20代が考える“いまの20代ってこう!”を発表「20代のみなさん、教えて!いまの20代はどうなってる?+ 20代に投資を促す方法ワークショップ」<前編>
20代の“投資思考”を育む「104(トーシ)コンソーシアム」。「20代104会議」の第6回が行われました。
今回のテーマは「20代のみなさん、教えて!いまの20代はどうなってる?+ 20代に投資を促す方法ワークショップ」。
第1部では、20代メンバーが“先生”となり、いまの20代についての分析を発表。
運営メンバーも毎年楽しみにしているというこの回。初めて知ったワードも数知れず、改めて20代を知らねばならない、と認識する機会です。
一方、20代メンバーも、普段の仕事ではあまり見ることのない他業界の資料の作り方、ワードの選び方などを見ることもできる、見どころ満載の回です。
前半では、非金融業界を中心とした6社が「いまの20代」を分析した結果を発表。
1.「20代は転職に対して前向きかつ成長意識が高い」(人材業界)
今の20代は、「はたらく意識の変化が起きているのではないか(転職意向が強い)」「はたらく価値観の変化が起きているのではないか(ワークライフバランスを重視)」と仮定し、データを分析。
「20代社員の就業意識変化に着目した分析」という資料によると、同じ会社でずっと就業するというよりは、1社に捉われない、という意識が強く、転職について前向きで、成長意欲が旺盛であることがわかりました。
一方、ワークライフバランスの意識は他年代と大きな違いはないものの、「好きな時間に働きたい」「好きな場所で働きたい」という項目が20代前半で高いことが判明。
働く価値観は、他年代と比較して「自由に選びたい思考」が強いといえます。
2.「見た目重視から、スタンス重視へ」(広告業界)
「次に来る“かっこいい”のかたち」について、20代を中心としたZ世代からは
・世間の慣習に流されず、私はこれをやりません!と宣言すること
・サステナビリティ―な生き方
・「かっこいい=男らしさ」ではなく、「かっこいい=その人らしさ」
・見た目よりも、共感できるもの・ことがかっこいい
などが挙げられました。
要するに、見た目重視から、スタンス重視へ価値観が転換するこれからは、「オピニオンファースト(=思想・信念を持つ)」「イミ消費(地球・環境視点を持つ)」、SNSなどによって「嘘がバレる(透明性がある)」時代であるといえます。
3.「社会貢献に関心を持っている」(建材・住宅業界)
ネットで閲覧可能な調査データによるとZ世代の約9割が社会課題に関心があり、その理由として、多くのZ世代が「身近にその課題に直面したことがあるから」と回答している。
現在の20代はデジタルネイティブの世代であり、社会問題や環境問題といった世界規模のテーマを、従来型の媒体であるテレビに加えて、SNSやネットを通じて身近に知ることができる。こうした環境変化が、社会課題を身近に感じられるようになった要因と考えられます。
4.「今の20代はさとり世代」(資産運用業界)
さとり世代の定義としては1987年から2004年に生まれた世代。不景気な環境で育ったことから現実を「悟っている」という意味合いです。
その特徴として、スマホ依存症、ワークライフバランスはライフ寄り、打たれ弱い、会社への帰属意識は低い、インドア派などが挙げられます。
さらに、トレンドを見てみると、「知らんけど」というワードが現れており、自分が責任を取りたくない、という傾向が高まっていると考えられます。また、恋愛ではマッチングアプリを活用し、割り勘が当たり前。テレビ、タバコ、結婚などあらゆる〇〇離れも進んでいます。
これらを踏まえてさとり世代のトリセツです。
・プライベートに踏み込み過ぎない
・精神論は絶対NG
・過程もほめてあげましょう
・成功体験を積ませてあげてください。自信がついて積極的になります
5.「20代に投資に興味を持ってもらうなら“貯金できている20代”を狙う」(金融業界)
自身と同じ、国際的な環境を経験してきた20代の友人に焦点をあて、お金・資産形成とどう向き合っているかを分析。
20代は、「金銭的余裕がなくて投資ができない人が多い」「金銭的な余裕がないと投資できないが、金銭的な余裕がありすぎると逆に投資を考えない傾向がある」ことが見えてきました。
これらを踏まえると、投資行動を促すとしても、まずは「貯金ができている20代」から、ということがわかりました。
6.「同調意識から金融商品の特性を理解せず投資をしている」(金融業界)
20代のNISA口座数は増加の傾向にあります。
ただし、金融教育を受けた若者が増えているけれど、金融に関する知識は不十分であり、自己評価が過剰に高いため、トラブルに遭う例も見られます。
ネットで気軽に投資ができる分、よくわからずに投資している人が多いのではないでしょうか。中には、「横並び行動バイアス」で同僚や友人、SNSの情報に左右され、同調意識が働いているのかもしれません。
