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オタク、推し香水を作る。



推し香水?

推し香水という概念が生まれてもうだいぶ経つ。これを読んでいる方はまさか推し香水ってなに? という疑問を持ってはいないだろうが一応説明をしたいと思う。

推し香水とは、端的に言えば推し(=好きなキャラクターなど)のイメージを香水に落とし込んで作ったものだ。
とはいえこの辺りは人によって解釈が異なる。
推しの印象を香水を通じて具現化したい、という人も、推しからこの匂いがしてほしい! という人も、推しがこの香水を使っていてほしいという人もいる。
かくいう私も、様々な解釈でこれまで推し香水を注文してきた。ときには、J1に昇格した贔屓のサッカークラブをモチーフにして注文したこともある。何? どういうこと? だってクラブが香水出してくれないから……。

そう、注文である。私は今まで、推しの香水を注文することはあった。キャラクターに関する問診票……問診票? 問診票を提出し、それに応じて香水が送られてくるもの。問診票を用意し、香水の重ね付けによりキャラクターを表現するもの。なんだかんだいろんなものにチャレンジしてきた。

これは以前うちの子を再現してもらったもの。あのすごくて……なに? この……すごくて……


しかし、今回は違う。香水を「作る」。――調香である。


えっ 素人でも香水作れるのか!!

作れる!!!!!!!!!!!!!!
今回はMagnolia Fragranceさんで調香体験をしてきた。ちなみにぼっちは怖いので、馴染みの女についてきてもらっている。

流れとしてはサイトにある通りで、

1. 香りの仕組み説明(5分)
2. 約100種類の香料の中から、お好みの香りを12~15種類お選びください(30分)
3. 選んだ香料の調香順を相談(15分)
4. スポイト・メスシリンダーを使って調香を体験(25分)
5. 香りの確認・仕上げ(10分)
6. ラベルを選んで瓶をデザイン(10分)

オリジナル香水作り 調香体験 – Magnolia Fragrance

私たちが体験したときも、だいたいこの通りの時間に終わった。
香りはトップノートが2~3種類、ミドルノートが5~10種類、ラストノートが3~5種類で、ミドル→トップ→ラストと決めていくようなかたちだった。

ああ……しっかり作れ

ということで、推しの香水を作ることになった。
作ったのはこちらのキャラだ。

板倉 音架。高校2年生の女の子。

クトゥルフの呼び声というTRPGで使用したキャラクターだ。
見た目に違わずゴリゴリの口数が多い陰キャオタクだが、幼馴染の漫画家志望の男子に片想いをし続けている。そんな彼女をモチーフに作ることとした。

しかしまあ、ちょっと悩んだことがある。『どのように作るか』だ。
先述した通り、推し香水は様々な解釈で作ることができる。今回はどのような解釈で作るか悩み……
……こっからオタクがキショいだけの文章続くんですけど大丈夫ですか? みんな振り落とされてない? 振り落とされた方が悪いので勝手に続けますね。

私は最終的に、『「恋愛漫画描くならデートの練習でもしたらどうでつ~?w」ってデートの予定を取り付けた音架が、「甘い匂いが好きだけど相手はどうかな、あんまり好きじゃないかな、いつもと違いすぎると変かな、そもそも向こうは香水付けてるとか気づくかな、少しでもよく思われたいな……」と悩んだ末に背伸びして選んだ香水』を作ることにした。

どれくらい振り落とされたかな。続けますね。
そして私は様々に匂いを嗅ぎまくり、香水を作るのであった……。

実質小学校のときに想像してた理科の実験

まあ見出しの通りなんですけど。

まず決めていくのはメインとなる香り、ミドルノート。この時点で本当に死ぬほど香りの種類があって慄いた。これ……全部嗅いで決めなきゃなの……!?!?
とりあえずぴんと来たものを嗅いだり、もともとあまり好まない匂いを選択から除外したりで7種類ほどを決めていく。
あとオタクだから花言葉とか調べた。

それが決まったら次はトップノート。ミドルがこうだからこの匂いで、こういう風に変わっていって……いや音架が中学生の頃に選んだんだから、むしろ音架がこうかな? って思った匂いはトップノートに要素が全部詰まってるんじゃないか? 今この香り選んだけど、それはオタクの先入観では? 音架モチーフのものが欲しいのはわかるけど、音架は音架モチーフのもの選ばないでしょ? はい……

となんとか選び終わったら最後にラストノート。なんだかんだここが一番苦労した。多分中学生の音架は、ラストノートまで嗅がずに香水を決めるだろうなと思ったからだ。
なんとなく「ミッドナイトフラワー」と「ミルクバス」という香りが繊細で優しくて、音架が好きそうだなと思ったのだが……
いやさぁ……中学生の女の子に「ミッドナイトフラワー」と「ミルクバス」はさぁ……エッチすぎない? 私はエッチだと思うんですけど……え? エッチですよね? エッチだな……どうすっかな……まあでもこれが最後、片想いの相手が残り香として強く印象付けられるところだなと思ったらアリかな……早くくっついてくれねぇかな……えっムスキーバイオレットとかある。すごい音架のイメージだし音架が好きな匂いだ! あとちょっと甘めにピーチで……
これエッチじゃねぇかな……この匂いさぁ……エ? エッチじゃねぇかな? 中学生の女の子から香っていいのか? いやでもデートだからってきっと音架は気合入れてくるだろうな……
ほなええか……

そして、そこからまた考え直してトップとミドルの匂いをいくつか変えて終了した。
決まったら、調香師の方に分量などを決めてもらって調香に入る。ちなみに、好きな香料とかは印をつけておけばそこを主体にして組んでもらえるようだ。私はトップにライラック、ミドルにカスミソウとバイオレット、ラストにムスキーバイオレットを主体にしている。

いや正直ここからめちゃくちゃ楽しかった。メスシリンダーとスポイトを渡されて、決まった分量を量りながら調合していく。こういうの好きだった~~~~!!!! あれでしょ!? 目線を水面と並行にして、水面のへこんでいる下の方が目盛りに合うように入れてくやつね!!!! 好き!! なぜかすごい得意。
ちなみに同行者の女は私よりずっとはやく終えていた。あれ? ごめん全然得意じゃなかったかもしれん。

最後にムエットで確認し、肌につけて確認してあとは調香師さんが瓶に詰めてくれる。ちなみに瓶に貼るラベルも選べるしラベルには文字入れられる。福利厚生~~~~~!!!!!!!

できた!

最終的に、

  • トップノート……清潔なシャボンと花の香り

  • ミドルノート……甘めのブーケだが落ち着きがある

  • ラストノート……甘い。これが残り香として印象に残るのはエッチすぎ

このような構成になった。
エッチだな、板倉音架……。

調香体験、本当に楽しかった。
ただ、割と明確に「こういうイメージの香水が作りたい!」という具体的なものがないと、大量の匂いに囲まれて目を回しながら時間が過ぎてしまうかもしれない。最初に方向性を決めておいたり、キーワードとか……あとまあオタクなら誕生花とか……そういう具体的に何を主軸に置くか? をはっきりさせておくと作りやすそうな気がした。

今までの推し香水は、自分の意見とカウンセリングを交えて作り上げていくものだが、調香は己のインスピレーションが重要になる。それさえ大事にしておけば拡張性は随一だと思う。

次回は『めでたく付き合い始めたので、改めて相手の好みを聞きながら香水を選びに来た』ていで作りたい。

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