留学が先?文法が先?
自分の指導を振り返る。vol.9
「将来はスペインに関わる仕事がしたい。」
生徒の夢は多岐に渡り、実現に向け教師は知識を振り絞る。経験値の無さを理由に、曖昧な指導はしたくない。ではどうするか?
スペインに留学した、知人を頼るしかないのである。
大学時代。夜発のスノボーバスツアーに参加した。SAのトイレ休憩中。財布を忘れて、バスに戻り、休憩中の添乗員とさり気ない、ラフな会話。そこから15年の月日が流れ、スペイン留学の相談をする相手になろうとは、誰が想像できようか。
彼女の魅力は目を見張る。高校3年で、何万人に1人の確率で発症する心臓病を担った。指定校推薦を得ていたが、欠席数が上回り大学への道が断たれたが、命は繋いだ。代償は、心臓のペースメーカーと障害者というレッテル。日本では、偏見という目で見られる絶望感を海外に救いを求めた。
無気力で退院して始めた、コンビニのバイト。自分を奮い立たせたのは、高校時代に怠けまくっていた級友の人生を楽しむ姿。「自分にも人生を楽しむ権利はある」という考えに至るのに時間はかからなかった。
人生をスペイン語に賭け、我武者羅に学ぶ。語学の専門学校に行き、先生からアジアでNo.1のスペイン語力との太鼓判を押され、スペインへ短期留学。その後、学費を貯める為に、アルバイトとして添乗員をやった。
そんな時に出会った。辞書に記された蛍光ペンの重ね書きとスペイン人との電話対応に圧倒され、魅了された。さらなる高みを目指し、アルゼンチンへの留学への決断は、出会ってから2か月後の別れの合図。
あれから月日は流れ15年。生徒の夢実現の意欲から、アイツしか相談に乗れないと思い電話した。
「生きてたの?加藤君!」からのスタート。お前の方だろ死にそうなの?っと内心思った。
丁度帰宅途中の電車のタイミングで、通話は遮断。生徒を隣に座らせ、メールでの人生相談が始まった。
生徒の悩みは、留学が先か?学校で文法を学ぶのが先か?
A「語学学ぶなら、必ず文法は必要だから、どこかで勉強してから留学したほうが長い目で見たら早い。
スペイン語めちゃ楽しいとその子に伝えて!スペイン語、話せたら世界のどこでも旅できるぞと。アルゼンチンに行きたいならいくらでも人紹介するし、日本にいるぶっ飛び男の子達も紹介できるよ。あっちで仲良くなった日本人達。
私も何もかも嫌で、人生くそったれー!と思って地球の裏側に飛び出したけど、世界は変わったよ。
でも死ぬほど勉強したよ。と伝えておくれ。日本でも留学中も。今は、商社で働いてるよ。英語ほどではないけどメキシコからくる社員の育成手伝ったりとかフォローとか、たまに使えてるよ。
語学はツールだから、目的じゃないから何をしたいのかを明確にして頑張れと。そもそもその子はなんでスペイン語?」
やっと俺の出番。
利光「飛び出したいんだよ!ただ単に!」
A「同じだ(笑)私と。」
利光「文法は、先?留学後に学ぶってのは?」
A「文法は絶対に先❗️ 特にスペイン語含むラテン語は文法がかなり特殊だから!適当に話せる人はたくさんいる。
サッカー留学、短期留学…。それでは仕事にならない。
大学の授業は、文法は当たり前で、議題がルネサンスについてどう思うか、グループに分かれてディスカッションとか、日本の信仰と犯罪の関係についてとか、ポンと聞かれてそれを外国人と話し合う。
歴史や社会色々勉強していかないとどんなにやる気があっても、ノリの会話だけしかできないし、仕事で繋がるようなレベルにはなかなか達しないよ。
留学先にはごまんといたよ。なんとなく会話できて楽しんでるけど、結局日本戻ってもフリーターとかアルバイトの留学生が沢山いる。
私は人生一回だから、どうせなら色んなところに住みたいと思うし、やってみたいと思うし、失敗したってたかが知れてると思ってる。
どうせみんな死ぬんだよ。年収も肩書きもどんなこともどんぐりの背比べだよ。 自分らしく、思い切った人生の方が楽しいよ。
と私は思うけど、教師としのアドバイスはお願いします。」
利光「同感」
A「身の安全も含めて、日本である程度の学力つけていく事が近道。人生長い。専門ならたった2年。死ぬ気で勉強して、人脈広げたら、残りの50年は何倍にも広がるし、可能性も楽しさも!
そして、進学は学歴のためだけじゃないよ。学びはその人の人生を深くするよ。
文化や歴史を知っていればその国の映画の面白さは何倍。出会う人も変わってくるよ。今はくだらないと思っている時間や、勉強も、くだらないと思うか自分の身になったと思うかは自分次第だよほんとに。悩め青春!」
アツイ
急な電話からの、単発で送られてくるストレートなメールに、生徒の考えが確立されてくる。本気の経験は、本気の悩みを解決する。心への浸透力が半端ない。
今では仲間だけど、出会いは超偶然。出会いを大切にしたからこその最高の指導ができた。
教育は、自分だけでは成し遂げられない。人脈の力は凄まじく、自分の魅力を他者によって高めてもらった瞬間であった。生徒からの感謝を浴びた。
だから俺は、このnoteで世界に発信している!相手に有効な価値を与え、いつかの生徒の悩みに、本気の経験で答えてくれる人材と出会う為に。
みんなで、最高の教育しませんか?