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なんの威を借る?きつね


職業斡旋業者のテレビコマーシャルを目にした。
ぱきっとしたスーツを身に纏い快活、はつらつとした表情で如何にも爽やかな様相を呈している。昨今、終身雇用という言葉は成りを潜めているらしく一つの職場で一生を終えるよりも転々と旅人のごとく職を流浪する潮流が少なからずあるようで(と周りから聞きたことあるようなないような、、実情は犬ほどまったくわかっていませんが)職業斡旋自体の需要があるのだろうなと思う。
そのTVコマーシャルをぽけえっと見て、はてなと思ってしまった。

パリッとスーツを着こなし快活なその表情の持ち主がなんと芸能人なのである。人の目を惹くことができる彼らだから起用されているのは言うまでもないのだろうけど、ちょっと待った。
彼らはサラリーマンや一般職とは程遠く、むしろ真逆にいるアウトローな人たちではないか。
一般的な職業人とは大きく乖離した感覚を持つ人種だろう。
化粧品や日焼け止めコマーシャルに女優が起用されているのはよくわかる。男前が颯爽とドライブしているのもわかる。
普段、スーツを身に纏うこともなく書類のコピーも、得意先からの電話も取らない、営業にもいかない。そんな彼らがイメージキャラクターであっても何のイメージも湧き上がることなく、もやもやと頭の上に雲がかかってしまう。芸能界への転職を勧めているわけでもあるまい。「転職ならここがよさげですよ、私は知らないけど」と、ある種の無責任さを感じるのだ。「あそこのお店良さそうね。今度行ってみなよ。私は行かないけどね」こう言われて実際に足を運ぶ人がどれほどいるのだろうか。この場合はお人好しか圧倒的な力関係のもとでしか成立しないだろう。
とりあえず人の目を惹くことを最善として、とりあえず視聴者の脳裏に叩き込もうと言う魂胆なのかしらん。

とりあえず人の目を惹くというと、ある某有名カレーチェーン店の店先に、「▲滅の刃最新刊置いてあります」と大きく張り紙が貼られていたことがあった。そんじょそこらのカレー屋ならば店の一押しメニューやお得なランチセット情報なんかを張り紙にしたためてしまうところを、カレーでも何でもなく(もはや料理でもない)堂々と大人気漫画の威を借りていたのには笑ってしまった。確かに自前の料理のみを自薦しなければならぬ道理はないわけで、たとえば「ものすごくふかふかなイスあります」「可愛いグッピーがいます」「店内BGMは全て前衛ジャズとなっております」
「ディズニーチャンネル加入してます」となんでも良いはずなのだ。
おしなべて料理屋の前にはメニュー置かれているがそうじゃないといけない決まりはない。
そう考えると職業斡旋業者のCMに芸能人を起用することもありな気もする。








ほんじゃら僕は何の威を借りようかしら








12月15日大阪SHANDY LANEというところで歌います。今のところこれが今年最後のステージになっております。

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