#11《登校拒否》変化のない付き添い登校
土日を挟んで、翌月曜日。
先週と同じく付き添い登校。
小雨が降っていて厚めの長袖を着ていても肌寒い。
子どもが多い時間帯は避けたいらしく、みんなより10分遅れて出発。
先週と同じく、子どもが多い通学路は避けて、少し遠回りだけど人の少ない道から行く。
教室前に着くと、開けっ放しの扉の前は小走りで通りすぎ、壁の横でモジモジ身体をくねらせる。
前日に男の子くんと設定した今日の目標は、
《教室に入ること》。
せっかちな私はすぐにそれを口にして、言葉で男の子くんの背中をグイグイ押す。
しかし、ダメみたいだ。
考えてみると、そりゃそうだ。
みんな席に着いて静かに先生の話しを聞いている時に教室に入っていくのは、私だってどちらかと言うと嫌だ。
別の用事で廊下に出てきた先生と会えた。
「ちょうど良かった!今男の子くん向けの教室の話を流してるから、後ろからでいいから聞いてて。」
と、教室の後ろのドアのところに私たち親子をすすめた。
教室の大きなモニターからは今年度から新しく作った教室の説明が流れてる。
勉強の遅れの問題ではなく、不登校ぎみの子どもが気軽に過ごせる教室のようだ。
内容よりもクラスのみんなから見えてしまう位置にいることに緊張している男の子くん。
一生懸命、私の後ろにかくれる。
その後、先生に宿題などの提出物を手渡して帰ることにした。
先週と何も変わっていない。
むしろ、先週の金曜日は運良くクラスの輪に入れたのに、今日は入れなかった。
このまま今日は教室に入れることをイメージしてた私。
毎日前進することを無意識に当たり前だと思ってた私。
でも現実は何も変わらない。
帰り道、
雨のせいなのか、
気温が低いせいなのか。
なんだか私の方がショックを受けていた。
傘で顔が隠れていて良かった。
男の子くんに母親ががっかりしてる顔なんて見せたくないもの。
きっと彼は頑張ってる。
私よりもずっと戦ってる。
数日前の学校に行けただけでもはなまるだった日を思い出し、男の子くんに微笑んで手をさしのばし、手を繋いで帰った。