朝市で花を買って 墓参り
「途中」というおもしろい名前の峠?を通って、京都入りをし、
大原の朝市に向かったお彼岸の日。
あいにくのお天気だったので、お店もお客も少なめ。
かえってそれが幸いして、ゆっくりと品を見ることができ、お店の人とのおしゃべりも楽しむことができた。
今回の朝市の目的は、お花である。
朝市でお花を売っていることを知り、初挑戦してみることに。
大切な人々のお墓参りのための、お花を用意する。
信仰心のまったくない私は、実の父親のお墓にはめったに足を向けないが、
この人たちのお墓には、毎年かかさず訪れている。
(お父さん、ごめん。だって、お父さんのことは、わたしのこの顔があるかぎり、絶対に毎日思い出すんやもん。)
電車の中で、わたしを笑い地獄におとしいれたあげく、他の乗客から白い目で見られているわたしを置いて、先に下車した友達。
いまだに、お墓の前に行くと、そのことを思い出す。しんみりなんてしない。
マクドナルドのハンバーガーを食べたことがなかったのに、わたしが行こうって誘ったもんやから、お母さんにお願いをして、こっそりと食べに行く練習をしていた、くりくりおめめの男の子。
彼は、なんと、2回も練習に行っていたらしい。
1回目は、おそれをしらぬもんやから、いきなりビッグマックにトライし、小さな体ではとても食べきれず、撃沈。
2回目には、しっかりと学習したようで、ふつうのハンバーガーを選び、ミッションクリアとなったそうな。
ただ、一緒に行く約束を果たせなかったのが、めちゃくちゃ悔しい。
いつもは、ザ・お花屋さんで花束を用意するんだけど、今回はちょっと趣向を変えてみようと、朝市の花屋さんに挑戦してみた。
お花の種類も、数も、もちろん、ザ・お花屋さんにはかなわないけど、なんだか、楽しそうに花束を作っていたり、今年の夏の暑さをしんそこ嘆いていたり、さりげなく秋の花を自慢してみたり、そんな店主の様子に、お花がやたらと近く感じられる。
お値段もお安い。
そして、注文に応じての微調整も、お値段控えめなものをすすめてくれる。
チョコレートコスモスやシュウメイギクなど、お店の人の自慢にのっかって、秋のものを選ぶのも楽しい。
届けたい相手のイメージを伝えやすいのも、こういう場所でのだいご味やね。
お花を選んでからは、「平飼いたまごのたまごかけご飯定食」を食べる。
小鉢の煮物に、山椒がきいていて、ほどよいアクセント。
ご飯の量も、人によって変えてくれている。
夫には、何も言っていないのに大盛。
わたしには、普通盛。
お味噌汁の味噌の香りが、鼻の穴から体中にしみわたる。
心もお腹も満たされて、いざ大切な人々の元へ。
くりくりおめめの彼のところでは、萩の花が満開やった。
笑い地獄の恨みがある彼女のところでは、隣のお墓の彼女のお母さんの名前が、黒い文字に変わっていた。
そして、わたしは、こうしてお参りすることができている。
彼らのことを、思い出すことができている。
そんなことを思う時間をわたしにくれて、ありがとね。