【ありがとう行】3.高純度の品位
いつからスポーツの応援が好きになったのかといえば、
小学校の体育の時間のような気がする。
クラス対抗、男女別でバスケットボールの試合。
ちょっと趣向を変えた、でもよくある授業の一環だ。
2クラスしかない、毎年クラス替えがあるのに、
敵チームも全員知ってる。
なのに、対抗戦になった途端に
マイチームを何としても勝たせなくちゃ、と思う
この謎の使命感はどこから来るんだろう。
背負うものというのは燃料だ。
試合はいつもよりヒートアップしがちだった。
小学校高学年ともなれば、駆け出しのオンナ同士。
むき出しの闘志がぶつかり合う中には
あからさまに故意とわかるファウルもあった。
応援席からは、やられたらやり返せの声も出た。
いや、ちょっとまって。
やり返すのはやめよう。
最初は向こうが一方的に悪くても、
やり返した時点で、こちらも同じレベルに「落ちて」しまう。
ほんとは悪くなかったとしても、だ。
血気盛んなクラスメイトたちは猛反発した。
なんでこっちが悪いわけじゃないのに
やられっぱなしにならなきゃいけないの?
と疑問にも思わずに、やり返すのが当然、という子もいた。
やり返すのはよくないよね。
正々堂々と勝てばいいんだよ、がんばろう。
そういう子たちもいた。
わたしの中にも今、両タイプの女の子たちがいる。
結婚する前に、どうしてもやらないでほしいと
夫にお願いしたことがふたつあった。
外でお金を借りないでほしい。
浮気はするなとは言わない、
でも私のあずかり知らぬところでしてほしい。
二つとも先に破ったのは向こうだ。
あの時に離婚を決断していたら
法も世間もわたしの味方だったはずなのに、
悔い改めるという言葉を真に受けたわたしが
何もわかっちゃいなかったのだ。
我慢するのは、もう限界。
でも、仕返しはしない。
11歳だったわたしにできて、
4倍以上の年月を経験した今のわたしにできないはずがない。
わたしの中に眠っていた純度の高い品位を
思い出させてくれてありがとう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?