【実話怪談】電話越しの「ぃアぁぁぁぁ"ーーーーーーーーッ」
この話は、会社の同僚・Kさんから聞いた心霊体験です。
大阪出身のKさんが高校時代、実家近くの焼肉レストランでホールのバイトをしていた時のこと。
彼女が働いていたのは住宅街のなかにあるお店で、ファミリー層を中心に品のいいお客さんが多かったそうです。バイト同士の人間関係、店の立地も良好。人生初のアルバイトにしては申し分のない環境でした。
ただ、ひとつだけ気になることがあったといいます。それが、同僚から聞いた「このお店は幽霊が出るらしい」という噂。
極度の怖がりというKさんですが、霊感はまったくなし。噂を聞いてからも、ほんとうにおばけなんているのかなと半信半疑で働いていたそうです。
しかし、接客したお客さんからたまに「ねえねえ、お姉さん。なんかこの店、やばくない?」とか「あそこらへん、変な感じがするよ」「ここ、幽霊いるでしょ?」と言われることがあったとか。
彼女によると、3年ぐらい働いたなかで両手では数え切れないほどの指摘を受けたと言っていました。
噂が回ったり、変な指摘は受けたりする。でも、実際に感じたことはない。
そうして、アルバイトを始めてから1年ほどが経ったある日のこと。Kさんは、生まれて初めての心霊体験をすることになります。
ツツツ、ツツツ……
お客さんが口を揃えて気持ち悪いと言っていたのが、いわゆるバックヤードという場所で、バイトが休憩したり、着替えをしたりする部屋でした。
店の奥まったところにあって、なんとなく暗くてじめじめしている。心なしか本人もいや〜な感じがしていましたといいます。
霊体験に遭遇したその日、21時頃にバイトが終わって、私服に着替えてバックヤード裏から外の道に出ようとしていたKさん。
高校生とあって、バイト終わりは毎回お母さんに電話をするのが決まりだったそうで、外に通じる扉に手をかけながら、ケータイで母の番号を呼び出そうとします。
当時、彼女がもっていたのがソフトバンクのケータイ。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、同社の場合、呼び出し音がなる前に「ツツツ、ツツツ」という電子音がなるんだそうです。
母の電話帳の画面を開いて呼び出しボタンを押すと、いつものとおり「ツツツ、ツツツ」という音が聞こえる。
2回目の「ツツツ」が鳴り、呼び出し音が聞こえてくるかと思いきや、突如電話口から「ぃアぁぁぁぁ"ーーーーーーーーッ」という女性の叫び声。
あまりの声量に驚いた彼女は、咄嗟にケータイを顔から離し、必死に「切る」ボタンを連打。
「ぜったいにお母さんじゃない!! なんなの!?」。突然起きた謎の事態に混乱しながらも、再びお母さんに電話をかけます。
「ツツツ、ツツツ……プルルルルルル」。今度はちゃんとかかった。今さっき起きた出来事を早口でまくし立てると「私、叫んでないで。おかしいな、それ」とお母さん。冷静な返しを聞いて、我に返ったそうです。
怖い体験をしたのはそのときの一回きり。その後、バイトを辞めるまでの2年間、何事もなく働けたそうです。
後に聞いた話らしいのですが、どうやらその物件に入ったテナントは短いスパンでの閉店が続いていたのだとか。
いわゆる事故物件かなと思って「大島てる」で調べてみても、その物件には炎のマークはなかったそう。
今でもまったく霊感がないというKさんが遭遇した、人生で一度だけの心霊体験。27歳になった今でも、あのときの叫び声をはっきりと思い出せるそうです。
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