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すっからかん生活

夜半。スタジオの中に入ってひとしきり歌った帰り道。大宮通りを自転車をぬろろろろと漕いでいた。
先日までの春爛漫なありさまから一転、
今日は気温が下がり冷たい風がふいている。すっかり騙された薄着の僕はほぞを噛んでいた。
雨が降ると散々、予報されているのにもかかわらず、家に出るときに雨が降っていないからと雨具を持たずに外出してしまうなんてこともままある。僕はそういった類いの生活力が欠如しているらしい。

薄手の一枚を羽織って微調整したり、カイロを忍ばせて、、なんてことを殆どした試しがない。
(こういった能力も家事と同じように生活力の一部でないかなと思うのです)

京都四条大宮、ここらは呑み屋がそれなりにあって、安い立ち飲み屋や情勢をまるっきり無視して営業を続けた強者のお店など軒を連ねている。一人で入るのもたまにはいいかなあと、呑み屋の誘惑を冷たい風と共にふりきって大宮通りを北へと上る。
この時間帯に油っこいものを食べたらさぞ美味いだろうなあなんてことを考えた。
僕は深夜帯でも平気で酒、油物をやってしまう。体に良くないのは知っているし、年も年なのだから自分の体に気をつかう生活力も身につけなければいけないのかなあとも思う。

呑み屋を過ぎるとあたりが静まり通りには夜気が立ち込める。
少し先の方で何やらうごめいているのに気がついた。犬猫にしては大きすぎる。

近づいてみると20代前半かと思われる男性が倒れていた。
こりゃ大変と、自転車をとめて駆け寄る。
彼はうつ伏せになっていて声をかけても、微かに唸り声をあげるのみで会話はできないようだった。
転んだ拍子にどこか切ったのかアスファルトに血が染み付いている。ウイスキイの空箱を脇に挟んでいるから、酒に酔ってしまったのだろうと思う。そんな彼はTシャツ一枚にジーンズと、僕以上に薄着であった。

そうしているうちに、通りかかった若いカップル(だと思う)がこちらに駆け寄ってきてくれた。
結局、救急車を呼んだほうがいいだろうということになり手配は彼らがやってくれた。
あとは僕たちでやりますからと言ってくれたので、あとからやってきた二人に引き渡たす形となった。
なんだか悪いなと思ったのだけれど3人で待つのも意味がないかと思い、帰路につくことにした。
こういった有事の際の行動力(生活力)も欠けているなあと、彼らを見てひしひしと感じた。





救急車のサイレンが遠く向こうで鳴り響く。








追記
先日の京都恵文社での「うたのまほろば」
ご来場いただいた方(気にしていただていた方)
ありがとうございました。
京都の方ばかりかなと思ったらそうでもなくて、遠方から来られている方もいらっしゃったようで、、、本当に感謝です。
機会あればいろいろな場所に歌いに行く心づもりでいますので。ぜひ遊びにいらしてくださいませ。

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