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本当に、安斎勇樹が高知に降臨してしまった話~冒険と探究のはじまり~
11月11日。
ぼくはいつものように、片道30分の仕事へ行く途中、去年4月から聞き始めた、安斎勇樹さんのVoicyを聞いていました。
よく聞くと、1月末に新刊本が発売され、なんと刊行記念して、「100冊売れるならば、日本中どこでも行きます!」と言っていました。
これを聞き、「おおおお!めっちゃ呼びたいな!!!」というワクワクと、「え、100冊か。。。高知で100冊もいけるかな。。こわいな。。。」
という気持ちが共存していました。
でも、毎日安斎さんの放送を聞いていると、やはり呼びたくなり、100冊もなんとかなるか!と開き直り、熱い思いをFacebookに投稿した。
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すると、なんとなく、「一緒にやるなら、この人たちかな」と想像していたメンバーが食いついてくれたし、予想外の方もどんどんお声掛けいただき、あっという間に実行委員メッセージグループをつくり、やりとりをするようになりました。そこからの遊び心満点に、ワクワクベースに、どんどん話が進み、気づけば、「こうち冒険がっかい」というコミュニティを立ちあげることになりました。そのプロセスは、メンバーのふじぽんが、noteにまとめてくれていますので、ぜひ読んでみてください!
イベントは、公開した12月1日ごろから、大きな反響を受けて、なんと3週間ほどで、チケットは完売してしまいました。イベント前には、愛媛の先生が、『こうち冒険がっかいを応援する会』まで立ち上げていただき、このイベントに愛媛勢をたくさん巻き込んでくれたり、京都で行われるイベントの主催者の方も高知に駆けつけてくださるなど、驚異的な影響がでていました。
イベントまでの時間も、『冒険前夜』ということで、プレイベントを2回実施して、安斎さんのVoicyも聞きながら、参加者の方と『探究』について対話したり、ネットワーキングしたりしながらワクワクしながら当日を迎えました。
イベント当日は、今回の安斎さんの著書『冒険する組織のつくりかた』の『冒険』にちなんだ工夫として、
・参加者はみんな『冒険家』。専用名刺を発行し、冒険家として参加する
・安斎さんの嫌いな質疑応答(厳密には、一般的な質疑応答が醸すシーンとしたいや空気感の場になっている質疑応答)も、宝箱から質疑応答をえらんでもらう
・安斎さんは、『伝説の冒険家』として降臨する。しかもチケットが完売しないと、これない!設定
・安斎さんも影響を受けた伝説のワークショッパー上田信行さんのワークショップからエッセンスを入れたネットワーキングタイムを入れる 等々
冒険や探究をコンセプトに『遊び心』と『ワクワク』を抱え、準備にひた走る運営メンバーたちなのでした。
そもそも、安斎さんと私。
2015年7月13日から、僕は、『難波ファシリテーション事務所』と名乗り、大学4年生ながら、ワークショップデザイン、ファシリテーションを独学で始め、自主企画イベントをしたりしながら、対話の場のデザインやファシリテーション、会議の進行、研修のデザイン、等の仕事をいただきながら『ファシリテーター』として活動を始めていた。ここにもたくさんの理由や背景がありますが、今回は割愛。
そんなとき、活動し勉強する中で、『ワークショップデザイン論』という本と出会っていた。その本を書いていた1人であったのが、今回お呼びした安斎勇樹さんでした。
その時の印象は、『自分が暗黙的にしていることを科学的にとらえていてわかりやすく、教科書的存在だな』という印象で、時折読み返す1冊となっていました。
その後、Facebookやワークショップやファシリテーション関係の記事やポストの中で、安斎勇樹さんが運営していた当時の会社『ミミクリデザイン』のプレスリリースなどを見ながら、『おもしろいことしている会社が東京にあるんだな』という感じですこし距離遠い存在として映っていました。