「個人主義的な視点と社会的な視点、一見すると相反する価値観をどちらも大事にしているのは面白い」といった20代メンバーの感想から、話は発展。
「“らしさ”を追求したい自分と、同調意識の働く自分の2人が同居している?」といった新たな疑問が運営メンバーから挙げられました。
これに対し、「インフルエンサーなどの自分らしさを大切にしている人をうらやましく思う人が増えている一方で、周りの意見に流されてしまうし、そっちのほうがラクだし、まいっか、と思ってしまうのかも」と20代は分析。
「2つの面があるのはどの世代でもあることだけど、自分でそれを自覚し、受け入れているのがこの世代なんだと思いました」と運営メンバーも納得の様子。
さらに、「成長というリターンに投資する人が多い印象だったけれど、何をもってリターンとしているのか」という問いには、「人によって変わる。転職しやすくなる、という人もいれば、給料が増える、自分が働きやすい環境になる、という人もいる。昔だったら給料が上がるといった客観的な価値観で決めている人が多かったけれど、今は自分の価値観でリターンを決めています」と20代の先生は回答しました。
続いては、個人による、20代の分析結果。みなさんからのたくさんの意見をまとめると、3つのポイントが浮かび上がってきました。
1.デジタルネイティブで、情報の波を乗りこなす
今時らしく生成AIで生成されたイラストを紹介。
おじいさんは本1冊を大切に抱えていて、若者は情報の波に乗っています。ただし、情報の波に溺れている人間もいて、得られる情報をどう処理するかで能力の差が開くと考えられます。
「SNSネイティブ」であり、「日々の食事から就活など大事な局面もすべてネットで情報を集めている」という意見も。受動的だった情報の受け取りが、能動的に得たい情報を得ていることが挙げられました。
2.コスパ、タイパ、スぺパ!
「コスパ」はもちろん、「タイパ」は何人かのメンバーからも挙げられたワードですが、「スペパ(スペースパフォーマンス)」の考え方も誕生しています。
リモートワークの普及が背景にあり、限られた空間を活用してどれだけパフォーマンスを挙げられるかを重視しています。
「タイパ」の例としては、倍速視聴やショート動画、フードデリバリーなどが挙げられます。よく言えば「時間を大切にしている」若者が増えているといえそうです。
また、コロナ給付金の使い道として、20代では貯金に回した人が多いというデータも紹介。「年金がもらえない」と聞いて育っているため、堅実志向になっています。
車の購入を考えたときに、車の購入費や駐車場代、維持費など費用対効果(=コスパ)を考えてやめた、という実体験も挙げられました。
3.悟っているので何事も長続きしない。けれど…
いまの20代は「さとり世代」とされ、個人主義であり、冷めた目で世間を見ています。
日々やりたいことが変わって長続きしないことも課題。取捨選択が早く、面白くないとおもったらすぐに飽きてしまいます。ただ、20代は手探りの段階であり、これからいろいろ経験した中からひとつに絞っていくのかとも思います。
20代メンバーからはこのような感想が寄せられました。
価値観や興味関心が多種多様で、「20代」「Z世代」と、ひと括りにできなくなっていると思いました
20代は「デジタルネイティブ」であることが基本形。数多の情報の中から必要な情報を取捨選択できるようになっている
情報が増えたことで情報を得る手段やサービスも多様化したため、コスパやタイパなど投資対効果を気にするようになったのかも
多くの情報を得ることができる環境にあるけれど、自分がほしい情報しか見えていなかったら考えが偏り、人の考えに共感できなくなる可能性もある。そうなると、共感できる“かっこいい人”になれないので気を付けたい
これだけ多様な価値観がある中で、投資を広めようとしたときに、「20代」という括りよりも、「こういう考え方の人」と縦で括るほうが自然では、という意見にはうなずく人が多数。運営メンバーからも、「これまでは年代、性別での切り口が多く、『こういう考え方の人向け』というのはやったことがないので、新しい視点!」という声が挙がりました。
運営メンバーからは、
「得たものを自分のものにするために取捨選択して、価値観や軸を見つけていくのが次のステップとして20代に訪れるのではと思いました。ぼーっと何もせずに30代を迎えた諸先輩を見て、ああなってはいけないと思ったら、軸を見つけて情報を“得る・知る・学ぶ”を磨いていくとよいと思いました」
「スぺパは初めて聞きました。コスパ、タイパという考え方が20代に浸透しやすいならば、投資思考も〇〇パフォーマンスと言えたら浸透するのかも、と思いました。〇〇に入る言葉を見つけていきたいです」
など、学びと気づきがつまった第1部となりました。
これらの20代による20代の分析を踏まえて、第2部ではワークショップを実施。レポートは後編へ。
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