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はたまた、みつまたおばけ?

部屋に置いてある携帯電話が突如発作的に震え出した。でも心配なんかしない。
その発作は、何処かの誰かが僕を読んでいる合図だということを知っているからだ。

画面を覗くと登録されていない、知りもしない番号からの着信であった。
思い当たる節がなければ大抵知らない番号からの着信には応答しないのだけれど、ぼうっとしていたところだったのであまり考えもせずに、ぬうっと咄嗟に出てしまった。




「はい。もしもし」




「、、、、、、、、」




彼方からかけているにも関わらず名乗りもせず、それどころか何ともものを云わぬ。無礼千万なやつだ。

「あのう、、もしもしい?」


再度問いかけてみるも、またもやあちらからのお返事はなし。

ガサゴソガサゴソ何かが擦れる音とその後ろに足音が聞こえてくる。
此の音から、ポケットの中に携帯電話を入れて歩いているのだということが容易に想像できた。再再度問うてみたけれど反応はなく、相変わらず擦れる音と足音だけが響く。
間違い電話だろうと見当づけて切ることにした。

しかし、一つ気にかかったことがあった。
その足音のリズムが二本足の其れではないのだ。地面をつく音の数が多いような気がする。馬やロバなんかも携帯電話を持つ時代が来てしまったのかしら。パカラッパカラッて。だけれど電話を使うには手が必要だから、馬やロバよりもケンタウロスだという可能性の方が高いがどうだろう。

足音の音色は蹄に近い。しかしハイヒイルを履いた人間の女性ともとれる。だけれど人間の足は3本足4本足はないだろう。音色は合うけれどリズムが合わない。擦れる音がうるさく不快で、足音が明瞭でないのでよく聞き取れず、直ぐに聞く気も失せた。

2本足でもなく、4本足でもなく3本足、、、。


そうだ、杖をついた人間だ。と独り合点して切ることにした。


そうして電話を切った後なぜ僕の番号に繋がったのだろうと考えた。
一度会ったことのある人物(若しくは馬やロバ、ケンタウロス)で連絡交換を果たしているということは考えにくく、一方的にこちらの番号を登録している知人はいないだろう。そして僕は登録した番号を消すことなんて殆どない。
となると、偶然ポケットに忍ばせた携帯電話が発信画面に切り替わり、これまた偶然僕の電話番号を押して発信したということになるだろう。
この世の中に電話番号がいくつ存在しているのか知らないが、とてつもない奇跡なんじゃないかしらん。と思った。
そしてそれが、ロバや馬、ケンタウロス、はたまた、みつまたおばけからであったなら、、、、もっといえば、地球に住み電話番号を持つ異星人からのコンタクトじゃないとも言いきれない。











追記

先日京都五条にあるレコード屋エンゲルスガールでのライブ「まほろばにてうたう」
無事、楽しく歌うことができました。来てくださった方ありがとうございました(これを読んでいるかしら)

また何処かで、ゆるりゆったりとしたイベントやりたいなと考えていますので、ぜひ会いに来てくださいませ。

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