「誰が言ったか」で判断する社会的な課題
ひろゆきさんは、「人類の4割ぐらいは人の言っていることを正しく理解できていない」と述べています。
多くの人は、発言の内容を吟味するよりも「誰が言ったか」という情報に頼って判断してしまいがちです。これは特に権威者や社会的な地位の高い人の言葉に対して顕著に表れ、内容の論理性を考えずに受け入れてしまうケースが多いのです。
このような現象が起こる背景には、主に「権威主義」と「批判的思考の不足」があります。まず、権威者に従う方が心理的に楽であるため、発言者の肩書きや経歴に基づいて判断する方が容易です。内容の正否を自分で判断するには、深く考え、情報を分析する力が必要です。しかし、こうした「考える力」を育む機会が不足していると、誰かの言葉をそのまま信じる傾向が強くなります。
特に日本の文化では、年上や地位のある人の意見を尊重し、反論を控えることが美徳とされることが多く、こうした文化的要因が、発言内容よりも「誰が言ったか」を重視する姿勢につながっているのかもしれません。例えば、教育現場では、教師の意見が常に正しいとされがちで、生徒からの疑問や意見が軽視されることもあります。このような状況が続くと、子どもたちは批判的思考を育む機会を失い、「権威者の言葉は正しい」と考える習慣が根付いてしまう恐れがあります。
批判的思考とは、与えられた情報を鵜呑みにせず、自分の頭で考え、情報の正確さや妥当性を確認することです。しかし、この思考が十分に育まれない場合、「誰が言ったか」に依存する判断が増えます。その結果、根拠のない情報を信じたり、誤った考え方を持ってしまうリスクが高まります。
私たちは、情報の正確性を「誰が言ったか」ではなく「何が言われているか」で判断する力を養うべきです。批判的思考を身につけ、自分の視点で物事を考えられるようになれば、偏った情報や誤解を減らし、より健全な判断ができる社会を築けるでしょう。