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中国経済の栄光と現在の試練
2000年代から90年代にかけて、中国は世界経済成長の40%以上を生み出し、その台頭は「経済ルネッサンス」ともいえるものでした。当時、中国は世界中の大豆からコンピュータチップ、自動車、医薬品、工作機械まで買い占め、主要国にとって経済の「金鉱」でした。ドイツ、韓国、日本、フランスは、中国との貿易と投資が経済の10%を占めるほど、中国への依存を深めました。また、中国の需要により一次産品の価格が上昇し、特にロシアは資源輸出で恩恵を受けました。
加えて、中国は単なる購買大国にとどまらず、海外への巨額の融資を行い、アフリカやアジアのインフラ建設を支援。アフリカでのインフラプロジェクトの3分の1が中国主導で進められました。この「三重の勝利」は中国企業の進出、中国製品の輸出促進、融資による経済的影響力拡大によって行われ、中国の成長戦略の象徴でした。
しかし、その時代は終わりを迎えています。中国の経済成長率が低下し、それに伴い世界の主要貿易相手国の成長も鈍化。韓国の対中輸出は約20%減少し、ドイツも9%の減少を記録。さらに、中国は融資活動を縮小し、返済を要求する姿勢に転じたことで、ベネズエラ、ザンビア、パキスタンといった国々は債務危機に直面しています。
また、中国の補助金政策による低価格商品が世界市場を席巻。電気自動車やソーラーパネルなどで国内生産者を圧迫し、対中貿易赤字を拡大させています。この「三重の脅威」は国内産業の衰退、対中貿易赤字、中国製品依存という結果で多くの国に課題をもたらしています。
2000年代、中国は好意的に見られ、英国は香港を、ポルトガルはマカオを返還。多くの国が中国と国境紛争を解決しました。しかし現在、中国は好感度を失い、収益性の高いパートナーではなく地政学的な潜在的脅威として認識されています。
米国が技術移転を許容した結果、中国は先進技術を吸収しましたが、現在はその経済的覇権が揺らいでいます。成長期の輝きを失いつつある中国は、世界からのプレッシャーにさらされる中、次の一手を模索しています。
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