Aztec Camera “High Land, Hard Rain”のギタープレイ(ネオアコの金字塔のひとつ)
ロディ・フレイム(Aztec Camera)のギタープレイについては、語られてなさすぎるのではないか。
まず1983年の1stアルバムHigh Land, Hard Rain(祝40周年)だけでも。全曲素晴らしいのは前提として、ギターにフォーカスしてコメントする。
1, Oblivious
リードフレーズからソロからすべてアコギ。気の利いたパーカッションも相まってラテンぽさあり。ファンカラティーナの嚆矢と言えなくもないか。そして、ギターソロの入り方にビビる。
アルバムのライナーで、ロディはLove ‘Alone Again Or’にインスパイアされたと言ってるけど、恐らく同じアルバムの ‘Maybe The People Would Be The Times Or Between Clark And Hilldale’のブラスの間違い、と思われる。
発想としてはNeil Young ‘Cinnamon Girl’と同じか。
とにかく初聴きのインパクトが強かった名演。
ハイポジションまで弾き倒してるので、弦高低いアコギじゃないと弾けなさそう。
2, The Boy Wonders
鍵盤も控えめにマンドリン交えつつ全編アコギのアンサンブルで突き通す。エレクトリック・ギターがなくともバンドはできる。リードフレーズやベースのキメのフレーズの後ろのさりげないバッキング。
3, Walk Out To Winter
3曲目にしてやっとエレキが出てくる。9thや13thバシバシのコードづかい、ジャズの匂い。ギターソロはトレモロと駆け上がりフレーズの組み合わせ、手札は多くないけどカラフルに聴こえる。
“壁から(ジョー)ストラマー(のポスター)が落ちて、何も残らない”という歌詞がまさにポストパンクなロディの立ち位置も示してるような。
コード進行分析してる人がいたので掲載。
4, The Bugle Sound Again
こうしてストロークの音量が大きい曲を聴いてると、決して高いアコギを使ってたわけではないのかな、と思う。スパニッシュぽくジャラッと弾きおろすようなストロークにロディの引き出しを感じる。
5, We Could Send Letters
全編アコギ。アルペジオやトレモロ奏法を生かしたギターソロの美しさ。ロングトーンも入るものの、これをアコギで弾き切ることに意志を感じる。こういうアンサンブルをパクるバンドがいてもいいのでは。
6, Pillar To Post
イントロからエレキのカッティングが印象的。ブロックコード的な解釈は、アコギ上がりだからか。ソリッドボディのエレキだとテレキャスを愛用してたのも納得。
Walk Out〜もそうだけど、勢いと熱が増してく押し込むようなプレイもまた良い。ここからまたエレキ方面にシフト。
7, Release
まさにジャズギターをやってみましたと言うような演奏。バッキングはほとんどハイハット中心のドラムとベース、後半にやっとオルガンが入るくらいなので余計にギターの美しさが際立つ。
8, Lost Outside The Tunnel
ここでもスパニッシュ風のストロークが聴ける。The Bugle〜でのプレイをアップテンポにしたような…。そして背後で鳴るトレモロ。
最後の最後でドラムのキメに合わせて弾き倒すようなソロ。全編アコギ。
9, Back On Board
コード崩しとアルペジオを織り交ぜたエレキが心地よい。酔っ払って鼻歌で歌いたくなるような、、当時のロディは未成年だけど。
10, Down The Dip
ネックの上下を器用に行き来した深みのあるアコギバッキング、弾き語り。余韻を残す。
Bonus Tracks
11, Heywire
アコギ弾き語り。スライドや小指をうまく使ったプレイ。弾き語りにコーラス多重録音のアンバランスさも楽しい。
12, Orchid Girl
“What do you mean by beauty?”ってフレーズがとても好きで。ジャズ的なエレキ大活躍タイプの曲。
13, Queen’s Tattoo
ロカビリーもギャロッピングもできますよ〜という感じ。軽くコピーもしたし好きな曲。
こうして聴いてみるとアコギがメインでエレキがほとんどない!ネオアコースティックとか名付けたくなる気持ちもわかる。
そしてアコギの曲とエレキの曲でハッキリ分かれてて両方使われてる曲はあまりないような…。
アコギはタカミネやオベーション、エレキはGibson ES-175らしきものを使っている映像をよく見るとこの頃もそうだったのか?
ロディ当時18歳の末恐ろしいギタープレイを振り返ってみたけど、やっぱり過小評価というか評価されてこなかったギタリストの1人と強く感じる。
ついついファーストの話ばかりしてしまうが、LoveやStrayも愛聴盤なので、決してないがしろにはしない。
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