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【 はじまりの日記 】 2022年8月1日 — 散歩をしていたら行き止まりだった時の感覚に似ている。
今日から8月。暑い。テレビでは熱中症に対する注意喚起の放送。前から気になっていたタイ料理屋でグリーンカレーを食べてから部屋に戻って、書いてる。先週、母が余命宣告を受けた。体調が悪いから検査をしたとは聞いていたけれど、死ぬとは思っていなかったから、突然だった。電話で病状や今後の予定を聞きながら、不思議と涙も出ないし、悲しい気持ちにもならない。散歩をしていたら行き止まりだった時の感覚に似ている。「あぁ戻らないとなあ」と心の中で小さく囁く、そのくらいの感じ。戻れないけれど。
医者の話を受けた母は、取り乱す様子もなく、強くしっかりとしていたと父は話してくれた。抗がん剤治療に抵抗があったようだったけれど、少しでも長く生きる道を選択しれくれた。「医学は進歩してるから」としきりに言っていたけれど、どのくらい進歩しているかはきっとわかっていないと思う。ただ、髪が抜けたり、吐いたりみたいなことにはならないようだ。よかった。話によると抗がん剤治療をしながら旅行に行ったり、登山を楽しんだりする人もいるらしい。ただ、感染者数が全国的に増えている今は遠慮してほしいと医者に止められたようだった。家族みんなでハワイに行く約束は。屋久島に行きたいんじゃあなかったの。
残りの人生何がしたい? 叶えたい夢はある? そんな話を、今すぐ山形に帰ってゆっくりお酒を飲みながら(嗜む程度ならいいみたい)聞いてみたいと思ったけれど、コロナ禍ではそれもままならない。いつ死んでもおかしくない母に会いに行くことすらもままならないのかと、力が抜けてしまった。8月中に一度だけ会いに行く約束と、妹の提案で、こまめにテレビ電話で話す約束をした。何かあった時のために、めったに連絡を取らない3兄弟の LINE グループを作った。
余命10分
筆者プロフィール
1982年 山形出身・東京在住。
都内でフリーランスでデザインの仕事をしています。
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