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顧客紹介契約の注意点(委託者側)
企業の法務担当者として働く中で、
ビジネスで用いられる非典型契約の審査をすることがある。
契約書の作成・審査にかかわる企業の法務担当者に向けて、
非典型契約の注意すべき点を記載する。
今回は、「顧客紹介契約」を取り上げる。
顧客紹介契約とは
企業が売上げを増加させるには、新規顧客を開拓する必要がある。
自社で新規顧客を開拓するよりも、
見込顧客と既に接点のある他社に
見込顧客に関する情報の提供を受ける方が効率的である。
このような場合、顧客紹介を他社にお願いするために、
顧客紹介契約を締結することがある。
似たような契約に、販売代理店契約がある。
販売代理店契約では、他社が営業活動を行い、契約の申し込みを受ける。
これに対して、販売代理店契約では、
他社は見込顧客の情報を提供したり、引き合わせたりするだけ。
顧客に対する営業活動は行わない。
このような顧客紹介契約は、
「見込顧客に関する情報提供という事務」を委託する準委任契約といえる。
顧客紹介契約の作成・審査における注意点
顧客紹介契約では、委託者は、
紹介された顧客との契約が成立した場合に、報酬の支払義務を負う。
しかし、契約成立といっても、
以下のように報酬に関する紛争が生じる可能性がある。
紹介後、数年経過した後に契約成立でも報酬が成立するのか
複数回契約が成立した場合、全ての契約に関して報酬が発生するのか
そこで、報酬の発生条件を明確にする必要がある。
例えば、以下のような文言が考えられる。
【初回の契約のみに報酬が発生するとしたい場合】
紹介手数料は、受託者が紹介した顧客が初回に購入した商品についてのみ生じるものとし、委託者が受託者から紹介された見込顧客との間で複数回売買契約を締結した場合でも、2回目以降の契約に関しては紹介手数料は生じないものとする。
【一定期間経過した後は紹介料の支払義務を免れるとしたい場合】
受託者が委託者に対して見込顧客を紹介した時から○ヵ月以内に商品の売買契約の締結に至らなかった場合、委託者は受託者に対する紹介手数料の支払義務を免れるものとする。
まとめ
顧客紹介契約では、紹介した見込顧客と契約が成立した場合に、
報酬を支払う場合が多いため、成功報酬となることが多い。
計算方法を定めるのであれば、金額を算出するうえで
認識と齟齬がないか確認することが必要である。
特に、顧客との契約が複数回成立する場合にも報酬が発生するのか、
紹介されてからある程度の期間経過しても報酬が発生するのかについて、
契約上明確にする必要がある。
上記の点を踏まえて、検討することを意識したい。