですけどね。」

岡山「今の話、めちゃめちゃ大事で、特に小さいブランドだからこそ、1人1人のユーザーさんとの関係の比重が大きいじゃないですか。ミュージシャンとかと同じだと思うんですけど、インディーズだからこそしっかりお客さんを裏切らないというか、自分たちの信念を貫くことで成り立つ関係があって。これが、例えば100万人お客さんがいますとか、ドームツアーすぐ売り切れますみたいな人たちだと、多少のミスマッチって他の数でカバーできちゃう状態が作れると。だから、別にどっちがいいかっていうよりは、どっちが自分にとって納得いくかって話だと思うんですけどね。ひとつひとつのことをちゃんと筋通してやってくっていうのってすごく大変なので、もしかしたらセルアウトするほうにがっつり寄せちゃうっていうのも、そうやって選択してくブランドももちろんありますし。多分、2人のやろうとしてることはそうではないし、お客さんも求めてることもそうじゃないんだろうなっていうことなのかなと思いましたね。」

下田「1番最初から、僕らがすごく意識してるのは、『10YCっていう山をどう登るのか』みたいなところなんですよ。僕らは今、3YCなんですけど(創業3年目)。最初っから、セルアウトする必要ってなくない?みたいなところがあったりするんです。まずは、今インターネットが使えるようになって、いろんな人に対して認知してもらえるようになったりとか、買ってもらえるようになったけれども、それが本当に自分たちが売りたい人なのかっていうと、逆にいろんな人に知られることがあるゆえに、自分たちが思い描いたのとは違う人たちがすごく入ってくることって、商売だけじゃなくて、ツイッターとか見てても、オイオイって思うことが多分あると思うんですけど。そういうことをできるだけ、自分たちが売りたいと思っている人たちにフォーカスしていくってところがすごく大切だと思うんですよね。それで、5YC(創業5年目)までには、『僕らのことをすごく好きできてくれる人たちと、好きなようにおしゃべりをしたい』とか、ものを買う買わないとか、修理したりとか、リフォームをしたりする関係性でありたいなみたいなのがあるんですけど、そういうすごく長い話だと思うんですよね。終わりはないです、この話、オチはないです(笑)」

加藤「でも、それはすごく分かります。僕らも、始めたときに競合がほぼいなかったっていうぐらい市場がないわけで、『僕ら長く続けなきゃいけないね』って、ずっと妻と話をしているんです。僕らがいなくなってしまうと、左きき用の市場ってないんだね、やっぱりここは駄目だよねっていうふうに取られるのはすごく良くないというか、悲しいし嫌だなと思っていて。僕ら、ある意味でセレクトショップとして自分たちがいいなって思ったものを置いているんですけど、同時に、左ききのものを買いたかったらここ、地元の街角のたばこ屋みたいな、欲しいものがあったときに『あそこにあるよね』っていうお店になりたい。それはやっぱり時間がかかる所だとは思うので、僕らもやるんだったら、定年という概念は会社としてはないですけど、20年30年とやってきたいなっていうのは思います。そこは10YCさんと近い思いですね。」

下田「面白いですよね。人によっては1年、2年で結果出したいっていう人もいるし。僕らも、もちろん結果を出したいとは思うけど、どういうふうに考えるかって、それもブランドによるし、売り方もそう。結局どの年の単位で考えるかによる。1年で結果を出したいんだったら、セールとかいろんなことしてでもしっかり結果を出していくって形になるだろうし。10年だったら、今年売らなくても来年売ればいいでしょとか、再来年売ればいいでしょみたいな、ちょっと緩い感じになってくと思うので。そういう考え方も結構すべてにおいてあるのかもしれないですね。」

加藤「すごく思います。セールって、ある意味顧客をコントロールしようとする行為だと思うんですよ。なので、今4半期の最後だから、年末セールとかも分かりやすくて、今年終わる前でみんなはけさせようってする。それで数字は作れるかもしれないですけど、なかなか信頼が積み上げられるかっていったら、ちょっと難しいんだろうなって思うし。僕とか、10YCさんは合わないんだろうなっていう気はします。」

