墓不足問題
20年間応募を続けた市営墓地にやっと今年当選しました。当選までに倍率50倍にもなることもあり、当選はまさに狭き門でした。現代社会では、こうした墓地の入手が困難になってきており、背景には高齢化社会の深刻化があります。
いずれ団塊の世代が人生の終わりを迎えることで、今後日本の死亡者数は増加の一途をたどるとされています。特に2040年には年間168万人が亡くなるという予測があり、これは日本社会全体に大きな影響を与えます。
特に都市部では、地方から移住した人々がそのまま定住し、年老いていくケースが増えています。例えば、東京都や神奈川県では2015年から2030年までの間に75歳以上の人口がそれぞれ50万人以上増える見通しです。この急速な高齢化により、墓地の需要が急拡大し、場合によっては「墓不足」の問題が深刻化する可能性があります。
都市部での墓地取得は非常に厳しく、東京都立霊園では2016年度に860基のお墓を募集した際、4766件の応募がありました。倍率は5.5倍に達し、年々競争が激化しています。こうした背景から、墓地の入手は一生の課題といえるほどで、早めに動かないと入手できない可能性もあります。
このような墓不足に対処するため、合葬墓や納骨堂、樹木葬、さらには海洋散骨といった新しい供養スタイルが注目されています。また、永代供養墓のように、継承者がいなくても管理を委託できるお墓も増えています。オンラインでの供養が可能な「デジタル墓参り」も、遠方の家族にとっては便利な手段です。
都市部での墓地取得の厳しさを実感する一方で、現代の多様化する供養のあり方に目を向けることも大切です。墓地不足の問題は、社会全体での取り組みが必要であり、新しい形の供養を受け入れることで、私たち自身の選択肢も広がっていくでしょう。