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片山透
2020年7月18日 18:39
<4>―ノゾミさん―「中村さん。」夕食の時間が終わり部屋に戻ろうとしていたとき、後ろから名前を呼ばれた。振り向くとノゾミさんが遠慮がちに微笑んでいた。「あぁ、ノゾミさん。どうかしましたか?」「いえ…実はちょっと。」僕はとりあえず、傍にある長椅子に腰掛けた。ノゾミさんは静かに隣に座った。「私、退院決まったんです。明後日。」「そうなんですか?良かったじゃないですか。病状が良くなった