026\\\『壁 ト レ』という練習(その1)
多くのスポーツトレーニングの中には、たったひとりでも練習が出来るようなやり方があります。テニスでは壁打ち。野球ならバッティングセンターの機械。ゴルフでは網に向かって打つ。ボクシングや空手ではサンドバッグ。中国拳法では木人など。と、いろいろなスタイルでひとり練習をおこなっているようです。
やはり「何か」があれば、自分のおこなった動きやチカラの状態がすぐその場で感じたり確かめられて、いいですよね。
仏教などでも、ひとり修行用のあれこれが揃っています。仏壇や曼荼羅。お経のテープや線香の香りやろうそくの火。などがありますね。神社に行けばお社やお賽銭や鳥居などがあります。このように、いろいろと「向かい合う対象」があるわけです。
スポーツ関係とと神社や仏教などを一括りにしてはいけませんが、人はやはり「何かと向かい合う」というスタイルが大切なのです。
呼吸法でも、ひとり練習用の方法があるのです。
それは『壁トレ』というものです(これはぼくが考えたやり方ですが)。
壁に向かって、立ちます。壁と身体の距離は、リラックスして壁に軽く手のひらを柔らかく触れられるくらいです。
全身を壁にぐんにゃりと寄りかからせたり、壁に向かってチカラで押し込むようなことはしてはいけません。やさしく、ハンガーに掛かっている服にでも触れるような感じで、本当にそっと触れる程度で、手のひらで触れます。
そのまま呼吸をしてみましょう。全身ででもてのひらででも、足の裏からでも、自由な呼吸でよろしいと思います。
そのまましばらく呼吸をしていますと、自分の呼吸が、壁の中に伝わってゆくような感じを覚えます。自然に、吐いたり吸ったりしていると、自分と壁との間に「呼吸」が感じて来るものです。
決して、強く当てたり、筋力のチカラで壁を押したりしないように。静かに静かに、座禅でもしているかのように、静かに、ですよ。
自分から広がった呼吸のエネルギーが相手の人に伝わることが必要なことは多くの場面であります。エネルギーヒーリングの場面がまずそうです。気のエネルギー系の武術などもそうだと思います。
気のエネルギー系の武術は、決して強い筋肉で相手にブチ当てるということはないのです。相手に軽く触れた状態から、ノーモーションでそこから一体になって、エネルギーがふわっと相手に通る感じです。
自分から出るエネルギーが相手に伝わる感覚を「自分で確かめる練習」として、『壁トレ』はとても良い方法だと思います。
眼の焦点も、壁の表面ばかりではなく、壁の奥や、壁の向こう側などと、自由に焦点を動かすことで、壁が「柔らかい壁」に変わってゆきます。壁がイキモノのように思えるようになると、とても楽しいものです。
大切なことは、自分と壁が対立した状態で向かい合ってしまわないように。この壁をなんとかして破壊しようなどとは思わないように。この壁と一体になろうとする気持ちで向かい合ってゆきましょう。
こちらの気持ち次第で、壁が、通じ合えるパートナーにも変わってくれますよ。
この『壁トレ』には、たくさんの応用練習がありますが、まずはこのくらいの練習から始めてゆきます。
★呼 吸 法 ワ ン ダ ー ラ ン ド///★