"着手主義"のタスク管理は「心を軽くする」のが一番のメリット
”完璧主義”が、いろいろなものを蝕(むしば)んでしまうことは、それなりに知られてきたことだと思います。
日本企業が、完全無欠な状態に仕上げてから商品を販売することが当たり前だったため、開発に時間がかかり、消費者のニーズを逃してしまうことが挙げられています。
また、消費者のニーズからズレていることに気付かずに、独りよがりな完全無欠を追求した結果、何のためにあるんだか分からないような機能が満載な商品に仕上がってしまうこともよく聞く話です。
そのような完璧主義に対抗するように、リーンスタートアップが注目されました。
小さく産んで、大きく育てる考え方です。
小さく、不完全でもいいから、提案して売ってみる。
そのあとは、利用者の声を聞きながら、早いペースで、どんどん改善(アップデート)を繰り返していく。
そのほうが、消費者はそれなりに利益を得られるし、開発者は消費者ニーズに添いながら商品を磨いていくことができるので、ニーズが多様で変化の早い現代には、マッチした考え方だと言えます。
長らく日本企業を支えてきた"完璧主義"という文化。
それはつまり、日本教育もまた、”完璧主義”であるということです。
僕らは、完璧主義こそ善と教えられてきた国民です。
一つのことにじっくりと長時間取り組むことが許される職人のような労働環境であれば、完璧主義も力を発揮するでしょう。
しかし現代は、誰もが個人商店の時代です。
一人で、細かく、あれもこれもやらないといけません。
テクノロジーの進展により、簡単な操作で多くの作業ができるので、昔は専門部署がやっていたようなことも、「自分でやってね」ということが増えています。
自分一人で、専門的なことから雑用的なことまで、あれやこれや切り盛りしなければならない状態を、僕は「個人商店化」と呼んでいます。
さて、企業文化としての完璧主義との対比で、リーンスタートアップがあるように、タスク管理の中でも完璧主義と対比されるものがあります。
それは、着手主義です。
着手主義は、着手することを重視する考え方です。
完璧に終わらせることが重要なのではなく、
わずかでも始めることを大事にします。
リーンスタートアップです。
着手主義を生み出したのは、タスクシュート協会で有名なjMatsuzakiさん。
とりわけ、ハードルを低くしてくれるのが、着手主義における「1分着手ルール」です。
今からとにかく手を着けよう。
今から手をつける作業は、終わらなくってもいい。
やるのは1分だけでいい。
それだけでもう、先送りではない。
ちゃんと着手しましたね、とみなす。
そういうルールです。
「先送りではない」「この仕事は、先送りしなかった」と思えるのは、精神的にとても楽なことです。
精神的に楽になることは、すごく重要ですね。
世界最高峰のタスク管理メソッドであるタスクシュートには、さらにさらに心理的な負荷を下げるメソッドがあります。
ルーチン
リンク
プロジェクト・ノート
の3つです。
ルーチンは、繰り返しの作業を助けるものです。
着手主義は、短時間で区切ることが多いので、必然的にルーチンを多く使います。
ルーチンを組みやすいツールは、着手主義の負荷を下げてくれます。
リンクは、作業に必要な資料を、ワンクリックで開いてくれます。
欲しい資料のために、いくつものフォルダを開けて探す手間を省く仕組みは、着手主義の負荷を下げてくれます。
プロジェクト・ノートは、病院のカルテのようなもので、作業ごとの概要や実績、これからの見通しなどが書かれています。
次に何をやればいいかが分かりやすいため、着手主義の負荷を下げてくれます。
完璧主義ではなく、着手主義は、心の負荷を軽くしてくれるので、気持ちよく仕事ができます。
タスクシュートにおけるルーチン、リンク、プロジェクト・ノートがまた、さらに心を軽くしてくれるので、鬱々とした気分は、どっかにいってしまいます。
気分が晴れると、同僚ともうまくいきますよね。
お客さんともいい関係が築けます。
単に作業が終わる以上の効果があるのです。
着手主義の一番のメリットは、この”心を軽くする”ということ。
みなさんも、チャレンジしてみてはいかがでしょうか?