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何者でもない自分

noteを始めることにした。

60歳を超えて、過去の自分を掘り返し、今の自分に気づき、これからの自分を探すために書く。うつに苦しむ息子と過ごしたこの10年を元リケジョの目線で振り返りながら、同じように家族のうつに悩む人々と並んで歩いて行けたら嬉しい。

40年ほど前、超難関国立大学の理系の学生だった。大学院で研究生活を送っていたが、研究の方はさっぱりで、結婚、夫の留学に同行、病気、出産の流れで、学位も取らず研究から逃げた。

在学中は大学のブランドのお陰で、世間的にはそれなりにちやほやされた。女子となると物珍しさから面白がってくれる人も多かった。しかし、専業主婦には大学のブランドなんて何の役にも立たない。 むしろ邪魔だ。プライドが高くて、気がきつそう、詰め込んだ知識をやたら披露したがる。でも自分は何でも器用にこなす自信があった。他人に疎まれることなんて考えてもみなかった。今思えば付き合いにくいイヤな奴だった。 

やがて息子が非定型うつに罹患した。向き合って10年、ようやく何者でもない自分、学歴や社会的経験・常識を取っ払った自分に出会えたような気がする。 自分の眼でしか見ていなかった自分を、彼の眼を通して見た。私がただの人間であることを彼のうつが教えてくれたのだ。私は楽になった。(そうなるまでの道のりは結構しんどかったけど…)

一方で彼は相変わらず苦しんでいる。彼にも歩んでいる人生の中で幸せを感じてもらえるようになるまでとことん付き合う覚悟である。


写真は生後2ヶ月で我が家に来た頃の愛犬こはる


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