【放談】『いもいも』、もっと見たかった「あのパンツ」
本記事では、『俺が好きなのは妹だけど妹じゃない』(以下、『いもいも』)のストーリーについて、これまでとは異なる角度から言及します。
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本記事は、「徹底解説!『俺が好きなのは妹だけど妹じゃない』」の第4回です。第1回はこちらからご覧ください。
また、『いもいも』のあらすじを図解した第2回はこちらからご覧いただけます。
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三葉「『いもいも』のストーリーについては、第2回、第3回で細かく見てまいりました」
清水「はい」
三葉「本記事では、また別の角度から『いもいも』のストーリーに言及したいと思います」
清水「ほぉ」
三葉「ズバリ……『もっと見たかった!あの名場面!!』」
清水「……気合入っていますね」
三葉「『サラッと終わってしまったけれど……あそこ!あそこをもうちょっと見ていたかった……』というシークエンスを2つ取り上げ、ぶーぶー怨嗟を垂れ流してやろうかな、と」
清水「……止めてください」
三葉「冗談ですよ。それがいかに素晴らしいシークエンスだったかをみなさんにも知っていただきたい。ただそれだけです」
清水「承知しました」
もっと見たかった 1:何も知らない妹との「パンチラ談義」
三葉「『もっと見たかったシークエンス』の1つ目は、祐と涼花のパンチラ談義です」
清水「……パンチラですか」
三葉「本作3話にこんなシークエンスがあるんですよ」
清水「中3の女子で『パンチラ』の意味を理解できないってどうなんでしょう。ちょっと現実離れしている気もしますが……」
清水「うーむ……兄は苦しいですねぇ」
三葉「さて、ここからがポイントですよ」
清水「ほぉ」
三葉「よろしいですか。目をかっぴらいてご覧くださいね。妹のパンチラを前に慌てて目をそらした祐。そんな兄に対して涼花は……」
三葉「出ました!名言!至言!!金言!!!」
清水「『パンチラは見る人がいないと成り立たない』……うーむ。『観察者効果』というか、『観察者バイアス』というか……これはなかなか哲学的な言葉ですねぇ」
三葉「まったくです。ところが……ところがですよ。ここまで深遠な発言がありながら、このやりとりはここで終わってしまうんですよ」
清水「ほぉ」
三葉「Oh !」
清水「……」
三葉「私は言いたい!もっと見たかった!」
清水「確かにちょっともったいない気もいますね」
三葉「惜しい!実に惜しい!このやりとりの続きを見たかった……」
清水「例えばどのような展開をご希望で?」
三葉「そうですねぇ……まず、このシークエンスのポイントを整理してみましょう」
三葉「涼花の『パンチラについて全くの無知』という設定が光っていますね。無知ゆえに、現実離れした言動をとらせることが可能です」
清水「なるほど」
三葉「いやぁ、考えれば考えるほどに実においしい設定ですよ、コレ!無知な妹にあんなことやこんなことを教え込み、そして兄は……」
清水「あの、あんまりえげつない話はちょっと……」
三葉「……失礼」
清水「いえ」
三葉「……このあとの展開ですが、例えばこんなのはいかがでしょうか?」
清水「……いや、そりゃあ兄も困惑するでしょうよ。うーむ……シミかぁ……」
三葉「あるいは、今は照れている兄が本気を出して……」
三葉「我ながら燃える展開!」
清水「……いや、祐はこんな男臭いキャラではないですから……」
もっと見たかった 2:自分の選んだ下着を妹に着用させることの「すごさ」
三葉「『もっと見たかったシークエンス』の2つ目は、祐が涼花の下着を選ぶ場面です」
清水「またパンツ……」
三葉「まずは4話のこのシークエンスをご覧ください」
清水「うーむ、確かにすごい……」
三葉「すごいですよねぇ……」
清水「ええ……」
三葉「……だがしかし!」
清水「?」
三葉「驚くのはまだ早い!」
清水「?」
三葉「この『祐が涼花の下着を選ぶシークエンス』ですが……実はもう1箇所あるんですよ」