かくいう私は、ファシリテーションやワークショップデザインをしつつ、大学4年生時は、卒業論文に追われていて、そのころテーマにしていたのは『組織開発』でした。中村和彦先生や、エドガー・シャインの本、アージリスなど、組織心理学や組織開発・組織変革とは?など、限られた場での話から、組織内の関係や組織とコンサルタントの関係、人と人の関係性にフォーカスした論文を書くということに追われていた。それはめちゃくちゃ楽しかったし、論を組み立てていくことに面白さを持っていた。
それから、月日がたち、正直、まったく安斎勇樹さんのことについて触れる機会もなく、実は、ベストセラーになっていた『問いのデザイン』も、Amazonのほしいものリストに入ったままでした。
そんなある日2024年4月。何かのタイミングで、安斎勇樹さんのVoicyがスタートしたことをFacebookで知り、おもむろに聞き始めることにした。
すると、めちゃくちゃ共感することだらけで、気づくと毎日聞くようになり、今では、大切なルーティンとなった。
軍事的世界観から、冒険的世界観へ。
この言葉にとてもピンときた。
学校や組織にはびこる軍事的な世界観。ここにずっと自分も違和感をいだきつづけ、ワークショップやファシリテーション、組織開発、探究学習、プロジェクト学習、ジョンデューイのこと、等を学び、実践してきていたし、学校づくりのプロセスでも、この新しい人間中心・こども中心の学習観にたち、人は学び自ら成長する力があることを信じてきていたことがバチっとはまった感覚がありました。
また、ワークショップのみならず、それを組織全体にそのエッセンスを取り入れようとしていることや
キャリアデザインや、探究についても探究し、1テーマ1コンテンツではなく、根底にあるテーマを持ちながらも、多様な切り口で表現している、アウトプットしているところもすごく関心がかさなり、とても共感をもって安斎勇樹さんのVoicyを聞くようになっていました。
だからこそ、私の信じる世界観を体現し、表現しまくっている安斎勇樹さんを高知に呼びたい!と強く思うようになり、勇気をもって高知に呼ぶことを決意しました。
そして、迎えた冒険のはじまりの日。ついに安斎勇樹が高知に降臨した。
当日の流れは、以下のように進みました。
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オープニングは、気持ちよくこれまでの経緯をお伝えした。安斎さんに褒められてうれしかった。笑
その後は安斎さんの講演。
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打ち合わせの段階で、「純度100%の冒険する組織のつくりかたの話よりも、より参加者のニーズや様子に沿った内容にしよう」ということになり、
①最低限の新刊解説
②安斎勇樹の探究遍歴
③いま考える冒険/探究論
の3本立てでお話しいただき、高知イベントオリジナルコンテンツでの講演の時間となった。シンプルにめちゃくちゃ学びと笑いと、安斎さんの人柄やなぜ、いま冒険する組織の話にいきついたのか、ライフストーリーから語られる話に、ずっと聞いていられる素晴らしい時間だった。たくさん書きたいことはあるけれど、特に一番学びがあったことは後で記述
その後、公開1on1の時間。
今回プレミアムチケット的な扱いで、20,000円チケット3名は、安斎さんと30分1on1ができるチケットを獲得し、イベントのその場で相談に乗ってもらえる贅沢な時間を過ごすことができた。
自分も、3人目としてその時間をいただき、今まであまり誰にも相談してこなかったことについて話した。どんな気づきがあったかは後述。
最後の30分は、あえてしてみる「冒険的質疑応答」。
ドラクエの世界観に見立てた宝箱に、休憩時間に参加者の方が、問いカプセルを入れ込み、宝箱からランダムに安斎さんが引いたカプセルの質問にスパスパ答えていただく、楽しく効率的な時間。
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第一部はここで、終了。
その後、第二部は大交流会。
メンバーのふじぽんの企画で、ひたすら参加者同士でショートな時間でペアで自己紹介しあいまくる時間を設定。リフレクションも風船にキーワードを書いて、その風船を振り回しながら、ペアを探し、また対話する時間。はっきり言って、新興宗教(!?)みたいな絵で、楽しかった。笑
