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3. 遅れて登園したら幼稚園に入れず、恐怖に立ちすくみ泣きじゃくった 園児期①

YMCAで年少期を過ごしたあと
年中から幼稚園に入園した。

登園時 列になって歩くグループに
YMCAから一緒だった
近所のさちよちゃんがおり
一緒に遊ぶようになった。
ほかの近所の同年代にも
だんだん慣れて仲良くなり。
多感な人見知りではあったが
別段しぶることなく通った

年中は
たんぽぽ組とちゅーりっぷ組があり
わたしはたんぽぽだった。
ちゅーりっぷ組の先生は
細身で巻き髪のロングヘア 凛として華やかな感じ
たんぽぽ組のさかもと先生は
顔も体も丸くふっくらしていて
声がホワホワで
いつもピカピカ光るような満面の笑顔。
2組それぞれな先生を観て

(組の花は なんとなくそこの先生と似ている。)
というふうなことを
思っていた。


靴を履き替えるとき
足を乗せるとカタコト揺れる
下駄箱の横のスノコ
あれの上で
みんなが一斉に履き替えるとき
ガタガタガタガタ...!!!
その喧騒に加わる猛烈なやかましさと
立ち上る埃っぽい空気が
すごく嫌で
次の活動に移ろうにも
(なんか もうここ嫌だ。。

なんとはなしに
不快感に引きずられ
気持ちがついてこなかったこと。


組に1こだけ置いてあった
赤のロディ。
(ゴム製で空気の入った馬形の乗り物
あれにまたがって
しっかり耳を掴み
全身で勢いをつけて
ボヨンボヨンとはね進むのが
室内で最も人気の遊びなのだが
いつも活発な子が独り占めするかたちになり
めったに乗れず
変わってもらえず
つぎ変わって、と言うこともできず。
ロディを見るたびに
乗りたい!! というワクワクと
(どうせ今日も、あれに長く乗ることは叶わないんだ。
という恨めしい気持ちが
ないまぜにやってきたこと。

近所の幼なじみのK介は
そのロディに乗ると
決まって異様に興奮し
「ぼくとけっこんしてくださーい!!」
と叫びながら
ロディを駆って追いかけてくることがあり
K介特有の
ディズニーアニメのお調子者キャラような騒がしさ
興奮で顔が真っ赤に変わっていくボルテージの高さ
常に唐突で意味不明なメッセージが
いつも不可解で謎だったが
その珍妙な状況の楽しさと
周りから注目される恥ずかしさの
ちょっとしたジレンマに戸惑いながら
クラスの中を
黙々と逃げ回ったこと。

そんな園生活の
きれぎれな記憶の中で
ひときわ強烈な朝があった。

ある日、
何かの理由で遅刻して
いつもの登園行列でなく
親の車で登園。
「じゃあ、行ってらっしゃーい」
車から降りて角を1つ曲がり
幼稚園に入ろうとしたら
いつも大きく開け放たれている園門が
固く閉ざされていた。

なにこれ?
入れない。

想定外の状況に
あたりを見回してまごつく。
親の車は、とっくに去って行った。
中から
園児たちの喧騒・笑い声が
風に乗ってかすかに聞こえてくるのが
妙によそよそしく響き、
自分ひとり
何からも 置き去りにされたような気分。
心細さが
どんどん混乱に変わって
押し寄せてきた。

どうして閉まってる?
これなに?
なにが起きてるの?
ここから どうしたらいいの?
これから自分はどうなる?
どこへ行く?
ひとりで帰れない
どこにも行けない
今日 ずっとここに立っているの?

あれこれ思いめぐらすと
余計に焦燥をかき立てられて
汗が噴き出してくる。 
中にいる誰かを呼んだら、と考えたが、
恥ずかしくて大声を出すことができない。
不安と恐怖と
自分だけがかやの外という疎外感。
この初めての状況の
わからなさに
耐えられず
どうしようもなく嗚咽が込み上げてきて
わぁわぁむせび泣きながら門前に立っていたら、
門に一番近い
事務室のある建物から
号泣を聞きつけ
知らない先生が出てきて
すぐに門を開け
わたしを迎え入れてくれた。

(助かった !!!)
という安堵の思いだが
(出迎えに向かってくるのは
さかもと先生じゃない
名前も知らない...この人だれ)
という要素が
新たなプチストレスで
またちがう種類の緊張がぴりりと走った
人見知り児の厄日。

見知った幼稚園の
いつも開かれていて
園児たちが吸い込まれていく門

閉め出されて外から見た時の
まったく別な冷たい表情。
その2面性に恐怖し
幼児ながらに絶望した記憶。

気づき
*この頃から 想定外のことに弱く、動揺しやすい面が顕著だった。

*状況が状況なのに、 助けを求めることや 大声で人を呼ぶことに対して 相当な羞恥心があった。

*コミュニティの中で自分だけが違う具合、という条件下で より不安感・疎外感・ストレスを感じやすかった。

*このころ 旅行で鳥取砂丘に行った時、兄と2人で砂の丘の彼方へ消えて行き いよいよ警察に捜索願いを! という直前 ふらりと揃って帰還する、という事件があった。
すなわち、1人でいるとビビりで用心深く いかにも内向的であるが 誰かとつるむと急に気が大きくなって大胆になったりハメを外すタイプ、であった。
 

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