清水「……!」
三葉「7話のこの場面です」
三葉「冷静に考えれば、『同居しているはずの親はどこへ行ったのか?』という話ですが……」
清水「萌えアニメに冷静なツッコミをしてはダメですよ……」
清水「うーむ……『お兄ちゃんの好きなのを選んでください』って……」
三葉「すごいインパクトですよねぇ……」
清水「いくら涼花が大のブラコンで、祐にぞっこんだからといって……」
三葉「たった10話しかないアニメで、『兄が妹の下着を選ぶシークエンス』が2度も登場する。これはなかなかすごいことだと思うんですね」
清水「ふむ」
三葉「ところが……」
清水「……?」
三葉「なんてこった!」
清水「!?」
三葉「先ほどの『パンチラ談義』同様、こちらもサラッと終わってしまうんですよ。……実に残念!もっと見たかった!上手くやれば相当変態チックなシークエンスになったと思うんですがねぇ……実に惜しい!」
清水「……一応聞いてみましょうかね……例えばどのような展開が考えられますか?」
三葉「もうね、ほとんど無限に考えられるわけですが……」
清水「パンツ選びで『無限』って……」
三葉「そう!『妹の下着を選ぶ兄』という設定だけで1つの作品になると思います」
清水「えー……」
三葉「例えば以下のように」
清水「『孤独のパンツ』って……これ、面白いんですか……」
三葉「無論面白い!」
清水「胸を張りましたね」
三葉「いえね、色々思案しましたが……ネットにはアダルト情報が蔓延する昨今です。あれもこれも、もう何でもモロですよ」
清水「確かに」
三葉「そんな時代に辟易した大人のための作品……それが『孤独のパンツ』 for 違いのわかる男!」
清水「……わかったようなわからないような……」
三葉「マネタイズプランも万全です」
清水「ここ数年話題のクラウドファウンディングとか……」
三葉「いえ、ワコールさん、そしてトリンプさんにスポンサーになっていただきましょう!」
清水「……」
三葉「作中に『ワコール』や『天使のブラ』を登場させましょう。これはよい宣伝になりますよ。さらに新しいパンツを共同開発しちゃったりして……夢が膨らみますね!」
清水「……いや、スポンサーになってもメリットがない……というか、ブランドイメージが損なわれるだけだと思うんですが……」
補足
三葉「『パンチラ談義』、そして『妹の下着を選ぶ兄』、この2つのシークエンスについては変態的に面白くなる予感があっただけに、サラッと終わってしまったのが残念でなりません」
清水「まぁ、身も蓋もないことを言えば、1クールアニメですからね、時間がないわけですよ。特に、通常『1クール』といえば12~13話であるのに対して、本作はわずか10話です。現状でもちょっとやりすぎなほどに原作を改変したり、エピソードを削除したりして無理矢理10話に押し込んでいます。1つ1つのエピソードをこれ以上膨らませるのは時間制約上、無理があったのでしょう」
三葉「うーむ……それなら思い切って神坂姉妹の出番を丸ごとカットしてしまって……」
清水「いやいや……秋乃と春菜にもファンがいますから!」
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最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。
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<コンテンツ>
・3:【ストーリー深読み】なぜ祐はラノベ作家になれないのか?
・4:【放談】『いもいも』、もっと見たかった「あのパンツ」
・5:【キャラ分析】『いもいも』の氷室舞と『エヴァ』のアスカの比較人間学
・7:【物語の仕組み1】秘密があるから距離が縮まる from『いもいも』
・8:【物語の仕組み2】優れたあなたの秘密を知りたい from『いもいも』
・9:【物語の仕組み3】秀才は天才に苛立っている from『いもいも』
(分析:清水、三葉 / 文、イラスト:三葉)
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