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どんな学びがあったのか。
講演パートと、公開1on1、質疑応答、そして全体を通しての学びをつらつらと書いてみる。
①蛍光灯の外側にでる。=「解は常に外部にある」
安斎さんのお父さんは変わったアーティスト。少年時代の安斎さんへの問い。
「蛍光灯の中に入り込んだ虫は、馬鹿だと思うか」(だったかな。笑)というような質問をされたという。
虫からすると、光を求めて入った先が蛍光灯で、入ってしまったからにはもうでられなくなってしまっている。その状態を人間は外側から観察している。
虫だけの視点でいえば、幸せかもしれない。
一方、外側の世界にいる人間からすると、そうは思わない。かもしれない。
つまり、何かの「枠組み」に入り込んでしまうことで、見落としてしまうこと。認識が固定化されたり、思考や考えが偏ってしまうかもしれないという意図がみえてくる。
人間の生活でもそういった場面はたぶんにあるように思う。
A=Bである、という個人の固まった認識の前提にゆさぶりをかけていき、別の可能性を探索することで、新たなブレイクスルーや視点、視座がでるかもしれない。
特に、学校という場所は認識が固定化されやすくなる。私立なんて人の流動性もすくないので、余計だ。
自分もこりかたまったA=Bという自分にとって当たり前として認識しているものから別の視点や可能性を探索することを意識していきたい。
②脱規範性
愛媛から猛烈な熱量で参加してくれた、安斎さんの大ファンの池田さんの公開1on1でのこと。公立中学校をどう変えていくかという話の中で、「脱規範性」というワードが出た。
学校には、規範が多い。しかも暗黙的な規範性も多くあり、ヒドゥン・カリキュラムともいうべきことが多い。
前向きに規則正しく並べられたつくえ・いす。
人間が動きにくくなっているつくえ・いす
先生と生徒という関係
授業という固定観念
時間割 等
●●は△△である。ということにあふれているし、規範があることで、大人が効率よく管理できるようにできていること、そしてそれが当たり前のものとして認識されているし、自分の被教育経験から、新しい取り組みをしようとしても、これまでの慣れ親しんだやり方に逆行していくことがある。楽だから。そんなことを自分も勤務校でそんな揺り戻しも感じつついたので、
規範を脱いで、はがしていく。問い直す。疑う。ことを改めて大事にしたい。
③過剰適応・不適応
私のアイデンティティの話の中で、自己には、多様な一面が多数存在すること、それは、多様な共同体(職場、コミュニティ、地域、家族などなど)に参加しているからであることが話された。
その中で、「私」と「共同体」との関係についてとてもしっくりする言葉を得た。
「私」の「共同体」への参加動機が、「共同体」のもつ、価値とマッチすると、「自己実現」が進む。しかし、それは永続的に進まない。
それは、環境も、私も変化し続けるからである。
だからこそ、私は共同体への参加動機や期待、そして共同体のもつ期待や支援との関係をつねに、見直し、自分の動機を確認しながら変化しつづける(=探究)ことが大切であるとわかった。
このバランスが非常に難しく、自分は、ここ最近、職場という第二共同体への過剰適応だったんだなととても気づき、「しんどさ」の原因がわかった気がした。
ここ数か月、仕事の主語は「学校のために~」みたいなベクトルで動くことも多く、自分を消して専心しているところが、職場の期待を勝手に受け取りすぎて、自分の参加動機をないがしろにしている部分も多くあったとふりかえり、すこし安心した。気持ちに言葉をつけてもらえた。
だからこそ、メイン共同体の職場(=学校)での”A面”の探究と、自分の自己の参加動機やワクワクに根差した”B面”の探究を持っていくことがやはり大切。
仕事以外で趣味もっている人がなんか楽しそうにやれている感じとかは結構いい働き方なんだなと思う。
④35歳までに専門性を磨き、「代表作」をつくること。そして次のステージに突入していくこと。
自分の公開1on1のターンでは、自分の今後のキャリアについてガチ相談させてもらった。以下は今の僕の関心キーワードマップ。
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端的にいうと、相談内容は
