自己紹介、はじめました。
日付をまたぎ、人通りが少なくなった路地。
街灯が古いせいか、大通りよりも数段暗い。仕事帰りによく通る道だ。
星が見える、晴れた日の夜。その慣れ親しんだ路地を歩きながら、ふと思う。
「おれ、何してんだろうなぁ…」
そして、目からあふれてくる水のような何か。
こぼれ落ちないように、夜空を見上げながら帰った。限界だった。
——— 将来の夢はなんですか?
悩みもなく、日々たのしく走り回っていたころ、センセーが言った。
これといって、なりたい職業はなかった。が、「オラってばトクベツな子だし、将来もフツーの人とは違うことしてるっしょ」。当然のように、そう思っていた。
だが、現実は甘くなかった。
のらりくらりと過ごしてきた学生時代。
それが良くなかったのだろうか。新卒で就職した企業は、パワハラと残業過多を兼ねそなえたブラック企業。平日、ベッドに入るたびに明日が来ないでほしいと祈る日々を送ることになった。
空が青い、日差しの強い朝。いつものように、遅刻ギリギリの時間に起きる。朝ごはんを食べ終え、やる気なく歯磨き。そして、うがい。
口から水が飛んだ。
「———?!?!」
歯磨き後のうがいは口を閉じてするものだ。だから、口から水が飛び出すなんてことはまずありえない。
「なんなんだこれは…」
すぐに鏡を確認する。顔の左側の動きが鈍い。慌てて病院に行く。
医者からは『片側顔面マヒ』と診断された。そして、その原因はストレスと睡眠不足だろう、とのことだった。
後遺症は残らなかった。不幸中の幸いというやつだ。だが、精神も身体も、限界はすでに超えていた。
就職してから一年半経つか経たないか。『石の上にも三年』の半分の年月しか経っていない。でも、もう無理だ。
ブラック企業を退職し、地元に戻ることになった。
地元で就いた会社はゆるブラックだった。
仕事は楽で残業は少ないが、価値を見出せない仕事をすることになる。そして、気付けば三年が経過しようとしていた。
子どものころ思い描いていた光景とは、
まったく違う人生を歩んでいた。
「一度しかない自分の人生、これで良いのだろうか?」
日々、そんなことばかり考えていた。
友人としこたま飲んでも、家族と温泉でまったり過ごしていても脳裏をよぎる。脳という部屋の隅っこには、常に三角座りをして考え込んでいる自分がいた。
「これ面白いからやってみ」
そんなある日、友人から『ストレングスファインダー』を勧められた。ストレングスファインダーは、アメリカのギャラップ社が開発した『才能発見ツール』だ。
やってみた結果は、なかなかに的を得ているという結果だった。科学的根拠にもとづいているツールだから余計にそう思うのだろうか。
なんにせよ、いいきっかけだった。ずっと、変わるきっかけが欲しかったから。
自分と向き合うことをはじめた。
自己理解が深まる感覚。まるで深い海の底まで潜っていくような、そんな感覚だった。
そこで、やっと見つけた。ひときわ大きな輝きを放つ3つの価値観。
「これが、俺という人間だ」
胸を張って言える。違和感はない。
それほどまでに、自分という人間を端的に表すことができる価値観だったからだ。
そして、現状をよく見てみる。
この3つの価値観にあった生活は、当然のように送れていなかった。楽しさも自由もなければ、美しさも感じられない。絶望した。
「俺は今まで何をしていたんだ」
そんな後悔ばかり生まれてくる。しかし、過去を嘆いても今までの行いを変えることはできない。
「もう、絶対に後悔したくない」
心の底からそう思った。
だから、まずは一番価値観にそぐわない仕事をどうにかしようと動きはじめた。そして、上記の3つの価値観にあった仕事を探す日々を送った。
イラスト、ブログ、プログラミング、デザイン、動画撮影・編集、DTM…とにかく気になることは片っ端から手を出した。
しかし、やっては不安になる。そして、不安になっては違うことに手を出す。飽き性も相まって、次から次へと方向転換した。完全に、負のループにはまっていた。
一日中、何もしないで思い悩んでいた時期もあった。精神的に参っていたのかもしれない。いや、確実に参っていた。
ストレングスファインダーをやってみた日から、すでに5年の年月が経過していた。
2022年ころは、プログラミングを本気で勉強していた。
その流れで参加した技術コミュニティ。その場でたまたま縁のあったスタートアップ企業で、1年ほど長期インターンとして活動することとなった。
在籍中はさまざまなことを経験させてもらった。だが、在籍中にも「これで本当にいいのだろうか?」という葛藤が常に頭の片隅に存在した。
そんな悩みを企業の方に打ち明けたところ、その方からコーチングを受ける運びとなった。
そして、大きな変化が起きた。
『何をすべきか』が重要なんじゃねえ、
『なぜすべきか』が重要なんだ。
今まで、『何をすべきか』だけを考えながら行動してきた。
だが、最も大切だったのは『なぜすべきか』だったのだ。
※この考え方(戦略的思考)の詳細については以下の記事にまとめている。
頭をバットで思いっきり叩かれたような、そんな衝撃を受けた。
もう、なにがなんだかワケがわからなかった。これまでの5年間を否定できてしまうからなのだろう。
でも、めげなかった。
5年という長い年月が「もう後悔したくない」という意志を、より強固なものにしていたのだ。
まずは『達成したいゴール』を設定した。
ゴールは『理想の状態』とし、わかりやすく『華がある人』と一言で言いあらわすことにした。
そして、『華がある人』になるための戦略を練りあげた。
『執筆』はその戦略の中の1つである。
あれから、10年近く経った。長かった。でも、やっと迷いなく進める道を見つけることができた。
このときの心境は、まさにこんな感じだった。
だから私は執筆する。
かわいい我が子のために、時間の経過で色褪せない知識をまとめる。そして、『華がある人』を目指して突き進んでいくつもりだ。
——— 将来の夢はなんですか?
将来の夢なんていう、そんな大それたものではないと思う。シェフやYoutuberといった、具体的な職業でないからそう感じるのだろう。
でも、もう迷わない。
今なら、この質問に対し、はっきりとこう答えるだろう。
「"華がある人"になることが、私の夢です」
【渾身の力作】紹介コーナー
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?