見出し画像

「れんげ荘」 群ようこ を読んだ。うだうだと書きたくて。

群ようこさんの「れんげ荘」を読んだ。

いつものごとく、図書館で借りた。

4分の1ほど読んだところで、ようやく以前読んだことがあったことに気づく。

いつもそう。

作家の方には申し訳ないが、私は、本の題名はまず覚えられない。        (フランダースの犬 とか、人間失格とか、わかりやすかったり、強烈だったりするものは、覚えているのだが・・・。)           

中身も覚えていられない。

覚えているのは、読んだ時の自分の気持ちのみ。


なので、今回も、読んでいくうちに、

あれ?この気持ち、前にも味わったことがあるなあ。

となり、ようやく、読んだことがある作品だとわかったのである。

まっ、よくあることなので、今回も、またかと思いつつ読み進める。


そうそう。

こんなお話やったわ。

主人公のキョウコの思い切った決断に感心しながら、私もそんな思いになることあるわと共感したりして。

わかるわかる。

でも、やっぱりひとごとで、これは物語に過ぎず、結局は、自分には無理やなあ。

たしか、前回も、キョウコに対して、そんなほほえましい気持ちで読んでいた。

わたしには、キョウコのような大胆なことはできない。カビや蚊や共同トイレや共同風呂、畳の上に立てないほどの寒さや部屋に吹き込む雪。そんな、日常的にかなりの不安を抱えることに、無理しか感じられない。


そういえば、前回、「れんげ荘」を読んだときは、キョウコの年齢に近かった。

今回は、キョウコの年齢を余裕で抜かしてしまい、いつのまにか、お隣のクマガイさんの年齢に近づいていた。

そのせいか、キョウコのことを、少しはなれて眺められる。

その反面、退職をした今の私としては、キョウコの置かれている状況を、自分に引き寄せて、考えやすくもなっている。

れんげ荘の自分の部屋から見る庭の景色。何するともなく、見る。季節ごとの変化や、そこに訪れる生き物を、見る。

あれ?私にも、なんだかその景色が見えるような気がする。

クマガイさんと食べるゴマ大福。

どこから齧ろうかと、真剣に考えている私がいる。すぐになくなると寂しいので、一口は小さめにしようなんて、思っている。

母の数々の手厳しい言葉。

ため息をつきつつも、それもしょうがないかと思えてしまう。全然タイプは違うのに、離れて暮らしている、実家の母の顔が浮かぶのだ。


私の年齢と状況とが、前回よりもイメージを膨らませてくれるのか、キョウコの心の動きが、とてもすんなりと入ってくる。

そして、今回の読後に、何より楽しかったのが、その後のキョウコについて、どんどん想像できてしまうことだった。

群ようこさんが、この続編を書かれているのかどうかは知らないが(できれば、書いておられませんように。私の、妄想、いえ、想像する楽しみを奪わないでくださいませ。とはいえ、もし書かれていたとしたら、群さんすみません。)、きっとキョウコは再び、仕事につくのだと思う。

それも、自分のやりたいことを仕事にするとか、自分で起業してマイペースな働き方をするとかではなく、前職と同じように、どこかの組織に属しながら、その矛盾や不条理に嫌気を感じつつ、時間に追われる生活を送るのだろう。

でも、日々の忙しさに追われながらも、納得のいかないことに囲まれながらも、そんな自分を見つめる目はなくさないんだろうなあ。

客観的に自分をとらえて、「何やってんだか・・・。」と言えるような生活。

時間には追われるけれど、人生には追われない。

そんな日々を送るのではないだろうか。(勝手な妄想です。)


生まれ変わろうとして、れんげ荘にやってきたキョウコは、生まれ変わったのではなく、どんどんよけいなものをはいでいって、自分にたどり着いたんじゃないのかなあ。

うんざりしながらも母との関わりをやめず、優しい兄の家族を大切にし、美味しいものやおしゃれなものを楽しむ。

もともと、キョウコは、そんなすてきな人だったわけで。

そして、そのキョウコや優しい兄を育てたのは、口うるさい見栄っ張りの母なんだなあ。


と、ここまで書いて、投稿前に念のためと思い、「れんげ荘」で検索をかけてみた。

あちゃちゃちゃ~。こんなにシリーズが続いているのか・・・。

しかも、ちらっと解説をみたところ、私の妄想はどこへやら・・・・。

かなりの人気シリーズのようだ。

本屋さんならば、きっと、シリーズで並んでいるんだろうけど、図書館には、これ一冊しかなかったのだ。(と、言い訳。)

うわあ~。群さん、本当にすみません。

でも、私の妄想は、もうひっこめるタイミングを失ってしまったので、シリーズを読み進める前に、あえて、投稿しちゃいます。

本当に、すみません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?