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何度も花が咲いて墓が廃れた
1
「永い宇宙の時間に規則を見出し花たちはその営みをきめた」
先程まで降った雨がやっとやんで、しかし以前どんより曇り空、次いつ雨が降り出すかわからん。
大仙公園には古墳がいくつかあって(というより古墳があったところに公園ができて) クラフト作家の出店が百近く軒を連ねるイベント「灯火の集い」のせいなのか、それは関係ないのか、朽ち果てた墓場はこの上なくうら寂しい。
説明が書きのされた石膏に子供たちが遠慮なく乗っかって遊んでいる。
古墳群をぐるりぬけると、すみっこに「都市緑化センター」が、ひっそりとある。
都市は緑の上にできたもので、都市緑化とはなんとまあ、、、人間くさいことだ。
機械仕掛けの花咲き時計なるものがお出迎え、とっても素敵なデザイン。
お花は咲く時間が決まっているらしく、朝顔は5じ、夕顔は17じ、ツユクサは3じ、オシロイバナは15時という具合で、時計の周りに花の絵があって、時間がくると光るようになっている。
「永い宇宙の時間に規則を見出し花たちはその営みをきめた」
確かに。
「何度も花が咲いて墓が廃れた」という言葉が思い浮かんだ。歌詞にしてみようかしらん。
遠くの方で高山あきさんの歌が花びらが舞うみたいにちらちらと聞こえてきた。
とても綺麗。
高山さんは「3という数字は1と同じ」
とステージ上で言っていた。
2 梅田駅 ポールマッカートニー写真展
ポールマッカートニーが35mカメラでおさめた1000枚にもおよぶ写真から選ばれた展示品たち。
63年〜4年のリバプールからパリ、アメリカのツアーまでの記録で、ビートルズが世界的に売れていく初期段階である。
63年ごろにカップルになったポールとジェーンアッシャー。
写真展のメインジャケットである写真は、アッシャー家でとられたポールセルフポートレイトということがわかった。
「この写真の親密さが大好きだ
僕らは硬いきざなで結ばれたグループだったから僕らだけがこういう写真をとることができた」
とポールが言うように、バディーホリー風な眼鏡をかけたジョンレノン、帽子の重ね被りをしたジョージ、幼い少年のような表情をみせるリンゴ。メンバーはもちろん、ブライアンエプスタインや、ニールアスピノール(ビートルズのローディらしい)、ブライアンサマービル(広報らしい)など、スタッフにいたるまで、見たことのない写真だらけだった。
ポールの父や弟の写真もあった。
61年にジョンとポールがジョン21歳の誕生日を祝う為ヒッチハイクでパリへ行った際のポールの日記が展示されており、(レプリカだったけれど)その時二人はフランスのエルビスプレスリーといわれていたスター、ジョニーアリデイという人のライブを見たらしい。
ビートルズだって最初はただの音楽好きの青年だったのだなあとしみじみ思う。
ぎりぎりに入ったので、全部を見終わらないうちに閉館時間となってしまい泣く泣く後半のアメリカツアーマイアミ編を流してみる羽目になってしまった。
3 立ち呑み屋、毎日
「そりゃ、琴か?」
写真展のあと、簡易そば屋で腹ごしらえしてから入った、立ち飲み屋の暖簾にくぐったなりに、店主からそんな事言われたものだから、面食らってしまって何も言えないでいると、横の常連さんが「琴なわけないでしょ、ギターだよ」と救いの手を差し伸べてくれた。
そこから矢継ぎ早に、お前は大学をでているのか?、単位はとったのか?、勉強ちゃんとしたのか?
音楽やってるやつは馬鹿ばかりだと一杯する前から様々な詰問を受け、説教になる。
こりゃあ、店選びに失敗したかなと思ったが、よくよくしゃべっていると人情味のある温かい人なのだということがわかってきた。口は悪いがたまに、優しい表情になるのだ。
やってきたお客に「なんだこんな遅くに、どっかでお姉ちゃんと遊んできただろう」なんて言う。(まだ全然遅い時間じゃないのに)
仕事終わりに来たんだよと答えるお客に優しい声でそうかそりゃお疲れさんと言う。
「ここは説教居酒屋だよ」
大学教授だという常連はそう笑う。
来る人来る人、大体は常連で、40年通っていると言う人もいるぐらいで、店主の扱い方をわかってるというか、ほんのちょっこし棘のある店主の物言いをうまくいなす。
「姫路の女郎屋がよくてなあ、、」
店主の学生時分、大学の受験中の話である。受験前に遊んでしまい、みんなすべったらしい。
「お前はどうせ、ドレミファソラシドばっかりで勉強しなかったんだろ!」という店主。
途中からやってきた、奥さんとの息のあったボケとツッコミが素晴らしい。
「大阪にリニア新幹線がくるまで大将生きられないね」という常連の言葉に、「骨を網棚に乗せとけばいいわ」と奥さんがぴしゃり。
「上を向いて歩こう」と、「ふるさと」のハーモニカをカウンターでおもむろにふきはじめた店主。
あらま。
音楽は人間の優しい心を写しだすんやと言う彼と、いつものが始まったと笑う常連たち。
なんだ音楽すきなんじゃないか。
「お前、少し飲み過ぎや」
三杯でそんなことを言われてしまった。また来ますといって店を出る。
梯子をかけてすぐそばにある立ち食い寿司屋へ。
ほんのちょっこしだけつまむつもりが、ほいさほいさとたべてしまって、ビイルもおかわりしてしまった。
酔い心地で電車に飛び乗ったのであった。
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次の日のもついでに、ね
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