lululemon(LULU) 25%下落、買いどき??
カナダのlululemon athleticについて解説します。
直近のQ2決算では、新型コロナウイルスの状況下にも関わらず、前年同期比で売上高増を確保。売上高、EPSともにアナリスト予想を上回ってます。また、ホームフィットネスのスタートアップ企業 ミラーの買収を発表しており、ルルレモン製品とのシナジーが期待されます。一方で、株価は9月初旬のピークから25%下落。買いどきなのか考察します。
1.会社概要
・株価:294.76ドル(9月18日終値)
・時価総額:384億ドル(9月18日時点、4兆320億円)
・機関投資家保有率:85.99%
・年初来株価上昇率:+27.23%
lululemon athletica(以下ルルレモン)は、1998年にカナダ・バンクーバーで設立。
設立当時は、昼はデザインスタジオ、夜はヨガスタジオを運営。
2000年11月、カナダ/バンクーバーのおしゃれエリアであるキツラノ(Kitsilano)に独立店舗をオープン。
ビジョンは、アスリート向けにアパレルを提供するのみならず、健康的な生活、マインドフルネスを手に入れるために必要な身体について学び、語りあうことができるコミュニティを作ることである。
設立当時は、女性向けのヨガウエアが中心だったが、ランニング、サイクリング、トレーニングなどを追求する女性、男性向け商品を現在展開している。
日本では六本木に旗艦店をオープン。
アジア最大規模で、2階にはスタジオスペースがある。
商品はヨガやランニングなどスポーツ向けから、仕事着、普段着などのフルラインナップを揃えており、メンズも充実。
2階に設けたスペース『The Sweatlife HUB』はイベントやワークショップの活動拠点として使用されており、
ヨガや瞑想をしたり、環境問題について語り合う場となっている。
ランニングやヨガ教室を通じて、ユーザーに製品のよさを知ってもらうのが基本だが、コロナの影響もあり、体と心のケアをする多目的な用途で使用中。
大事にしている3つの軸は、『スエット』(体を動かす)、『コネクト』(つながる)、『グロー』(マインドフルネスなどで共に育つ)という概念。
ヨガ講師、アスリートなど世界で2,000人ほどいるブランドアンバサダーと協力している。
商品の特徴は、デザイン性、機能性に優れていることで、ナイキ、アディダスなどの競合メーカーを圧倒する利益率の高さが強み。
↓同社ウエブサイト上の女性向け商品リスト。デザインがよく、高機能が特徴。
↓アパレルのみならずバックなどのアクセサリー類も充実。
2.ホームフィットネスのMIRROR(以下ミラー)を買収
ルルレモンは6月29日、ホームフィットネスのスタートアップ企業 ミラーを5億ドル(約525億円)で買収することを発表。
ミラー概要は以下。
・2018年創業のスタートアップ企業
・等身大の鏡型のデバイス(スマートミラー)と、ライブやオンデマンドでの フィットネス講座を提供
・デバイスとしての鏡をネットに接続、メニューからフィットネスのプログラムを選択し、画面に登場するインストラクターと一緒に体を動かす。
・録画されているプログラム、ライブセッションがある
・鏡の価格は約15万円、サブスクリプション(定額利用料)は1カ月あたり4,000円程度。
新型コロナウイルス発生後、スポーツジムは休業を余儀なくされ、ゴールドジム(GOLD'S GYM)、24Hフィットネスなど立て続けに破綻。
徐々に再開しているが、人数制限やマスク着用などがあり不便。
ホームフィットネスの便利さを体験したユーザーは、スポーツジム再開後もホームフィットネスを続け、スポーツジムに戻らない可能性がある。
アメリカのスポーツジムを、施設とサービスの質の差で、上、中、下に大まかに分け、年額で比較すると、お得な安いもので120ドル程度(約12,600円)、中程度のもので450ドル(約47,200円)、高級クラスで2,000ドル程度(約210,000円)のイメージ。
高級クラスのジムに通っている層であればミラーの方が安く、中程度の層ならば数年使えばミラーがお得になるという計算。
ミラーが狙うのは中~高所得層ということになり、ルルレモンの市場と合致し、シナジー効果が期待される。
調査レポートによると、ミラーの推定会員数は6~7万人で、2023年までには10倍の60万人になると予測されている。
