デジタル入稿(商業出版)を理解する
RGB→CMYK変換
RGB→CMYK変換の話は、一般の方にはほとんど縁の無い話だと思います。
いわゆる印刷所で大量に印刷される出版物を作る際、入稿用の画像の形式 として一般的に使われている画像ファイルの色空間がCMYKです。以降、ある程度のCMYKの知識がある事を前提に、書かせていただきますので、 「CMYKっていったい何?」という方は読み飛ばしてください。
読み飛ばしても、一般用途での使用範囲では、困ることはありません。 さて、本題です。写真集や雑誌のグラビアに色鮮やかに印刷されたブルーの海の色を見て 「表現が非常に難しい色」といわれてもピンと来ないかもしれませんが、 もしオリジナルのポジフィルムと並べて比較できたとしたら、その 違いに驚くのではないでしょうか。つまり、こまかく色を見比べると 全然違う色なのに、写真全体の印象は、どっちも色鮮やかな綺麗な ブルーなのです。これは期待色という概念で、ポジフィルム上のRGBの色を 印刷所が巧みにCMYKの色空間に置き換えて作った色なのです。
ポジフィルムの場合、今では業務用の高性能スキャナーで、スキャン後、 CMYKデータが出力されます。なので、RGB→CMYK変換にそれほど頭を 悩まさなくてもよくなったのですが、現在では、一般向けフィルムスキャナーの普及やデジタルカメラの普及 で、RGB色空間をもつデジタル画像を印刷原稿にする機会も増えました。 デジタル画像を印刷原稿として入稿する方法には大きく2通りの方法があります。
(1)自分でRGB→CMYK変換して入稿する。
(2)RGBで入稿して、出版社もしくは印刷所でCMYK変換してもらう。
※いずれの場合も色見本(プルーフ:高品質なカラープリンターで出力されたもの/ コンタクトシート:色見本と細かな印刷の指示のコメントが書かれたもの)を添えるのが最近の方法です。
画像ソフトのPhotoshopには、RGB→CMYK変換する機能があります。
しかし、CMYK色空間から大きくはみだしたRGB画像をCMYK変換すると、 異なった(くすんだ、濁った)イメージのCMYK画像が生成されしまいます。
これをCMYK画像でも鮮やかに色に見えるように色を置き換える作業をするのです。実際 の作業は非常に難しい作業です。そもそもCMYKデータは、印刷所のシステムに依存 するデータなので、自分のパソコンのモニターで見て大丈夫だからOKで あると判断できない問題があります。
私が始めてCMYKデータの入稿に頭を悩ましたのが1994年が最初なのですが、 今でもDTP/印刷業界の最大の課題として未だに試行錯誤の 状態が続いています。
カメラマンがCMYKデータを作ってよいものか?
銀塩フィルム時代、少なくともフィルム入稿ではカメラマンにとって、 印刷の工程は、まったく無縁の世界でした。もともとCMYK変換(四色分解)は 製版の現場での仕事(役割)です。しかし、PCが普及し、まずデザインの現場がDTPによるデジタル化が進み、そして、デジカメが登場し、 カメラマンの現場もデジタル化されました。
カメラマンがデジカメで撮影し、データ入稿しても、必ずしも下工程のデザイナー、印刷所が十分 な対応できるわけでは無いのです。
私の場合はレタッチャーさんと組んで仕事をこなしていますが、これからのカメラマンは、CMYKデータを作るといった変則的な 対応もやむをえないのだと、私は考えています。
あと数年もすれば、カメラマンがCMYKデータを作って入稿という事はなくなるかもしれません。
むしろ、CMYKデータで入稿すると印刷所から怒られる時代になるかもしれませんね(笑)
では、素敵な写真ライフを
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