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アテンションエコノミーに飲まれる選挙

アテンションエコノミー(Attention Economy)とは、情報が溢れる現代社会において、注目が資源として扱われている経済のことです。これは、情報が膨大になる中で、消費者の注意を引きつけるということが企業やメディアにとって重要であることを示しています。

それは企業だけでなく、個人でもSNSやYouTube、ブログにて視聴回数が直接的な収益に結びつくため、注目を集めることが重要な要素となっています。視聴回数が多いほど、広告収入やチャンネルメンバーシップ、スーパーチャットなどの収益手段が効果的に働き、総収益が増加します。さらに、企業やブランドからのスポンサーシップやコラボレーションを通じて、追加の収益を得ることも可能です。

しかし、視聴回数を追求するあまりに、形振り構わずコンテンツを作成するケースが見受けられます。特にSNSでは、目立つために社会的に逸脱した行為がもてはやされることが多くなってきました。個人が自由に発信できるため、ガバナンスが欠如し、面白ければ何でもありという風潮が広がっています。

このような背景の中、都知事選でもアテンションエコノミーが目立ちました。そこでは選挙の看板が選挙と関係ない内容に使われたり、相手を罵倒する映像が多く閲覧されたり、品位を欠いた発信が増えています。

選挙は国民、市民の未来を決める重要なイベントであり、真面目な内容を発信してほしいと願うものです。しかし、真面目な内容はネットでは拡散されにくいのが現状なので、品のない内容ばかりが目立ってしまいます。

今まではテレビが真面目な内容の報道を担っていたのかもしれませんが、テレビでも偏った候補者の報道しかしていなかったり問題も浮き彫りになりました。裏を返せばテレビも視聴率に動かされているのです。

ネットで即座に拡散された内容は、次のコンテンツにすぐに置き換わってしまいます。長い目で見て前向きに国民や市民に向き合っている候補者を取り上げるメディアがあればいいと思いますが、ビジネスにつながらない事が問題なのでしょう。政治もメディアのエンターテイメントの一部と化しているのかもしれません。

情報が豊富であるがゆえに、注意の奪い合いが激化しているのが現代社会の縮図です。この経済の中では、利益や視聴回数だけを求めた質の低いものが主流になりつつあります。どうしても質の高いものを求めると時間とコストがかかり、ビジネスになりません。その点を改善しないと、いつまでもこの国の政治は良くならないのかもしれません。

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