岡山「確かにね。『マーケティングは顧客の創造である』っていう有名な言葉があるんですけど、顧客を創造するっていうのは、加藤さんがおっしゃるように『買うタイミングを作る』っていうことで、それは言い換えると、人のことをコントロールしようとするっていうことでもあって。それが商売だって言ってしまえば、それまでなのかもしれないんですけど。でもそうじゃなくって、本当に自分たちがいいと思うもの、欲しいものを作っているから、コントロールしなくても欲しくなってくれるよねみたいな。そういう、あなたにとって本当に必要なものだから、欲しくなってくれるよねっていう、そこに信頼関係っていうのがあるんだろうなっていうのは、改めて感じますね。」

下田「そうありたいですね。すごく。」

岡山「だから、ある種、マーケティングをしないブランド、顧客を信頼してるブランドみたいな立場でこのまま走っていけるといいですね。」

下田「セールとかクーポン出すとか、そういうので創造してる気になっているのがマーケティングなの?って話ですよね。マーケティング批判になりますけど。やっぱりマーケティングって、ユーモアとか機知に富んでなきゃいけないなと思うんです。僕ができるか分からないけど。僕ができないから、結局マーケティングしないって話になるんですけど(笑)
 やっぱり、他に買ってもらえる方法っていっぱいあると思うんですよね、値段じゃなくても。そこを値段して、さっき言ったように『コントロールできる』って思っちゃっているのが、ある種格好良くないっていうか。もっと違う方法であるじゃんってところを出せていけるようになるといいですね、10YCは。値下げとかじゃないマーケティング。」

岡山「確かにそうだよな。そういう感覚が、左ききの用品店にしても10YCにしても、すごく共通してるんだなっていうのが改めて分かってきたなと思います。」

下田「ありがとうございます。」

加藤「ありがとうございます。」

岡山「この第3部も締めていこうかなと思うので、最後に、それぞれ自分たちのお客さんに対して一言ちょっとメッセージを。」

下田「何ですか、最後のヒーローインタビューみたいになってますね(笑)」

岡山「締めていきたいな(笑)」

下田「スポーツ観戦ですからね、買い物は。加藤さんからいきますか。」

加藤「左ききの道具店に関しては、妻である店長がいつも注文全部に対して手書きで手紙を書いて、メッセージも全てやり取りをしていて。だから、その店長とのコミュニケーションそのものを楽しんでくれる人がすごく多いんですね。それはこれからも大事にしていきたいと思っているし、僕はそこを支えていくかたちでより頑張っていきますので、引き続き楽しんでもらえたら嬉しいなって思ってます。」

岡山・下田「ありがとうございます。」

岡山「下田さん。」

下田「色々ものを買うとき、ブランドにはそれぞれ色々な楽しみ方があって、自分が欲しいもの買うっていうのが1番いい買い物なのかなと思います。その中でよかったら、10YCに興味があったらぜひ手に取ってもらえると嬉しいと思います。ファンあっての10YCなので、今後とも応援よろしくお願いします。」

岡山「最後だけすごいヒーローインタビューみたいになってましたね。」

下田「意識しました(笑)楽しかったですね。加藤さんにPodcast出てくださいって言ったときもそうでしたけど、朝まで僕らは話せる話題ではある。」

加藤「そうですね。尽きないテーマですもんね。楽しかったです。」

下田「楽しかったです。」

岡山「本当ありがとうございました。」

下田「3回にわたり、左ききの道具店の加藤さんにゲストで来ていただきまして、10YC Potcastしゃべってまいりました。皆さんどうでしたでしょうか?この状況が終わったらまたイベント合わせてやりたいですね。」

岡山「ぜひやりましょう。」

加藤「よろしくお願いします!」

下田「ということで、いったん収録は終了ということですね。ありがとうございました。」

岡山・加藤「ありがとうございました。」

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