タスク管理もまた、穏やかさのために回転する /荒木飛呂彦『スティール・ボール・ラン』
あなたが、タスクマネジメントをするのは、何のためですか?
僕は、穏やかに生きるためです。
もちろん、ワクワクして生きるのも好きですよ。
でも、穏やかに生きたいのです。
ツェペリ一族の秘技である鉄球の回転。
「回転が、穏やかさのためにある』というのは、含蓄のある言葉です。
なぜなら、人間は、細胞レベルで常に新旧が入れ替わり、いっときとして同じではあり得ません。
動的な平衡を保っているような生き物です。
細胞は、壊れながら、新たに生まれている。
新たに生まれながら、常に壊れている。
まるで、回転しながらもひと所にとどまるように見えている球(たま)のようです。
生物学者・福岡伸一氏も、このように図説しています。
合成しながら、同時に分解されていく。
一つ一つの細胞は、回転しながらもひと所にとどまっているように見える球(たま)のようだというのです。
鬼才の漫画家・荒木飛呂彦氏は、
「肉体を平静の状態にあるように」
「『穏やかさ』のために」
鉄球の回転があると、ツェペリ一族に語らせています。
ここで思い出すのは、最高のタスク管理メソッドである、タスクシュートの中でも、無くてはならない回転があることです。
タスクシュート・サイクルと呼ばれます。
自分軸に平静をもたらし、穏やかに生きるための核です。
行動の基点となるタスクリストは、
一つひとつのタスクが、合成されながら、終了していきます。
やりたいこと・やるべきことが、日々組まれ、実行され、終わっていき、また明日がきます。
この回転が滞りなく回ることで、毎日に穏やかさをもたらしてくれるのです。
さて、ツェペリ一族が語るのは、それだけではありません。
荒野を渡り切るには、心の中の「地図」が必要だと言っています。
目に見える地図ではありません。
心の地図です。
主人公であるジャイロ・ツェペリの父にとっての「心の地図」は、
人の幸福とは 家族の中にこそある
というものでした。
そしてそれが、国を守り、先祖を子孫を尊ぶということにつながると言います。
これには、異論があるかもしれません。
それはそれでいいのです。
大事なのは、荒野を渡り切るために「心の地図」を持つということ。
これは、信念と言い換えても差し支えないでしょう。
心の地図(信念)もまた、穏やかに生きるためには必要なものだと思います。
これがないと、周りの都合が優先してしまい、自分らしくない生き方を強いられ、心がザワザワしてしまうからです。
心の地図を描くもの。
僕はそれを、<自分史>から導かれると思っています。
<自分史>から導かれる心の地図を持ち、
<タスクシュート>で穏やかに回転する。
僕は、そのように生きていきたいと思います。