見出し画像

『アナと雪の女王』に見る英語と日本語の歌詞表現の違い

日本語と英語の音節数の違いは、歌詞やメロディの作り方に大きな影響を与えています。

英語では、たとえば "I love you" のような短いフレーズでも、主語や述語が含まれ、完結したメッセージを伝えることができます。英語は音節数が少なく、1単語に多くの情報を詰め込む特性があるため、歌詞においても感情や状況をシンプルかつ自由に表現できます。この柔軟性が英語の歌詞を魅力的にし、メロディの幅を広げる要因となっています。

一方で、日本語は「愛してる」のように、感情は伝わるものの、「誰が」「誰を愛しているか」という詳細が曖昧で、具体的な描写を補うために音節数が増える傾向があります。また、日本語は1音節が1文字に対応する感覚が強く、細かく区切られるため、英語に比べて音数が増えます。たとえば、"You are my sunshine"(5音節)を日本語で表現すると「あなたは私の太陽」となり、9音節になります。

吹き替えで見える音節の影響

この違いは、英語の歌の日本語吹き替え版で特に顕著に表れます。たとえば、映画『アナと雪の女王』の主題歌「Let It Go」では、英語版と日本語版で歌詞のニュアンスが大きく異なります。

英語版「Let It Go」では、「もうどうでもいい」「全てを捨てる」という孤独と自由が強調されています。一方で、日本語版「ありのままで」では、自己肯定やポジティブなニュアンスが中心となり、元の意図が部分的に削がれてしまっています。英語の歌詞は音節数やリズムに柔軟に対応できる一方、日本語では音符に一音を当てはめる必要があるため、表現の自由度が制約されるからです。

たとえば、エルサが自分の力を解放する場面では、英語版が「孤独による自由」を象徴するメッセージを秘めているのに対し、日本語版では「自己解放」や「明るい未来」として描かれ、まったく異なる印象を与えます。このように、音節数の違いが歌詞の解釈や作品全体のメッセージにまで影響を及ぼすのです。

音楽文化の豊かさを理解するために

日本語と英語、それぞれの音節や言語特性が、音楽の表現や文化にどのような影響を与えているかを知ることは興味深い視点です。言語の特性を理解しながら音楽を楽しむと、新しい発見や感動が生まれるでしょう。


いいなと思ったら応援しよう!

10works
よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!