モーニングと朝市とベニシアさん
夫の仕事のお手伝いで、朝早くから笹を切りに行く。
何が悲しくて、梅雨の大切な晴れ間を、そんなことに使わなくてはならんのか?
悲しすぎるので、一仕事の前に、こじゃれた喫茶店でモーニングを食べてから出かけることになった。
そこは、10種類以上のトースターの中から、好きな機種を選んで、自分でトーストすることができるのだ。
ちょっと面倒くさいけど、せっかくだからと、バルミューダのトースターを選び、えっちらおっちら座席まで運んでいく。
しかし、二人掛けのテーブルには、モーニングのお皿が乗ると、トースターが置けない。
コンセントは、しっかり各テーブルについているけど、トースターが置けない。
しかたがないので、隣のテーブルに(もちろん客人はいない)トースターを設置し、食パンを運んで焼き始める。
さすがバルミューダ。
あっという間に焼きあがる。
いい焼き色だ。
香ばしさに鼻がひくひくする。
そして熱々。
とっても熱々。
それを、あっちっちっちと言いながら、自分のテーブルに運ぶ。
まあまあ手間がかかる。
サービスなのか、いやがらせなのか、よくわからないトースター制度。
でも、美味しかったのでよしとする。
珈琲の濃さも選べる。
何本もの笹を切り出し、かつぐためにも、一番濃い珈琲を注文する。
美味しい。
笹でも何でも切り出すよ~~。
そして、エネルギーチャージをした私たちは、いよいよ現場へと向かう。
もちろん、事前に許可をいただいている場所であるが、よき笹を見極めるのに、あーだこーだタイムが長い。
飽きてきて、すぐそばのグランドで練習をしているラグビー部に見とれる。
すぐに呼び戻されて、再びあーだこーだタイムを経て、ようやく切り出しとなる。
切り出しの時間はたいしてかからないが、車への積み込みが大変だった。
座席を倒し、シートをビニールで覆う。
すみずみまで、ビニールで覆うのは、なかなか時間を要する。
そして、その作業中ずっと蚊に襲われ続けなくてはならない。
それも、やぶ蚊と呼ばれる立派なやつたち。
被害を最小限にするために、必死で働く。
これが、いちばん疲れたかも。
それでも、モーニング効果もあって、作業をつつがなく終えることができ、笹を夫の職場まで運びこむ。
がんばったかいがあり、朝の9時半には、今日の仕事を終えることができた。
働きものの自分たちを褒め合いながら、気をよくした私たちは、ちょっと遠回りをして、山道を楽しみながら帰宅することにした。
途中、大原の朝市に立ち寄る。
ずっと行きたかった大原の朝市。
やっと願いがかなった。
もうほとんどのものが売れてしまっていたけど、野菜だけでなく、ジビエ肉など、楽しいものがいろいろ。
夏野菜といえば、トマトにとうもろこしにじゃがいも。
じゃがいもは、やっぱりきたあかり。
とうもろこしは、もちろん朝採り。
となると、今夜はとうもろこしご飯しかない。
採れたてのとうもろこしを使うと、100倍は美味しくなる。
いや、1000倍かもしれない。
もう。
朝から楽しみでしかたない。
夕方、とうもろこしご飯の準備をしようとして、何気にテレビをつけると、
ベニシアさん死去のニュースが。
大原の朝市に行きたいと思ったのは、ベニシアさんのおかげ。
大原を好きになったのも、ベニシアさんのおかげ。
ハーブに関心をもったのも、ベニシアさんのおかげ。
大原の美味しい食べ物や、美味しいケーキ屋さんを知ったのも、ベニシアさんのおかげ。
初めて大原の朝市に行った日に、こんな悲しいお知らせがはいるなんて。
今晩のとうもろこしご飯は、いつも以上に大事に味わっていただいた。
大原のとうもろこし。
とっても美味しかった。
ベニシアさん。
とっても美味しかったです。
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