・新しいキャリア(ソーシャル系)を模索したいし、そっちのことをやってみたい気持ちも大いにあるが、一方で、現在のキャリア(現在の学校)でもまだまだ宿題はあるし、関心あることもある。ただ、現在のキャリアでもすこし探究テーマを見失いかけている。
・より社会全体へ学校一つというフィールドを超えていきたい。私学の葛藤
・自分のキャリアデザインと、周囲のキャリア観の中で年齢を重ねていくことで、ポジションの固定化や自由なキャリア形成がしにくくなるのではないか。
安斎さんの回答は、
今、この段階で、新しい領域にいくより、今の場所で、代表作(授業、コンサルティング例、事例、実践、本、こと 等)をつくり、満を持して、新しい領域へチャレンジしていくほうがいいのではないか。、ということでした。
安斎さん自身も、35歳を一つのベンチマークとしていたようでした。
この指摘はすごく納得でしたので、僕も35歳まで(いま、31歳)に代表作を!と思っています。
個人的には、代表作は、やはり新卒から立ち上げからかかわっている今の学校ですし、それを本にまとめていきたいという思いもずっとあるので、この際挑戦しようと思います。
また、このマップをみながら、難波さんにとっての専門性は?どんな時に、気持ちいいと感じる?どんなことが難波さんの芸風ですか?と聞かれて、
たしか、「納得を生み出すこと。お互いの見えないものを見える、わかるようにしていくこと。)
だとか、場の雰囲気を感じ取り、ブレーキやアクセルをふみわける的な話をしました。このあたりも言語化できてよかった。
そして、これには、続きがありまして。
実は、イベント終了後に、個別に安斎さんにメッセージ送ったところ、
実に丁寧に、1on1で話しきれなかったこともお伝えいただきました。(忙しい中、なんていい人なんだ!)
一部抜粋。
ファシリテーションの背後にある難波さんらしいコンセプトを探り当てると、それがこれから手がける代表作(学校や著作)のコアになりそうと思いました。仮にそれが「公正」という概念だとするなら、「公正とは何か?」「公正をデザインするとは?」「良い公正と悪い公正とは?」などと哲学/科学していって、それを専門性に仕立てていく(そのキーワードで、市場の認知をとっていく)ような。
おおおおおお!なるほど。ということで、探究コンセプトも検討しました。
そして、やはり、「公正」というキーワードが僕のコンセプトになりそうです。ここについてはまた深めていきます。
⑤「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ。そして、その機会に他者の変化も促す」を体現する
僕の人生はまさにこれにつきるなと改めて思う。
自ら、安斎さんを呼ぶ機会をつくりだし、仲間をあつめ、コミュニティをつくり、自ら司会をし、自ら、公開1on1を行い、自分の学びを得て、さらに、そこに参加した人の学びや変化を促す触媒となること。
思えば、難波ファシリテーション事務所をつくったことも、自ら機会をつくりだして、自ら変化した。
学校を立ち上げたときも、雇用してもらうという機会はもちろん他者軸だけど、そこからのプロセスはまさに開拓し、自ら機会を作り出し、その機会で成長変化してきた。
こうち冒険がっかいの誕生、安斎さんの出版記念イベントはまさに、
「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ。そして、その機会に他者の変化も促す」
という僕の生き方そのものだと感じた。
今後と感想
改めて、シンプルに安斎さんの大ファンとなってしまった。プレミアムリスナーにもなった。完全に「推し」となった。笑
今後の個人的な探究、方向やベンチマークも見えてきた。
こうち冒険がっかいもますますおもしろい冒険型コミュニティへとしていきたい。
冒険する学校のつくりかたを探究していきたい。
本当に開催してよかった。参加してくれた皆さんありがとうございます。
そして安斎さん、改めてありがとうございました!!!
こうち冒険がっかいへの入会はこちら!
安斎さんがふりかえり・質疑応答の続きをVoicyで話してくれています!
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冒険はつづく。