サブスクだけで2億8,000万ドル(約294億円)の売上となり、デバイスと合わせると年商7億ドル(約735億円)というのがアナリストの予測値である。
同様のコンセプトで先行しているのがペロトン(PELOTON)である。
ペロトンは自転車2,245ドル(約235,700円、この価格から値引あり)、サブスクリプションが1カ月39ドル(約4,100円)。
ルルレモンはシカゴとニューヨークに、衣料品を売るフロアとフィットネススペースを併設した実験店舗をオープンさせている。
新型コロナウイルスにより伸び始めているホームフィットネス市場の取り込み、及びルルレモン製品との相乗効果を期待し、今回の買収に踏み切っている。
このアパレル専門店によるDX(デジタルトランスフォーメーション)への取組みがうまく行くか注目される。
さて、この分野でのスポーツアパレル競合他社の動きはどうか。
世界的スポーツブランド「ナイキ」は、室内でもアクティブに運動ができるコンテンツを多数オンラインで配信している。
NTC(ナイキ トレーニングクラブ)、NRC(ナイキ ランクラブ)などのナイキのアプリ、インスタグラムなどSNS、公式サイトや各種音楽サービスから配信されるポッドキャストを含むナイキのコンテンツから、ワークアウトやトレーニングに関わる専門アドバイスが多数配信されている。全て無料で視聴可能。
ライブストリーミングでのワークアウトも実施中。
自宅でできるフィットネスアプリを検索すると、ナイキ、ペロトンの他、Aptiv、Daily Burn、My Fitness Pal (Under Armour)など複数あり。
競合他社の状況を見ると、順調とは言えないものもあり、ルルレモンの思惑通りミラーが成功するのか、注視が必要。
3.決算分析
前回第1四半期の決算は、前年同期比で売上高16.7%減、営業利益74.6%減と減収減益であったが、赤字に陥るアパレル企業がほとんどの中で黒字を維持。
EC売上高は68%増で、他社と比較しても非常に高い伸びを記録し、ブランドの強さを示した。
2020年度第2四半期(2020年8月期)の業績に関しては、期末までに506店舗が再開し、好調な四半期となった。
新型コロナウイルスのパンデミックによるロックダウンが継続した地域があったにも関わらず、売上高は3%増加。
店舗での売上高は前年同期比51%減。
一方、EC売上高は、2019年対比155%増加し、売上全体では増加を確保。
ECは、当四半期の純売上高全体の61.4%を占めた。
当四半期の営業利益率は13.8%で、昨年同期の19%よりも低く、ルルレモンの長期平均20.1%を下回った。
・EPS(GAAP):0.66ドル、予想対比+0.11ドル。
・売上高:9億294万ドル、予想対比+5,556万ドル。
・店舗売上高:2億8,720万ドル、前年同期比−51%。
・EC売上高(直接消費者向け):5億5,430万ドル、前年同期比+155%
・当四半期末時点の現金・現金同等物:5億2,300万ドル
売上高が増加したことには驚き。
オンライン販売が、全体の売上高の61.4%を占めるまでに成長。
ルルレモンはECへの投資を加速させており、サイトの強化、トランザクションのオムニ機能の構築、フルフィルメント機能の強化などが含まれる。
4.株価推移
株価は9月初旬まで好調であったが、その後調整局面に入り、9月初旬のピークから9月18日時点で約25%下落している。
一方、割安かというと、PERは未だ71.48倍で高い状態。
高PERの理由として、同業他社よりもEBIT マージンが高いことが挙げられる。
過去5年間の同社EBIT マージンの平均値は 20%で、ナイキ 12%、アディダス 10%を圧倒している。
こうした利益率の高さは、ブランドの強さを示していると言える。
ピークから25%下がった今、買い出動をすべきか ??
チャートは下を向き、MACDも未だ下降トレンドを示しており、売り圧力が継続している。
上昇に転じるサインは見られず、また割高な状態が続いているので、買い向かうタイミングではないと思われる。
株価の落ち着きどころを見た上で、株価反転のサインが出た後に検討したい。
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